北海道公立高校入試理科2023年(令和5年)過去問題

 

 

こんにちは、個別指導塾まさです。

 

今回は、2023年に行われた、北海道公立高校入試「理科」の問題・解答・詳しい解説を公開致します。

 

>>的中率60%以上!今年度の北海道公立高校入試「理科」はここが狙われる!個別指導塾まさの予想出題分野

 

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個別指導塾まさ

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講評:難化

2023年の北海道公立高校入試「理科」は、昨年度から大幅に難化しています。

 

2020年のように国語色が強いセットになっており、銅の酸化や金星など、多くの受験生が苦手とする分野が多数出題されています。

 

過去6年間の難易度は、

2020年2018年>2023年>2019年>>2021年>>2022年

です。

 

なお、かつてのように時間内に解答不能な問題はありませんでした。

例:

2019年の炭酸水素ナトリウムの熱分解の計算問題

2020年の金星と火星の位置の問題

2021年の消化酵素の対照実験の問題

 

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来年受験する子へのアドバイス

教科書レベルの知識を固めること

北海道公立高校入試「理科」には、見慣れないパターンの問題が出題されることがあります。

本年と2020年が、その傾向が強いセットでした。

 

しかしよく見ると、多くの問題が教科書レベルの知識で解答可能です。見慣れないパターンの問題であっても、解答内容は教科書レベルの知識に帰着されています。

 

北海道公立高校入試「理科」を攻略するカギは、まず教科書レベルの知識を固めることにあると言えます。

ただし知識の丸暗記ではなく、その現象が起こる理屈まで踏み込むことが重要です。今回の入試は丸暗記では太刀打ちできない問題が多数ありました。

 

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2017年以降の過去問を研究すること

北海道公立高校入試「理科」は、国語色の強い問題が多いです。

 

北海道公立高校入試「理科」の対策として有効なのは、過去問を研究することです。

その中で、国語色が強くなった2017年以降の過去問を研究することをオススメします。

>>北海道公立高校入試「理科」過去問解説記事一覧

 

その上で他県の過去問演習に取り組み、より高度な考え方を学ぶとよいでしょう。

>>全国公立高校入試過去問解説記事一覧

総合ABCの過去問を何度も解くこと

近年の総合ABCは問題のレベルと国語色がやや強い部分が、北海道公立高校入試「理科」と似ています。

総合ABCの過去問演習は本番での点数アップに寄与するはずです。

>>総合A理科の問題&詳しい解説(2022年)

>>総合B理科の問題&詳しい解説(2022年)

>>総合C理科の問題&詳しい解説(2022年)

南北志望の子は『塾技 理科80』までやること

今回の理科の入試は難しいですが、ハイレベル問題集『塾技 理科80』をやっていたら、札幌南北の目標点85点は普通に取れるはずです。

『塾技 理科80』は使う子を選ぶ非常に難しい問題集ですが、南北志望の子は今回のような難しい入試でも対応できるよう、ここまでやってください。

>>『塾技 理科80』とは?対象者と使い方など

大問1 小問集合

北海道公立高校入試理科2023年(令和5年)過去問題

北海道公立高校入試理科2023年(令和5年)過去問題

 

問1(1)①

解答:瞬間

問1(2)②

解答:原子核

問1(3)③

解答:側根

問1(4)④

解答:堆積

問1(5)⑤

解答:仕事の原理

問1(6)⑥

解答:指示薬

問1(7)⑦

解答:子房

問1(8)⑧

解答:初期微動

解説:

単純な知識問題なので、解説略。

 

問2

解答:9(cm)

解説:

図より、0.2Nの力でばねを引くと、ばねののびは3cmになります。よってフックの法則より、0.4N(0.2N×2)の力でばねを引くと、ばねののびは6cm(3cm×2)になります。

問われているのはばねの長さで、自然長は3cmであることから、このときのばねの長さは、3cm+6cm=9cm

 

問3

解答:5(%)

解説:

