本気でお金持ちを目指す人は、弱い人からの搾取などを考えていてはダメである。倫理的に良くないということももちろんあるのだが、本質はそこではない。先にも触れたように、弱い人からの搾取は、たいして儲からないのである。
(中略)
むしろ、ある程度のお金を持っており、かつ大人数の層をターゲットにするほうが、ビジネスとしてはずっと効率的だ。このことは、同じビジネスをするなら、顧客のためになる良心的な製品やサービスを提供するほうがずっと儲かる、と言い換えることができる。
ビジネスのなかには詐欺まがいのものも少なくないが、不特定多数の人にそうした商品やサービスを売りつけることは、現実的にはかなり難しく、結果的に、それほど儲からない。多くの人にとってメリットになる商品を提供したほうが、得られる利益は圧倒的に多いのである。

『大金持ちの教科書』 P31〜32より

 

運がいいことを否定し、実力のある人だけが成功するべきというのは、実は「使われる側」の人間の発想法であり、これはお金持ちになろうとする人にとって大敵なのである。
(中略)
一方、銀行員の仕事ははるか以前から存在しており、どんな人が銀行員として実力があるのか、すでに皆が知っていた。営業など他の仕事も同様だ。
つまり「実力」という概念を持ち出している限り、それは既存のものしか対象にならないことを意味している。そこには必ず先行者が存在する。既存のものに取り組むということは、先行している組織や人に「使われる」ことであり、そこからの稼ぎはたかが知れているのだ。第1章で解説した、「使われる側の人間は基本的に儲からない」という原理原則を思い出してほしい。
常識を超える利益を上げるためには、他人がまだ取り組んでいない「未知」のものに積極的にチャレンジし、自分が第一人者になる必要がある。そのような世界では「実力」がどのようなものなのか誰にもわからないし、そうであればこそ、成功した場合には大きな利益を得ることができる。そして、このような新しい分野で成功するためには、ある程度の「運」はどうしても必要なのだ。

『大金持ちの教科書』 P76より

 

物事を分析したり解釈したりする際に、よく使われる手法が二項対立である。二つの考え方が対立関係になるように二分して考える手法のことだが、感情的に二項対立を嫌う人は意外に多く、これが意思決定を誤らせる原因になっている。
(中略)
二項対立のよい点は、物事を極端に分けることで、双方の本質がよく見えてくることである。合理的な意思決定を行うにあたって、これは非常に重要なことである。
だが世の中には、二項対立による解釈や分類を「極論だ!」と感情的に嫌う人が多い。そのような人は、たとえば「お金か、やりがいか」といったテーマでは「そもそも、お金かやりがいかで分類すること自体がよくない。そこで迷うのが人間だ」などといって、第三の軸を持ち出してしまう。このような論法をする人には、文系タイプが多い。
第三の軸を持ち出すと、それまでの論理的な対立軸が無効になってしまうので、永久に解決策を考え出すことができなくなる。これは意思決定において致命的といえる。
(中略)
投資する/しない、会社を辞める/辞めない、付き合う/付き合わないなど、お金に限らず仕事や友人関係など様々な部分で、こうした局面に遭遇しているはずだ。お金持ちになれるかどうかは、結局のところ、決められるか決められないか、という能力にかかっている。「そうは言っても……」というのが口癖の人は十分に注意したほうがよいだろう。

『大金持ちの教科書』 P98〜99より