指導経験20年以上のプロ家庭教師。北海道の高校受験に特化した
大問1
問1
解答: 方法:ウ、理由:水にとけやすく空気より軽いから
解説:
代表的な気体の性質は、以下の通りです。
■酸素
酸素の性質として、以下の4つを押さえましょう。
①無色・無臭、②空気よりやや重い(空気の重さの約1.1倍)、③水にとけにくい、★④助燃性をもつ
酸素が発生する反応として、以下の例を覚えましょう。
・二酸化マンガンにうすい過酸化水素を加える
・過酸化水素を加熱する
・酸素系漂白剤にお湯を加える
・酸化銀を加熱する
・水を電気分解する
■水素
水素の性質として、以下の4つを押さえましょう。
①無色・無臭、②最も軽い気体(空気の重さの約0.08倍)、③水にとけにくい、★④可燃性をもつ
水素が発生する反応として、以下の例を覚えましょう。
・鉄にうすい塩酸を加える
・亜鉛にうすい塩酸を加える
・マグネシウムにうすい塩酸を加える
・水を電気分解する(水素イオンH+より、陰極で発生)
・塩酸を電気分解する(水素イオンH+より、陰極で発生)
■二酸化炭素
二酸化炭素の性質として、以下の4つを押さえましょう。
①無色・無臭、★②空気より重い(空気の重さの約1.5倍)、③水に少しとける(H+を放出する酸より水溶液は酸性)、★④石灰水を白く濁らせる
二酸化炭素が発生する反応として、以下の例を覚えましょう。
・石灰水にうすい塩酸を加える
・炭酸水素ナトリウムを加熱する
・炭酸水素ナトリウムにうすい塩酸を加える
・炭酸アンモニウムを加熱する
・酸化銅に炭素を加えて加熱する
■窒素
空気の約8割を占める窒素は、以下の5つの性質を持ちます。
①無色・無臭、②空気より少しだけ軽い、③水に溶けにくい、④助燃性(O2)・可燃性(H2)なし
★⑤常温では他の物質と結びついて化学変化を起こすことはほとんどない(この性質を利用した食品の酸化を防ぐ方法に、窒素充填がある)
■アンモニア
アンモニアの性質として、以下の4つを押さえましょう。
★①無色・刺激臭、★②空気より軽い、★③水に非常によく溶ける(20℃の水1cm3に702cm3溶ける)(OH–を放出するアルカリより水溶液はアルカリ性)→アンモニアの噴水実験、★④塩化水素と反応し、白煙(塩化アンモニウムの白色の固体)を生じる
アンモニアが発生する反応として、以下の例を覚えましょう。
・塩化アンモニウムと水酸化カルシウムの混合物を加熱する
・塩化アンモニウムと水酸化ナトリウムの混合物を加熱する(発熱反応)
・塩化アンモニウムと水酸化バリウムの混合物を加熱する
・炭酸アンモニウムを加熱する
気体の捕集方法として、水上置換法・下方置換法・上方置換法の3つがあります。
■水上置換法
発生した気体が水に溶けにくい気体(酸素や水素や二酸化炭素など)のとき、水上置換法を用います。
はじめに出てくる気体はフラスコ内の空気なので、集めません。
■下方置換法
発生した気体が水に溶けやすく空気より重い気体(塩素など)のとき、下方置換法を用います。
容器をガラス板で蓋をし、隙間からガラス管を容器の奥まで入れることで、容器内部の空気が追い出され、容器が発生した気体で満たされます。
■上方置換法
発生した気体が水に溶けやすく空気より軽い気体(アンモニアなど)のとき、上方置換法を用います。
ガラス管を容器の奥まで入れることで、容器内部の空気が追い出され、容器が発生した気体で満たされます。
アンモニアのとき、容器の入り口に塩酸をつけたガラス棒を近づけ、塩化アンモニウムの白煙が生じたら、容器がアンモニアで満たされれていることが確認できます。
問2
解答: 色:ウ、何性:酸性
解説:
水道水はアルカリ性で、水酸化物イオン(OH–)のみ含まれています。