4%の食塩水100gに溶けている食塩の質量は、100g×0.04=4gです。

食塩水の水が蒸発して80gとなったとき、溶けている食塩の質量は4gと変わらないので、

質量パーセント濃度(%)=4/80×100=400/80=5%

 

問4 ★やや難

解答:A、E

解説:

丸形の種子を発現させる遺伝子をA(顕性形質)、しわ形の種子を発現させる遺伝子をa(潜性形質)とします。

問われているのは「遺伝子型がAAである種子は何か」です。種子Gの遺伝子型はaaとしています。

種子Aと種子Gをかけ合わせるとすべて丸型となったことから、種子Aの遺伝子型はAAです。

子に丸としわの両方の形質が同時に現れるとき、片親の遺伝子型は必ずAaとなります。よって、種子Cと種子G(遺伝子型aa)との交配から、種子Cの遺伝子型はAaです。

種子Dと種子G(遺伝子型aa)をかけ合わせるとすべてしわ型(遺伝子型aa)となったことから、種子Dの遺伝子型はaaです。

種子Bと種子Fをかけ合わせると丸:しわ=3:1となったことから、種子Bと種子Fの遺伝子型はAaです。

種子B(遺伝子型Aa)と種子Eをかけ合わせるとすべて丸型となったことから、種子Eの遺伝子型はAAです。

以上より遺伝子型がAAである種子は、種子Aと種子Eです。

 

問5

解答:(高い)ウ→ア→イ(低い)

解説:

天体上で考えると、同一緯度では北へ行くほど南中高度は低くなります。これより(高い)ウ→ア(低い)となります。

同一地点では夏は南中高度が高く、冬は南中高度は低くなります。これより(高い)ア→イ(低い)となります。

大問2 肺呼吸のしくみと酸素吸収量の考察<生物>

北海道公立高校入試理科2023年(令和5年)過去問題

北海道公立高校入試理科2023年(令和5年)過去問題

 

問1

解答:(正答例)酸素と二酸化炭素が交換される

解説:

国語の問題で、知識問題でもあります。

「【課題】」の「【資料】」より、吸う息とはく息を比較して、酸素の割合が減少して二酸化炭素の割合が増加しています。

これより、ヒトの肺では酸素が体内に取り込まれ二酸化炭素が体外に排出されることが分かります。

次に、この結果をもう一つの空欄に当てはめて、考察結果が正しいことを確認して完了です。

 

問2

解答:イ

解説:

国語の問題です。

「【実験1】」の「平均値」は、「【実験1】」の「結果」の5行目にある値です。

「【実験1】」を全て読んだ上で、選択肢を消去法で選んでいくとよいでしょう。

ア:「結果」の「平均値」は、Aさん・Bさん・Cさんの呼吸回数の平均値で、個々人の呼吸回数の平均ではありません。

イ:「結果」の「平均値」は、Aさん・Bさん・Cさんの呼吸回数の平均値なので、正しい。

ウ:「【実験1】」は1回の実験のみ行われているので誤りです。

エ:選択肢に「測定する時間の長さ」とありますが、「【実験1】」に「測定する時間の長さ」やそれに関連する文言がないので不適です。

 

問3

解答:

北海道公立高校入試理科2023年(令和5年)過去問題

解説:

単位計算の標準問題です。総合ABCでも同レベルの問題が出題されています。

問題文に「【実験1】の結果と表から」とあるので、「【実験1】」の「結果」と、問題文の「表」のみを使います。

また問題文は個々人の体積を問うていないので、「【実験1】」の「結果」のうち、「平均値」を用います。

・安静時

結果より、20回/分です。表より、500cm3/回に含まれる酸素の体積は500cm3/回×0.03=5×3=15cm3/回です。

以上より、安静時に肺で1分間にとりこまれる酸素の体積は、20回/分×15cm3/回=300cm3/分。

解答欄の表の「とりこまれる酸素の体積[cm3]」は300cm3刻みなので、1メモリ分の棒グラフを書いて答えが得られます。

・運動時

結果より、60回/分です。表より、1000cm3/回に含まれる酸素の体積は1000cm3/回×0.06=10×6=60cm3/回です。

以上より、安静時に肺で1分間にとりこまれる酸素の体積は、60回/分×60cm3/回=3600cm3/分。

解答欄の表の「とりこまれる酸素の体積[cm3]」は300cm3刻みなので、3000cm3の棒グラフにさらに2メモリ分の棒グラフを書いて答えが得られます。

 

