これは医学の進歩のおかげというより、栄養状態の改善が老化を遅らせ、寿命を延ばしてきたと言えます。
たとえば、大正時代から昭和初期にかけて死因のトップを占めていた結核が、1950年代に患者数が激減して、日本人が一気に長生きできるようになりました。
これには戦後、米軍が脱脂粉乳を配ったり、日本人がそれまでほとんど食べていなかった肉を食べる機会が増えたりして、タンパク質をとるようになった影響が大きい。つまり、タンパク質をとることによって、免疫力が飛躍的に上がったわけです。
1950年代から60年代にかけて、死因のトップだった脳卒中も、その後どんどん減っていったのですが、これも日本人がタンパク質をとるようになったことで血管が強くなったからです。

『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』 P33より

 

ほとんどの高齢者は「食べすぎ」よりも「食べなさすぎ」のほうが危ないというのが私の見解です。
(中略)
年を取ってからのダイエットは代謝を悪くし、老化を進行させます。体重を減らすために炭水化物、タンパク質、脂肪などを制限すれば性ホルモンや細胞膜の材料となるコレステロールが不足して体がしぼみ、脂肪があまりに不足すると、肌も弾力を失って老け込みます。
ぽっちゃりおじいさん、ぽっちゃりおばあさん、大いに結構。痩せすぎよりはぽっちゃりさんをおすすめします。
若い頃は、多少栄養が足りなくても体力でなんとか乗り切れますが、年を取って栄養不足になってしまうと、筋肉量が減って活力が低下するフレイルになるなど、寝たきりのリスクが高くなってしまうのです。

『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』 P64より

 

異常値と判定されても、その後、ほったらかしにしておいた人が心筋梗塞にならないのに、正常値だった人が、突然心筋梗塞になったりもします。それくらい健康診断の結果と実際の健康状態がリンクしていないのです。
そんな検査数値に一喜一憂するより、健康診断など受けないほうが精神衛生上も良いと私は思います。何より、異常値と判断された数値を改善しようと努力することが、かえって健康を損ねてしまうことがあるというのが大問題です。
(中略)
本音を言えば、健康診断は病気ではない人を病気にしている面があります。血圧や血糖値が高いことがどこまで体に悪いのか、本当に治療が必要なのか、本当のところはわかっていないにもかかわらず、簡単に薬を出してしまう。健康診断は病気を見つけて薬を売りつけるための道具になっているという印象がどうしてもぬぐえません。

『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』 P66より