二酸化炭素は水に少しとける気体で、水に溶けると水素イオン(H+)を放出する酸です。
ゆえに、試験管にある水道水に二酸化炭素をふきこむと、水溶液中の水素イオン(H+)の量が増えて、アルカリ性が弱くなっていきます。
さらに二酸化炭素をふきこんでいくと二酸化炭素が多量に含まれた酸性の水溶液となっていきます。
石灰水に二酸化炭素を通すと、白く濁ります。
石灰水とは水酸化カルシウム(Ca(OH)2)のことです。
水酸化カルシウムは水溶液中に水酸化物イオン(OH–)があるので、アルカリ性です。
水酸化カルシウム水溶液に二酸化炭素(CO2)が溶けると炭酸(H2CO3)となり、水素イオン(H+)が放出されるので、酸性の性質を示します。
アルカリ性の水酸化カルシウムに、酸性の炭酸が加わることで中和が起こり、炭酸カルシウム(CaCO3)の塩が発生します。
炭酸カルシウムは白色の固体で、水にとけにくいため、水溶液中に拡散します。
石灰水が白く濁るのは、炭酸カルシウムが水溶液中に拡散しているためです。
この状態でさらに二酸化炭素を流すと、炭酸カルシウムは水に溶けやすい炭酸水素カルシウムとなり、水溶液は再び透明になります。
BTB溶液は指示薬で、酸性の水溶液に加えると黄色、中性の水溶液に加えると緑色、アルカリ性の水溶液に加えると青色に変化します。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
問1より、気体Aはアンモニアです。
残りの気体は、酸素、水素、二酸化炭素ですが、この中で水溶液の性質(酸性・アルカリ性)を変える気体は、二酸化炭素です。
二酸化炭素を水に吹き込むと酸性の水溶液である炭酸となり、BTB溶液が緑色→黄色に変化します。
問3
解答: 気体C:H2、反応:ア、オ
解説:
問1解説参照。
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大問2
問1
解答:蒸留
解説:
液体を沸騰させ、出てくる気体を冷やして、再び液体にして集める方法を蒸留といいます。
蒸留のポイントは、物質の沸点の違いを利用することで、混合物を純粋な物質に分けることができることです。
例えば、水とエタノールの混合物の蒸留では
純粋な水の沸点は100℃ですが、純粋なエタノールの沸点は78.3℃と、純粋な水の沸点より低いです。
それゆえ、蒸留を進めると、最初はエタノールを多く含む液体が得られ、徐々に水が多く出てきます。
■蒸留の実験の注意点
水とエタノールの混合液の蒸留の実験について、
枝つきフラスコの形と名前は覚えて、さらに、蒸留の操作と注意点として、以下の4つを押さえましょう。
①沸騰石を入れて突沸を防ぐ
②ガラス管をたまった液につけない(※)
③試験管は水で冷却する
④ガラス管は火を消す前に試験管から出す(※)
※枝つきフラスコが冷えると、フラスコ内の気圧が下がり、外気を吸うため、試験管の中の液体が逆流することがあるから。炭酸水素ナトリウムの熱分解の実験も同様の理由で、ガラス管は火を消す前に試験管から出します。
問2
解答:塩化ナトリウム(食塩)
解説:
■代表的な結晶の形と色
代表的な結晶の形と色は、以下の通りです。
・塩化ナトリウム→無色・立方体状
・ミョウバン→無色・正八面体状
・ホウ酸→無色・六角形状
・硝酸カリウム→無色・棒状
■再結晶の方法
再結晶の方法として、①水溶液を冷やして取り出す、②水溶液を蒸発させて取り出す、の2つがあります。
①水溶液を冷やして取り出す
温度を下げると溶解度が大きく変化する物質に用いられます(温度による溶解度の変化が大きい)。