問4

解答:(正答例)ゴム風船の周りの気圧が下がったため。

解説:

知識問題です。

「【実験2】」の「結果」の文章にある下線部は、ヒトの肺のモデル図を用いた考察です。

モデル図では、ゴム膜を引くとペットボトルの上半分の内部の気圧が下がってゴム風船内部の気圧の方が大きくなり、ゴム風船が膨らみます。

 

問5 ① ★やや難

解答:(正答例)横隔膜が下がったり

解説:

国語の問題で、知識問題でもあります。

最初の空欄の前後の文章を読むと「空気を出し入れする」とあるので、「横隔膜が上下」が入ると推定されます。

しかし、二つ目の空欄の前後の文章を読むと「肺に吸い込まれた空気中の酸素が」とあるので、ここでは「横隔膜が下がる」が入ると推定されます。

以上の2つを同時に満たす語句として、「横隔膜が下がったり」が適していると考えられます。

 

問5 ②

解答:(正答例)②ヘモグロビンと結びつく

解説:

知識問題です。

最初の空欄の前後の文章を読むと、動脈血(あざやかな赤色)に変化したことから、「ヘモグロビンと結びつく」が入ると推定されます。

この考察結果を二つ目の空欄に当てはめると、考察が正しいと言えます。

大問3 銅とマグネシウムの酸化・還元<化学>

北海道公立高校入試理科2023年(令和5年)過去問題

北海道公立高校入試理科2023年(令和5年)過去問題

 

★個別指導塾まさの予想は「酸化銅の還元」でしたので、半分的中しました!

※生徒には銅とマグネシウムの酸化も、本問が解けるレベルまで深く教えました。

>>今年度の理科の予想

 

問1(1)

解答:(正答例)加熱する回数を増やす。

解説:

知識問題です。

図4は銅が完全に酸化したときの銅と酸素の質量比を表した図です。この図より、銅が完全に酸化したときの銅と酸素の質量比は、銅:酸素=0.4g:0.1g=4:1です。すなわち、銅:酸素:酸化銅=4:1:5で、銅の質量を5/4倍すると酸化銅の質量になります。

一方、表1の加熱前の銅の粉末の質量[g]と加熱後の物質の質量[g]を見ると、例えば加熱前の銅の粉末の質量[g]が0.80gのとき、加熱後の物質の質量[g]は0.89gで、0.80g×5/4=1.00gになっておらず、銅が完全に酸化していないことが分かります。

ここで、使用する器具や試薬を変えずに銅の粉末が酸化する割合を増やすために行う操作ですが、以下の方法が知識としてあります。

・薬さじでかき混ぜながら加熱する。

・銅の粉末をうすく広げて加熱する→使用器具のステンレス皿を変える可能性があるので不適

・加熱回数を増やす。

 

問1(2) ★やや難

解答:50(%)

解説:

知識問題です。

表1の加熱前の銅の粉末の質量[g]が1.60gにおいて、加熱後の物質の質量[g]が1.80gであることから、銅と化合した酸素の質量は0.20gです。

図4より、銅:酸素:酸化銅=4:1:5=0.80g:0.20g:1.00g、であるので、銅と化合した酸素の質量は0.20gのとき、反応した銅の質量は0.80gです。

よって、1.60gの銅のうち0.80gの銅が反応(酸化)したことから、酸化した銅の質量の割合は、0.80g/1.60g×100=1/2×100=50%。

 

問1(3) ★難

解答:比・・・マグネシウム:銅=3:8、理由・・・(正答例)MgOとCuOはどちらも酸化物中の金属原子と酸素原子の個数の比が1:1であるから。

解説:

ハイレベルな知識問題です。2021年の総合Cで類題が出題されています(>>総合C理科の問題&詳しい解説(2021年))。この総合Cの問題は難問として騒がれた問題ですが、本問は、ここからさらに踏み込んだ内容となっています。

マグネシウムの記述がある実験1[2]に「完全に酸化するまで加熱し」とあるので、表2の値はマグネシウムが完全に酸化したときの質量です。

表2を見ると、加熱前のマグネシウムの粉末の質量[g]が0.60gにおいて、加熱後の物質(すべて酸化マグネシウム)の質量[g]が1.00gであることから質量比は、マグネシウム:酸素:酸化マグネシウム=0.60g:1.00g – 0.60g:1.00g=3:2:5、です。

図4より、銅:酸素:酸化銅=4:1:5=8:2:10であるので、マグネシウム:銅:酸素=3:8:2、となります。

また、銅の酸化の化学反応式は、以下のとおりです。

2Cu+O2→2CuO

質量比はCu:O2=4:1=8:2であり、化学反応式より銅原子と酸素原子の個数の比が2:2=1:1と同数あることから、銅原子1個と酸素原子1個の質量比は4:1=8:2です。また、酸化銅CuOにおいて銅原子と酸素原子の個数の比が1:1であるので、化学反応式の左辺の考察を踏まえた上で、CuOの化学式から銅原子1個と酸素原子1個の質量比は4:1=8:2とも言えます。

次に、マグネシウムの酸化の化学反応式は、以下のとおりです。

2Mg+O2→2MgO

質量比はMg:O2=3:2であり、化学反応式よりマグネシウム原子と酸素原子の個数の比が2:2=1:1と同数あることから、マグネシウム原子1個と酸素原子1個の質量比は3:2です。また、酸化マグネシウムMgOにおいてマグネシウム原子と酸素原子の個数の比が1:1であるので、化学反応式の左辺の考察を踏まえた上で、MgOの化学式からマグネシウム原子1個と酸素原子1個の質量比は3:2とも言えます。

以上より、MgOのマグネシウム原子と酸素原子の個数の比とCuOの銅原子と酸素原子の個数の比が同じであることから、マグネシウム原子1個と銅原子1個と酸素原子1個の質量比=8:3:2が成り立つことが分かります。

 

問2(1)

解答:

北海道公立高校入試理科2023年(令和5年)過去問題

解説:

知識問題です。

図5の<<化学変化のモデル>>は、マグネシウムと二酸化炭素が反応して酸化マグネシウムと炭素が生じる反応です。化学反応式は、

2Mg+CO2→2MgO+C

この化学反応式をもとに<<化学変化のモデル>>を書き直すと、解答例のとおりになります。金属原子であるMg原子(◎)は離して書くことがポイントです。

 

問2(2)

解答:①(正答例)その単体をつくっている元素は酸化物により酸素と結びつきやすい、②Mg、③Fe

解説:

国語の問題でもあり知識問題でもあります。

[1]と[2]の結果の【[1]の結果から分かったこと】と【[2]の結果から分かったこと】より、酸素との結びつきやすさが強いのは、Fe<C<Mg、です。

ある単体が酸化物から酸素をうばえば、その単体は酸化物の元素より酸素とより結びつきやすいと言えます。

大問4 内惑星と月<地学>

北海道公立高校入試理科2023年(令和5年)過去問題

北海道公立高校入試理科2023年(令和5年)過去問題

 

★個別指導塾まさの予想は「星の日周運動と年周運動」でしたので、分野が的中しました!

