はじめに:教師の塾経験歴

個別指導塾まさと申します。

 

教師の学歴は、道東の中堅高校→信州大学理系学部(現役合格)→2年間公務員浪人→北海道大学大学院、です。

 

教師の塾歴は、小学4年〜6年に公文→中学時代は道内の大手集団塾に3年間→高校1年は進研ゼミと地元の集団塾→2年が東進衛生予備校→3年が代ゼミサテライン予備校→大学4年時に長野県の公務員予備校、です。

塾に投入したお金は、400万円を超えるかと思います。

 

学部時代に公務員予備校で出会った方に触発されて独学で勉強した結果、模試で全国6位、筆記試験全合格しました(ただし面接を甘く見ていたため面接で散る)。

この経験から、学力を伸ばすには、塾の授業ではなく問題集をやることが重要であることを学びました。

この仕事で生徒に教えている内容は、すべて問題集と過去問演習で得たものです。

 

受験は学校の授業と問題集でクリアできる、というのが私の常識です。

ただし中学生の場合は中学校の授業が微妙だったり、問題集の進め方が分からなかったり、初めての受験と言うことでメンタル面で不安があったりするので、そこに私が介入する余地があると思っています。

一応それなりの成果を出してはいます(>>合格実績詳細)。

 

集団塾のメリットは、近所の塾の会場で道コンを受験できることです。当塾では道コン受験はできないので、この点だけは集団塾に勝てません。

しかし、道コンが受験できることだけが集団塾のメリットで、通塾することのメリットは無いと感じます。

 

以下、それなりの数の塾を経験した私が感じる集団塾のデメリットについて述べます。

集団塾のデメリット

金が強制的にたくさんかかる

集団塾では、塾が決めた授業を毎週3回ほど受講させられます。

さらに、講習会や対策講座などもあります。これらの授業への参加は任意の場合もありますが、周囲の目などがあるので、実質強制受講になることが多いでしょう。

このように授業数が非常に多いため、高額になっていきます。

 

さらに、テキスト代も高いです。

保護者の方が仰るには、道内の大手塾では上半期と下半期にテキスト代だけで2万円ずつかかるそうです。

 

入会金、教室維持費、管理費など、不透明な料金も多々あります。

これらは全て、集団塾の経営を維持するために無理矢理作られたものです。ただし札幌の個人塾では、こうした不透明な料金を課さないところもあります。

 

私は中学時代、道内の大手塾に3年間通いましたが、3年で150万円は払ったかと思います。

当塾では多くの子が週1回の授業でやっていますが、3年で約60万円ほどなので、随分と差があります。

 

大手塾に納めた150万円を、仮に定期預金に回した場合を考えて行きます。

本記事を書いた段階で、渡島信金では定期預金金利が7年もので年0.6%です。

150万円なら年9,000円、7年間なら63,000円、そこから税金が約20%引かれるので、手取り約50,000円になります。

お子さまが小学生のときから7年預けていたら、高校入学の資金になるくらいのお金になります。それも元手を減らさずに。

 

凄い方なら大手塾にかかる150万円を、今流行のNISAで運用する方もいるかもしれません。

インデックスファンド「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」や「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、年利4%以上が期待できるファンドと言われています。

仮に150万円を年利4%を複利で運用した場合、3年間で約170万円になります。NISAは運用益が非課税なので、約20万円が丸々利益になります。

20万円あれば、公立高校の場合、学費のほとんどを賄えてしまいます。

 

話が逸れましたが、集団塾に3年間でかかる費用はそれだけ莫大なものだということです。

かなり拘束される

集団塾では、毎週3回ほどの授業の他に、講習会や対策講座などの授業も受講させられます。

多くの授業が部活が終わった後に開始して、夜22時近くに終わります。

帰宅したら寝る時間ですが、塾通いの子は、そこから晩ご飯を食べ明日の学校の準備をして、夜遅くに寝ているみたいです。

中学生の多忙さに警鐘を鳴らす内容が、2021年の入試英語で出題されました(>>2021年入試「英語」(裁量)の問題と解説

 

車で送迎をされる方が多いです。子どもを夜遅くに、歩かせるわけにはいかないでしょうから。

送迎があるとそれに合わせて家事をせねばならず、送迎時間になったら家事をストップしなければなりません。それが非常に負担になることを、私は母から教わりました(反省)。