溶解度曲線を見ると、硝酸カリウムは温度を下げると溶解度が大きく変化するので、硝酸カリウムの再結晶には水溶液を冷やして取り出す方法が用いられます。
②水溶液を蒸発させて取り出す
温度を下げても溶解度があまり変化しない物質に用いられます(温度による溶解度の変化が小さい)。
溶解度曲線でよく出てくる塩化ナトリウムは、温度を下げても溶解度があまり変化しないので、塩化ナトリウムの再結晶には水溶液を蒸発させて取り出す方法が用いられます。
硝酸カリウムは温度による溶解度の変化が大きい、塩化ナトリウムは温度による溶解度の変化が小さいことは、溶解度曲線と合わせて覚えましょう。
問3
解答:エ
解説:
料理酒は、水とエタノールの混合物と考えてOKです。
純粋な水の沸点は100℃ですが、純粋なエタノールの沸点は78.3℃と、純粋な水の沸点より低いです。
それゆえ、蒸留を進めると、最初はエタノールを多く含む液体が得られ、徐々に水が多く出てきます。
エタノールの性質については、選択肢ア・イ・ウを覚えましょう。
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大問3
問1
解答:7.5J
解説:
他の物体を動かしたり、熱や光、電流を発生させたりする能力のことをエネルギー(単位:J)といいます。
エネルギーには、位置エネルギー、運動エネルギー、光エネルギー、電気エネルギーなど、様々なものがあります。
エネルギーは移り変わります。
エネルギーを持っている物体が他の物体に対して力を加えると、加えた分だけ物体のもっていたエネルギーは減少し、逆に、力を加えられた物体は、加えられた分だけエネルギーが増加します。
高い位置にある物体がもつエネルギーを、位置エネルギーといいます。
位置エネルギーは、物体の質量と基準面からの高さに比例し、以下の式で表されます。
・位置エネルギー[J]=物体に働く重力[N]×基準面からの高さ高さ[m]
物体に力を加え、その向きに移動させたとき、力は物体に対して仕事をしたといいます。
仕事の大きさは、以下の式で表されます。
・仕事[J]=加えた力[N]×移動距離[m]
おもりをゆっくりと引き上げた場合、加えた力[N]=おもりに働く重力の大きさ[N]となるので、
・仕事[J]=加えた力[N]×移動距離[m]=おもりに働く重力の大きさ[N]×移動距離[m]
おもりが引き上げられたとき、おもりは位置エネルギー[J]を持ちます。
エネルギーは移り変わるので、
・手がおもりにした仕事[J]=おもりがもつ位置エネルギー[J]、
とエネルギーが移り変わります。
運動している物体のもつエネルギーを、運動エネルギーといいます。
運動エネルギーは、物体の質量と速さの2乗に比例し、以下の式で表されます。
・運動エネルギー[J]=1/2×物体の質量[kg]×(速さ[m/s])2
以上の知識をもとに、問題を解きます。
手回し発電機が持つ電気エネルギー[J]により、手回し発電機が回って物体が持ち上げられます。
このとき、手回し発電機がした仕事[J]の大きさは、以下の通りです。
手回し発電機がした仕事[J]=加えた力[N]×移動距離[m]=おもりに働く重力の大きさ[N]×移動距離[m]
おもりの質量は500gで、質量100gの物体に働く重力の大きさを1Nとしているので、おもりに働く重力の大きさは5Nです。
手回し発電機はおもりを150cm=1.5m持ち上げているので、
手回し発電機がした仕事[J]=5N×1.5m=7.5J
となります。
問2
解答:1.5W
解説:
1秒間あたりの仕事の大きさを仕事率といい、以下の式で表されます。
仕事率[J/s]=仕事率[W]=仕事の大きさ[J]/仕事をした時間[s]といいます。