※生徒には天体全分野を、本問が解けるレベルまで深く教えました。

>>今年度の理科の予想

 

問1(1)

解答:①上下左右、②(正答例)逆

解説:

単純な知識問題なので、解説略。

 

問1(2) ★難

解答:(正答例)形が大きく変化し、太陽が沈んでから天体Xが沈むまでの限られた時間にしか観察することができないから。

解説:

国語の問題です。部分点は取れるが完答は難しい問題で、私はこの問題が一番難しいと感じました。

「表から読み取れることをふまえ、書きなさい」とあるので、表の情報をすべて拾い上げて記述することが要求されています。

まず表のスケッチより、肉眼で天体Xを観察した場合、天体Xの光って見える部分は左から欠けて大きくなっているので、内惑星である水星または金星です。よって天体Xの公転軌道は、図のようになります。

これより本問の一つ目の記述内容として、「天体Xのかたちが大きく変化している」となります。ここは普通に書けたかと思います。

天体Xの光って見える部分が左から欠けて形が大きくなっていることから、よいの明星です。天体上で考えると、よいの明星は夕方西の空にしか見えず、真夜中に観察することができません。

次に、表の天体Xと太陽の「昇った時刻」と「沈んだ時刻」の考察が必要です。

太陽の「昇った時刻」が段々早くなり「沈んだ時刻」が段々遅くなり、昼の長さが長くなっているのは、地球の公転により春分から夏至に変化しているためです。よって、観察1の「夕方」は、太陽の「沈んだ時刻」とみなしてよいです。

表より、天体Xは夕方すなわち太陽が沈んでから3〜3.5時間後に沈み、よいの明星の知識から、この時間にしか観察できないことが分かります。

これより本問の二つ目の記述内容として、「太陽が沈んでから天体Xが沈むまでのわずかな時間しか観察できない」となります。この内容を試験中に書くのは、かなり難しいと思います。

以上2点の記述内容をまとめて、答えが得られます。

 

問1(3)

解答:ウ→イ→ア→エ

解説:

知識問題です。

表より、内惑星である天体Xはよいの明星の位置にあり、時間の経過とともに地球に近づき、光って見える部分は左から欠けて大きくなっていきます(選択肢ウ)。

天体上で考えて、天体Xが太陽と同じ方向にある、すなわち太陽と地球の間を通過する(選択肢エ)と、天体Xは明けの明星の位置にきます。明けの明星は明け方東の空にしか見えません。

明けの明星になってから時間の経過とともに、天体Xは時間の経過とともに地球から遠ざかり、光って見える部分は左から満ちて小さくなっていきます(選択肢ア→エ)。

 

問2(1) ★難

解答:記号・・・ウ、①同じ、②小さく、③ア

解説:

ハイレベルな知識問題ですが、『塾技 理科80』の知識があれば無理なく解けます(>>『塾技 理科80』とは?対象者と使い方など)。

・記号

天体上で考えると、観察1より内惑星である天体Xは3月25日に夕方西の空に見えており、観察2より月も3月28日に夕方西の空に見えたことから、共によいの明星の位置にあります。これより、選択肢アまたはウが正解です。

また、問題文から天体Xと月が重なって見えたこと、表から3月25日の天体Xの形は肉眼で見たとき左半分が光って見えることから、天体Xは地球の中心から公転軌道のよいの明星側に引いた接線上にあります。

さらに、月はこの接線上にあることから、選択肢ウが正解です。

・①②③ ★③が難

月は西から東(反時計回り)に公転し、地球の自転と同じ向きに公転します(①)。

地球は西から東(反時計回り)に1時間あたり約15°自転します。このため、星や太陽や月は東から西に動いて見えます(見かけの動き)。

月は約1ヶ月(30日)で地球の周りを360°西から東(反時計回り)に公転します(月の公転周期)。1日あたり約12°、1時間あたり約0.5°です。地球は1日あたり約360°西から東(反時計回り)に自転するので、月の見かけの動きの速さは、月が地球の自転と同じ向きに公転するため、1時間あたり約15°-0.5°=14.5°となり、地球の自転の速さ1時間あたり約15°よりやや小さくなります(②)。

選択肢ウの図より、天体Xの公転軌道の半径は月よりはるかに大きいため、天体Xの公転周期は月よりはるかに長いと言えます。例えば、内惑星である金星の公転周期は0.62年=226日と月の公転周期約30日よりはるかに長いです。