通塾を始めた最初の1ヶ月くらいは送迎をガマンできるでしょうが、段々とキツくなってきて、冬の送迎は過酷以外の何物でも無いでしょう。

 

ハッキリ言って、塾の過密スケジュールは異常だと思います。

映像授業にして必要な科目のみを自宅で受講できるようにして、高校のように市販の問題集を使った授業にすれば、金と時間の負担をかけさせずに済みますが、それでは塾の経営が危うくなってしまうのでしょうね。

非効率な勉強をやらされる

集団塾が生徒にやらせていることの多くは、黒板の字を書き写す「作業」です。

(最近はデジタル化が進んでいるので、ダブレットに表示されている字を見る作業も多くなっているそうです。)

 

残念ながら、書いている時は頭があまり働いていません。

受験勉強で頭を使った状態とは、問題集を使って自力で問題を解き、分からない問題は解説をよく読んで理解して、もう一度自力で問題に当たって解説がちゃんと理解できたことを確認することです。

私の場合、高校受験は塾がダメだと悟って学校のワークを、大学受験は予備校のテキスト(大学入試の過去問集、塾オリジナル予想問題ではない)を隠して解く形でやっていました。学部4年生の時に公務員予備校の授業に頼って筆記試験に全落ちして授業はダメだと悟り、浪人時は図書館で問題集を10周以上やり込んで、模試で全国6位・筆記試験全合格した経験があります。IT企業に就職した後も難関資格をいくつか取りましたが、すべて独学です。

こういう経験をしているので、塾の黒板の字を書き写す「作業」は明らかに非効率だと感じます。

 

その黒板に書かれた内容が公立高校入試標準レベルの問題の解説だったり、これらの問題を解くための実践的な知識だったりすればよいのですが、どうやら学校の授業とあまり変わりないみたいです。

札幌の中心部にある有名進学塾と言われているところに通う子を担当したことがありますが、中3の12月なのに定期テストレベルの授業をしていたらしいです。その授業、『教科書ワーク』があれば不要では?

 

集団塾では毎週3回ほどの授業の他に、講習会や対策講座などの授業も受講させられると先ほど述べましたが、これらの多くが年間50万円以上の授業料を正当化し、塾に来させ続けて拘束するための授業であるように感じます。

塾が儲けるための授業で、生徒の方を向いていないということです。

総合ABC対策講座、春夏冬講習会、土日特訓講座、入試直前対策講座など・・・。

何故このような授業を受ける必要があるのか、通常授業では一体何をやっているのかと疑問に思われる方は多いでしょう。

 

もちろん、塾の授業のおかげで成績が急上昇して志望校に合格した実績もあるので完全に無駄だとは言えませんが、経済的にも時間的にも負担になるのは事実かと。大きな成果が出た生徒は全体の何%なのか、通期の受講生のみの合格者数なのか、道コンや講習会のみ受講した子が含まれている合格者数なのか、などの疑問も残ります。

質問に答えてくれない

私が道内の大手塾に通っていた頃、塾の先生に授業の質問を断られたことがあります。「○○はこれで成績が上がっているんだけど」と個人名をあげて突っぱねて。

当時は受動喫煙防止など無かった時代、この塾講師は休憩室でタバコを吸いながら言っていました。

 

ダブルスクールの子から、塾のオリジナル予想問題集の質問をLINEで受けるのが毎年恒例の行事です。

塾が作ったテキストなら社員全員が共有している情報であるので、質問に即座に答えられるはずです。でも何故かこちらに質問のLINEが来る。

その塾のテキストですが、入試の形式と合致していないのはもちろん、問題のレベルもクオリティも本試験のそれに全く及んでいません。

大学受験大手予備校にように実際の入試問題を使って詳しい解説を書けばよいのに、何故やらないのか。実際の入試問題の解説をやったら、直前対策講座などで課金できなくなるからでしょうか。

いずれにせよ、年間50万円以上かかるのに、塾の先生が塾のテキストの質問に答えないのはマズいと思います。

才能を潰される可能性がある

集団塾では、大勢の生徒を一カ所に集めて、塾が決めた画一的な内容の授業が行われます。

そのため、塾の授業が合わなかったせいで、正しい勉強をすれば能力的に志望校に合格出来たであろう子の芽を摘んでしまうケースが生じてしまう危険性があります。

 