仕事率の単位[J/s]に着目して、
手回し発電機がした仕事の大きさは7.5J、仕事をした時間=5s、より仕事率は、
仕事率[J/s]=仕事率[W]=7.5J/5s=1.5W
問3
解答:位置エネルギー
解説:
手回し発電機が持つ電気エネルギー[J]により、手回し発電機が回っておもりが持ち上げられ、
おもりがもつ位置エネルギーに変換されています。
ただし、手回し発電機が持つ電気エネルギー[J]のうち、モーターの熱エネルギーや音エネルギーとしてロスしているので、
手回し発電機が持つ電気エネルギー[J]のすべてが、おもりの位置エネルギーに移り変わってはいません。
大問4
問1
解答:再び酸化するのを防ぐため。
解説:
化学変化のうち、2種類以上の物質が結びついて、まったく別の新しい物質ができる変化を、化合といいます。
ある物質が酸素と化合することを酸化といい、酸化によってできた物質を酸化物といいます。
酸化の例として、銅の酸化があります。
・銅の酸化
銅+酸素→酸化銅(2Cu+O2→2CuO)
質量比は、Cu:O2:CuO=4:1:5
酸化物から何らかの方法で酸素を取り除くと、再びもとの物質に戻ります。
このように、酸化物から酸素を取り除く変化を還元といい、酸化物から酸素を取り除くはたらきをする物質を還元剤といいます。
還元剤として、水素や炭素などが用いられます。
還元の例として、以下の2つを押さえましょう。
・酸化銅の炭素による還元
酸化銅(黒色)+炭素→銅(赤色)+二酸化炭素(2CuO+C→2Cu+CO2)
・酸化銅の水素による還元
酸化銅(黒色)+水素→銅(赤色)+水
(CuO+H2→Cu+H2O)
ここで、例えば酸化銅を炭素で還元する反応では、酸化銅は還元されて銅になり、還元剤である炭素は酸化されて二酸化炭素になっています。
このように、還元反応が起こると同時に酸化反応が起こるので、反応における両者の側面をとらえて、酸化還元反応ということがあります。
酸化銅の炭素による還元の実験では、
実験によって、酸化銅が還元されて銅になります。
火を止めると試験管内部が冷えて気圧が下がり、下がった気圧を補うために外気を取り込みます。
もしこのときピンチコックを閉め忘れたなら、外気が取り入れられ、加熱された銅に酸素が化合して、銅が酸化されて酸化銅に戻ってしまいます。
問2
解答: 物質:銅、化学変化:還元
解説:
問1解説参照。
問3
解答:2CuO+C→2Cu+CO2
解説:
問1解説参照。
問4
解答: 炭素:気体=3:11
解説:
酸化銅の炭素による還元の化学反応式は、以下の通りです。
2CuO+C→2Cu+CO2
この実験で、4.0g酸化銅(CuO)と0.3gの炭素(C)が過不足すべて反応した場合、試験管Aに残った3.2gの固体は全て銅(Cu)です。
質量保存の法則(※)より、発生した二酸化炭素(CO2)の質量は、4.0g+0.3g – 3.2g=1.1gです。
化学反応式を見ると、炭素(C)と二酸化炭素(CO2)の係数の比が1:1なので、
炭素(C)と二酸化炭素(CO2)の質量比は、C:CO2=0.3g×1:1.1g×1=3:11
※
化学変化では、反応の前後で物質全体の質量は変化しません。
これを質量保存の法則といい、1774年にフランスの科学者ラボアジェによって発見されました。
大問5
問1
解答:オームの法則
解説:
回路とは、電流が電源装置の+極から出て−極にもどるひと回りの道のことです。
抵抗に電圧を加えると電流が流れます。
電圧→電流、という流れです。
抵抗とは、電流の流れにくさを表します。
金属線は抵抗が小さい材料で、このまま電圧を加えると、回路に大きな電流が流れてしまい危険です。