これより、天球上で考えて南の空で観察すると、天体Xも月も地球の自転のために東から西に動いて見えますが、月は見かけの動きの速さが天体Xより遅いため、天体Xは月の東側から西側に移動して見えます(※方位はすべて地球を中心にして考えることが基本です)。選択肢ウの図を元に考えると、地球、月、天体Xの順に並んでいるので、天体Xは月の後ろを通過するように動いて見えます。

本問は、皆既日食と皆既月食のしくみを理解していたら、無理なく解けます(類題:2020年入試2017年入試)。

太陽は公転しませんが月は地球の自転と同じ向きに公転するため、見かけの動きの速さが太陽よりも遅いです。

月が新月の位置にある、すなわち太陽、月、地球の順に並んでいるとき、太陽は月を追って月の裏側を月の左(東)側から入り右(西)側から出ていきます(天球上で考えます)。太陽が新月に隠されて右(西)から欠ける現象を、皆既日食といいます。

月が満月の位置にある、すなわち太陽、地球、月の順に並んでいるとき、太陽によってできた地球の影は月を追って月の表側を月の左(東)側から入り右(西)側から出ていきます(天球上で考えます)。満月が地球の影に隠されて左(東)から欠ける現象を、皆既月食といいます。

これを元に考えると、本問は皆既日食と皆既月食のしくみを内惑星に応用しただけだと分かります。

 

問2(2) ★やや難

解答:記号・・・ア、オ、カ、説明・・・(正答例1)太陽、月、地球の順に並んでいる。(正答例2)地球から見て、太陽と同じ方向に月がある。

解説:

知識問題です。

選択肢を見ると、すべて太陽と月と地球との位置関係によって起こる事象で、天体Xは関係していないことが分かります。よって、太陽と月と地球との位置関係のみ考えます。問2(1)の選択肢ウの図を用いて解答するとよいです。

月は西から東(反時計回り)に公転します。公転周期は約30日です。つまり、月は約30日で360°反時計回りに公転します。1日あたり約12°です。これより、問2(1)の選択肢ウの図から、3日前すなわち月を時計回りに36°動かしたとき、太陽と月と地球がこの順で並び、皆既日食(ア)や部分日食が観察できる可能性があります。また、地球の公転軌道はだ円形であるので、太陽から離れている場合は金環日食(オ)が観察できる可能性があります。太陽と月と地球がこの順で並んだとき、地球からは新月(カ)が観察できます。

大問5 凸レンズ<物理>

北海道公立高校入試理科2023年(令和5年)過去問題

北海道公立高校入試理科2023年(令和5年)過去問題

 

★個別指導塾まさの予想は「鏡と凸レンズ」でしたので、的中しました!

>>今年度の理科の予想

 

問1

解答:エ

解説:

国語の問題でもあり知識問題でもあります。

図4において、Xはレンズ、Yは網膜です。

図4の目のつくりを図1の装置で再現したとき、Xのレンズは凸レンズA、Yの網膜はスクリーンとなります。図4の目のつくりにおいて、変えない(変えられない)条件は、XのレンズとYの網膜との距離です。

よって、図1の装置において変えない条件は、凸レンズAとスクリーンとの距離となります。

 

問2(1)

解答:

北海道公立高校入試理科2023年(令和5年)過去問題

解説:

知識問題です。

物体の先端から出たLEDの光(スリットを通過した非常に細い光)は、主に以下の3つに分けられます。

① 凸レンズの手前の焦点から凸レンズの中心部分を通り、その後光軸に平行に進む。

② 凸レンズの中心と光軸との交点へ直進する。

③ 光軸に平行に進み、その後凸レンズ奥の焦点を通る。

①②③のいずれか2つの光が集まって、上下左右が逆の実像ができます。

また、①〜③以外の光は、凸レンズの中心へ進み、その後光の集合点に進みます。

 

問2(2)