かつて、札幌の3K2Fの中学校の子を入試直前期に担当したことがあります。

札幌南志望の子でしたが、道内の最大手塾が合わず総合ABCで420点ほどと伸び悩み、道コン第5回は過去最悪のSS62で札幌南の判定が38%しか取れず、こちらにSOSがきました。

残念ながら札幌南にあと5点で不合格で、運良く札幌光星高校のステラに繰り上げ合格しました。

本当に才能はピカイチの子で、高校受験最難関の問題集『塾技 数学100』と『塾技 理科80』を使って授業をしたのですが、簡単に理解し、ごく短期間でテストで点が取れるレベルで咀嚼していました。

最初から担当していたら、この子なら札幌南は楽勝だったと思います。

劣等感を植え付けられる

これまで担当した生徒の話から、集団塾では、上位校合格者の名前が書かれた札が壁一面に貼られていたり、実名と点数が書かれたランキング表が張り出されたりするようです。

狭い空間の中で、テストの点が高い子は成績優秀だと賞賛され、授業中に塾講師が大勢の生徒の前で特定の生徒を褒め称えるとか。

 

この集団塾のやり方は、少数の勝者と多数の敗者を生む行為です。大勢の生徒に劣等感を植え付けるこの行為は、少々時代遅れかと。

テストに出る内容なんて問題集に全部書かれているし、勉強のコツを掴めたら成績は上がっていきます。

重要なのは、生徒の自尊心を傷つけないよう気をつけて、根気強く教え続けることです。独立してから本を1,000冊以上乱読しましたが、多くの本に書かれている内容です。高学歴なら幸せになれると書かれている本には、私は出会ったことがありません。

簡単に辞められない

集団塾は入会するのは簡単ですが、簡単に辞められません。

 

同じ塾に通う生徒の目があるし、保護者同士の人間関係もあって辞めるに辞められない方も多いはずです。

私が通っていた大手塾の場合、辞める子に対して塾長が日曜日に生徒を教室に呼びつけて、説得をするみたいです。その塾長は、塾のオリジナル予想問題テキストの質問に答える方なのかは不明です。

 

一番の理由は、勿体ないからではないでしょうか。

入会金約2万円、上半期下半期ごとに2万円近くのテキスト代、毎月4万円以上の授業料、その他多数の追加授業にお金を払い続け、成績が大して上がらないどころかむしろ下がった状況でも、ここで辞めては勿体ない状況に塾は誘導しています。

過去の回収できないコストに固執して、さらなる無駄なコストを生み出してしまう心理効果をサンクコスト効果と言います。

塾が生徒を拘束し、価格合理性の無い授業を多数受講させるのは、このサンクコスト効果を利用して収益を上げ経営を維持する狙いがあるのでは、と思えてしまいます。

おわりに

株式投資をやられている方はご存じかと思いますが、道内資本の最大手の集団塾の経営が危機に瀕しています。

平成から令和になって個人主義の時代となり、コロナのゴタゴタもあって集団塾に通う理由が薄れた結果なのでしょう。

 

悪い言い方なのを承知で言えば、1人から金を沢山取るやり方は、もはや通用しなくなっています。

この大手塾は、IR(投資家情報)でこのことを認めています。IRに嘘偽りがあると法律違反となるので、ここに書かれている内容は絶対に事実です。

 

当塾も昔は週2〜3回の授業を受ける子が多かったのですが、コロナがあってから週1回の授業がメインになりました。

そんな少ない授業回数ですが、教材の質を上げたり、LINEの質問・相談を受け付けたりと自分なりに工夫したことで、合格実績はむしろ上がっています。昔は1人から多くもらいすぎていたと、反省しています。

 

集団塾の存在意義が薄れた時代ではありますが、集団塾の教育が合っていて成果が出た生徒もいるのも事実です。そういう子は、そのまま続けてください。

最後に宣伝ですが、集団塾が合わなくて困っている方や、ご兄弟が集団塾に通って大変だったので自分は個別指導を受けたいという方は、一度当塾を検討してみてください。週1回の授業でも、十分な教育が受けられる環境を整備していますので。