そこで、抵抗が大きい抵抗器や電熱線や豆電球などを接続して、回路に大きな電流が流れないようにします。
電流は+の電気で、電源装置の+極から出て、-極に戻るかたちで回路を流れます。
回路に流れる電流の大きさを測定する装置を電流計、
回路に加わる電圧の大きさを測定する装置を電圧計といいます。
電流計も電圧計も、+端子は電源の+極側に、−端子はまず3つの−端子のうち最大のものにつなぎます。
測定部分に対し、電流計は直列に、電圧計は並列に接続します。
抵抗に流れる電流と電圧の関係をオームの法則といい、以下の式で表されます。
V[V]=I[A]×R[Ω]
上の式を変形して、
V[V]=I[A]×R[Ω] ⇔ I=1/R × V
抵抗は材料によって決まっている、つまり一定であるので、抵抗に流れる電流の大きさは、抵抗に加わる電圧の大きさに比例し、比例定数は1/R(抵抗の逆数)です。
問2
解答:30Ω
解説:
オームの法則より、
V[V]=I[A]×R[Ω] ⇔ R=V/I
図2より、抵抗器Xに6Vの電圧が加わると、電流が200mA=200/1000A=0.2A流れるので、抵抗器Xの抵抗は、
R=V/I=6V/0.2A=6×5=30Ω
問3
解答: ア:0.9A、イ:0.2A
解説:
抵抗とは、電流の流れにくさを表します。
抵抗が大きいほど電流が流れにくくなるので、電流の大きさは小さくなります。
抵抗が小さいほど電流が流れやすくなるので、電流の大きさは大きくなります。
抵抗は材料(主に金属)によって値が決まっており、
同じ物質の抵抗の大きさは、太さ(断面積)が一定の場合は長さに比例し、長さが一定の場合は太さに反比例します。
抵抗は1つにまとめることができ、1つにまとめられた抵抗を合成抵抗といいます。
抵抗が1本線に並んだ回路である直列回路では、合成抵抗は各抵抗の和になります。
2つの抵抗が横にくっつくというイメージとなり、抵抗が長くなるため抵抗が大きくなり、電流が流れにくくなります。
抵抗が分岐して並列に並んだ回路である並列回路では、2つの抵抗の合成抵抗は、2つの抵抗の積÷2つの抵抗の和になります。
この考え方を用いると、同じ抵抗を並列にn個並べた並列回路の合成抵抗は、1つの抵抗÷nとなります。
2つの抵抗がタテにくっつくというイメージとなり、抵抗が太くなるため抵抗が小さくなり、電流が流れにやすくなります。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
選択肢アの合成抵抗は約20/3Ω(10Ω×20Ω/(10Ω+20Ω))、イの合成抵抗は30Ω(10Ω+20Ω)です。
アとイの回路の電流計は、回路全体を流れる電流の大きさ、つまり合成抵抗に流れる電流の大きさを示しているので、オームの法則より
V[V]=I[A]×R[Ω] ⇔ I=1/R × V
アの回路の電流の大きさは、3/20Ω×6V=18/20A=9/10A=0.9A
イの回路の電流の大きさは、1/30Ω×6V=6/30A=2/10A=0.2A
問4
解答:(小さい)イ→エ→ウ→ア(大きい)
解説:
選択肢アの合成抵抗は約6.7Ω(10Ω×20Ω/(10Ω+20Ω))、イの合成抵抗は30Ω(10Ω+20Ω)、エの合成抵抗は20Ω(10Ω+10Ω)です。
ウの電流計は10Ωの抵抗と接続されています。
抵抗の大きさはイ>エ>ウ>アより、回路を流れる電流の大きさはイ<エ<ウ<アとなります。
大問6
問1
解答:115cm/s
解説:
テープは1枚あたり5打点で、記録タイマーは1秒間に50打点、つまり0.1秒間に5打点するので、テープ1枚の長さは、台車が0.1秒に進んだ距離、すなわち速さを表します。
問われているのは、速さ[cm/s]です。