解答:焦点距離・・・10cm、大きさ・・・3cm

知識問題です。

実験1で得られたデータは図2と図3なので、ここを見て解答します。

図2より、凸レンズAからスクリーンまでの距離と物体から凸レンズAまでの距離が等しいのは、20cmのときです。このとき、物体は焦点距離の2倍の位置にあり、像の大きさは物体の大きさと等しくなります。よって、凸レンズAの焦点距離は20cm÷2=10cmです。

図3において、物体から凸レンズAまでの距離が20cmのとき、像の大きさは3cmと分かります。

 

問3

解答:①30、②15、③45、④(正答例)物体から凸レンズまでの距離と凸レンズからスクリーンまでの距離が入れかわる。

解説:

国語の問題です。

実験1、2について問われており、得られたデータは図2と図3、判明した情報は、物体から凸レンズAまでの距離が15cmのときと30cmのときにスクリーンにはっきりとした像が映ったことです。

①:図2より、物体から凸レンズAまでの距離が15cmのとき、凸レンズAからスクリーンまでの距離は30cmで、スクリーンに実像が映ります。

②:図3より、物体から凸レンズAまでの距離が30cmのとき、凸レンズAからスクリーンまでの距離は15cmで、スクリーンに実像が映ります。

③:物体からスクリーンまでの距離は、①②いずれの場合においても15cm+30cm=45cmです。

④:空欄④の前に「したがって」とあるので、①②③の結果を利用して答えます。物体からスクリーンまでの距離が45cmで一定のとき、スクリーンに実像が映ります。①②より、物体から凸レンズAまでの距離と凸レンズAからスクリーンまでの距離が入れ替わるという規則性があることが分かります。(※問題文の語句をなるべく丸写しして、文章を少しだけ変えて答えることが記述問題を解くポイントです。)

※④を解くだけでは本質が見えてこないので、参考としてレンズの公式を紹介します。

物体から凸レンズAまでの距離をa、凸レンズAからスクリーンまでの距離をb、焦点距離をfとおくと、以下のようにレンズの公式が成り立ちます。

1/a+1/b=1/f

a+b=45が与えられたと仮定します。図2より、凸レンズAの焦点距離はf=10cmです。上式からbを消去して、

1/a+1/(45-a)=1/10 ⇔ 45/a(45-a)=1/10 ⇔ a(45-a)=450 ⇔ a2+45a-450=0 ⇔ (a-15)(a-30)=0

∴a=15、30

よって、題意を満たす(a、b)の値の組は、(a、b)=(15、30)、(30、15)

これより、凸レンズAの焦点距離f=10cm、物体からスクリーンまでの距離がa+b=45cmで一定のとき、物体から凸レンズAまでの距離と凸レンズAからスクリーンまでの距離が入れ替わることが分かります。

本問はレンズの公式を使わなくても解けるよう、少し易しく作られています。他県ではレンズの公式を使わないと解けない問題が多数出題されています。

 

問4 ★やや難

解答:(正答例)物体とほぼ同じ大きさになる。

解説:

知識問題です。

実験3では物体を凸レンズAとその焦点の間に置いているので、凸レンズを通して物体より大きい虚像が見えます(虫眼鏡の原理)。

凸レンズAをふくらみの小さい凸レンズBに変えると、レンズは薄くなり焦点距離は大きくなります。すると、物体は実質的に凸レンズに近づくことになります。

このとき問題で、虚像の大きさが小さくなったと情報が与えられています。これは虚像の作図で使う2本の光線を用いて作図をすると、凸レンズの焦点距離のみを大きくした場合、虚像の大きさが小さくなることが分かります。凸レンズは作図が重要なので、受験生は必ずやってください。

さらに、凸レンズBをふくらみの限りなく小さい凸レンズにとりかえたとすると、焦点距離が限りなく大きくなり、実質的に物体は凸レンズの中心と光軸が交わる部分にほぼ近い位置にあることになります。この状態で虚像の作図で使う2本の光線を用いて作図をすると、物体とほぼ同じ大きさの虚像ができることが分かります。