単位[m/s]に着目して、距離[cm]と時間[s]を調べていきます。
テープ1枚は0.1秒に相当し、Xのテープの長さは11.5cmです。
ゆえに、平均の速さ[cm/s]は、
平均の速さ[cm/s]=11.5cm/0.1s=11.5×10cm/s=115cm/s
手を離してから糸が台車を引く力が働き、台車は等加速度運動をするため、速さが刻々と変化しています。
しかし、台車が移動した合計の距離と、台車が移動した合計の時間から、台車の平均の速さを求めることができます。
問2
解答:ウ
解説:
■ニュートンの運動の法則
・第一法則(慣性の法則)
物体に外部から力がはたらかないとき(合力0を含む)、静止している物体は静止し続け、運動している物体はそのまま等速直線運動を続ける。
・第二法則(運動の法則)
物体に力がはたらくとき、物体には力と同じ向きの加速度が生じる。このときの物体の運動を等加速度運動といい、時間に比例して速度が増加する。
・第三法則(作用・反作用の法則)
物体Aから物体Bに力(作用)を加えると、物体Bから物体Aに同じ作用線上で大きさが等しい反対向きの力(反作用)がはたらく
■力の3要素
力は矢印で表します。
このとき、力の三要素である力の大きさを矢印の長さで、力の向きを矢印の指す向きで、力が加わる点である作用点を矢印の視点として、それぞれ表します。
力の矢印がのっている直線を、作用線といいます。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
図において、おもりには重力が働きます。
重力は物体の中心から(鉛直)下向きに働くので、力の向きは鉛直下向き、作用点はおもりの中心となります。
なお、地球上で質量100gの物体に働く重力(作用点は物体の中心)の大きさを1N(ニュートン)とすることが多いですが、
正確には、地球上で質量100gの物体に働く重力の大きさは0.98Nです。
台車を支えていた手を静かに話すと、台車と糸はつながっているので、台車は糸から右向きの力を受けます。
この糸が台車を引く力の大きさは、おもりに働く重力の大きさと等しいです。
ニュートンの運動の法則の第二法則より、台車には糸が台車を引く力が働くため、台車は等加速度運動(だんだん早くなる運動)をします。
しかし、おもりが床につくと、糸が台車を引く力の大きさがゼロになります。
ニュートンの運動の法則の第一法則より、台車の水平方向で働く力の大きさがゼロになるので、台車は等速直線運動(一定の速さの運動)をします。
テープは1枚あたり5打点で、記録タイマーは1秒間に50打点、つまり0.1秒間に5打点するので、テープ1枚の長さは、台車が0.1秒に進んだ距離、すなわち速さを表します。
テープの長さが増えている=速さが増えている間は、台車は等加速度運動をしており、図2では1〜7枚目のテープ、つまり、0〜0.7秒の間です。
テープの長さが増えていない=速さが一定の場合、台車は等速直線運動をしており、図2では8〜10枚目のテープ、つまり、0.7〜0.9秒の間です。
問3
解答:変わらない
解説:
ニュートンの運動の法則の第二法則より、台車には糸が台車を引く力が働くため、台車は等加速度運動(だんだん早くなる運動)をします。
糸が台車を引く力の大きさは、おもりに働く重力の大きさと等しく、
おもりに働く重力の大きさは場所によらず一定であるので、糸が台車を引く力の大きさ=おもりに働く重力の大きさ=一定、です。
問4
解答: ①:イ、②:イ
解説:
図3では台車の水平方向に対して、台車にはたらく重力の斜面方向の分力が働き、その力の向きは左向きで、大きさは一定です。
また台車には、台車の水平方向に対して、糸が台車を引く力=おもりに働く重力の大きさが働き、その力の向きは右向きで、大きさは一定です。
台車には向きが異なる力が同時にはたらくため、図1と比較して、糸が台車を引く力が図3より小さくなり、合力の大きさは一定です。
台車に一定の力がはたらくので、台車は等加速度運動をしますが、図1の場合と比較して、速さの増え方が小さくなります。
そのため、おもりが床につくまでの時間が長くなります。
おもりが床についた後、台車には、台車の水平方向に対して、台車にはたらく重力の斜面方向の分力のみがはたらきます。
力の大きさは一定で、台車の進行方向に対して逆向きの力であるので、台車は速さが時間に比例して小さくなる等加速度運動をしています。
大問7
問1
解答:1、4
解説:
■心臓のつくり
心臓は4つの部屋からなり、
正面から見たとき、左側の部屋を「右〜」、右側の部屋を「左〜」、
上の部屋を「〜心房」、下の部屋を「〜心室」と呼びます。
心臓をつなぐ血管は、心臓に戻る血液が流れる血管を「〜静脈」、心臓から出る血液が流れる血管を「〜動脈」、
心臓と体をつなぐ血管を「大〜」、心臓と肺をつなぐ血管を「肺〜」と呼びます。
心臓は、心房と心室の伸縮と拡張を交互に繰り返すことで、血液を循環させる、ポンプのはたらきをしています。
この心臓の活動を、拍動といいます。
■心臓の拍動
心臓の拍動の流れは、
心房の拡張→心房の収縮と心室の拡張→心室の収縮→心房の拡張→・・・
という流れです。
心房が拡張すると、大静脈と肺静脈から血液が、それぞれ心臓の右心房と左心房に吸い込まれることで流れますが、吸い込む力が弱いため、逆流の恐れがあります。
そのため、静脈には逆流を防ぐために弁がついています。
心臓の内部にも弁があり、心房と心室の間にある弁を房室弁、心室が動脈とつながる部分にある弁を半月弁といいます。
心臓から血液を送り出すとき、心室が収縮して、肺動脈と大動脈から血液が、それぞれ心臓の右心室と左心室から送り出されます。
■血液循環
血液循環は、肺循環と体循環の2つに大別されます。
・肺循環
肺循環とは、心臓から出た血液が肺を通り、心臓へともどる経路のことです。
血液の流れは、心臓の右心室→肺動脈(静脈血)→肺の毛細血管→肺静脈(動脈血)→左心房と循環します。
酸素を多く含む血液を動脈血(鮮紅色)、酸素が少ない血液を静脈血(少し暗い赤色)といいます。
・体循環
体循環とは、心臓から出た血液が全身の細胞を巡って心臓にもどる経路のことです。
血液の流れは、心臓の左心室→大動脈(動脈血)→全身の毛細血管(細胞呼吸)→大静脈(静脈血)→右心房と循環します。
問2
解答:イ、ウ
解説:
血液は、固形成分の血球(赤血球・白血球・血小板)と、液体成分の血しょうからできています。
このうち血しょうは、養分・二酸化炭素・不要物(尿素など)を運搬する働きをします。
血液中の血しょうが毛細血管の外にしみ出て、細胞間を満たしている液を組織液といいます。
組織液は、細胞に酸素や養分を与え、細胞呼吸で生じた不要物(二酸化炭素、水、アンモニアなど)をとかし、血管やリンパ管に運びます。
問3
解答: 動脈:ウ、静脈:ア
解説:
心房が拡張すると、大静脈と肺静脈から血液が、それぞれ心臓の右心房と左心房に吸い込まれることで流れますが、吸い込む力が弱いため、逆流の恐れがあります。
そのため、静脈には逆流を防ぐために弁がついています。
心臓の内部にも弁があり、心房と心室の間にある弁を房室弁、心室が動脈とつながる部分にある弁を半月弁といいます。
心臓から血液を送り出すとき、心室が収縮して、肺動脈と大動脈から血液が、それぞれ心臓の右心室と左心室から送り出されます。
動脈は壁が厚く弁がありません。
左心室は全身に血液を送り出すため、左心室の壁の筋肉は最も厚いです。
問4
解答: 血管:6、理由:小腸で吸収された栄養分が肝臓に運ばれるから。
解説:
体循環とは、心臓から出た血液が全身の細胞を巡って心臓にもどる経路のことです。
血液の流れは、心臓の左心室→大動脈(動脈血)(④)→全身の毛細血管(細胞呼吸)→大静脈(静脈血)(③)→右心房と循環します。
循環する血液の特徴について。
・門脈(⑥)
ここを通る血液は、ブドウ糖・アミノ酸などの養分を最も多く含みます。
三大栄養素(有機物)である炭水化物・タンパク質・脂肪は、消化管を経て、ブドウ糖・アミノ酸・脂肪酸とモノグリセリドになり、小腸の柔毛で吸収されます。
小腸の柔毛に吸収されたブドウ糖・アミノ酸・脂肪酸とモノグリセリドのうち、
ブドウ糖とアミノ酸は、小腸の柔毛の毛細血管に入り、門脈→肝臓→肝静脈→心臓→大動脈→全身の毛細血管を経て、全身の細胞に送り届けられ、細胞呼吸の材料として利用されます。
・じん臓を通過後の血液(⑦)
ここを通る血液は、尿素などの不要物が最も少ないです。
細胞呼吸では、二酸化炭素・水・アンモニアが排出されます。
これら不要物は血しょうにとけて、水はじん臓を通して尿として体外に排出されます。
アミノ酸(窒素を含む)の分解などにより生じるアンモニア(NH3)は、非常に毒性が強いため、そのままでは排出されず、肝臓で無毒の尿素につくりかえられてから、じん臓でこしとられ、尿として体外に排出されます。
・肺静脈(②)
酸素を最も多く含みます。
・肺動脈(③)
二酸化炭素を最も多く含みます。
・肝臓→大静脈(⑤)
空腹時、最も多くの養分を含みます。
肝臓にグリコーゲンとして蓄えられていたブドウ糖が運ばれます。
大問8
問1
解答: ①:羽毛、②:ハチュウ類
解説:
動物は、背骨のあるセキツイ動物と、背骨のない無セキツイ動物に分類できます。
セキツイ動物は、魚類・両生類・ハチュウ類・鳥類・ホニュウ類に分類できます。
化石が発見された地層の地質年代から、これらセキツイ動物は、
魚類→両生類→ハチュウ類→ホニュウ類→鳥類
の順に進化したと考えられています。
セキツイ動物の進化の証拠として、相同器官・痕跡器官があります。
相同器官とは、現在は形やはたらきが異なるが、基本的な骨格が同じため、もとは同じものが変化してできたと考えられる器官のことです。
例えば、カエルの前足・ワニの前足・スズメのつばさ・コウモリのつばさ・クジラの胸びれ・ヒトの腕が相同器官です。
相同器官の中には、ヘビやクジラの後ろ足のように、現在ははたらきを失い、形だけわずかに残る痕跡器官もあります。
セキツイ動物の進化の証拠は、相同器官の他に、ハチュウ類と鳥類の中間と考えられる始祖鳥があります。
始祖鳥の鳥類の特徴は、①羽毛をもち、くちばしがある ②前足の骨格がつばさとよく似ている
ハチュウ類の特徴は、①くちばしに歯、つばさに爪がある ②尾骨のある長い尾を持つ
問2
解答:相同器官
解説:
問1解説参照。
問3
解答:ワニ、スズメ
解説:
動物は、背骨のあるセキツイ動物と、背骨のない無セキツイ動物に分類できます。
セキツイ動物は、魚類・両生類・ハチュウ類・鳥類・ホニュウ類に分類できます。
・体温
魚類・両生類・ハチュウ類は外界の温度が変化すると体温を変化させる変温動物、
鳥類・ホニュウ類は外界の温度が変化しても体温を一定に保つ恒温動物です。
・呼吸のしかた
魚類はえら呼吸、両生類は子がえら呼吸で親が肺呼吸(カエルのように補助的に皮膚呼吸するものもいます)、
ハチュウ類・鳥類・ホニュウ類は肺呼吸です。
・子の産まれ方
魚類・両生類・ハチュウ類・鳥類は卵生、ホニュウ類は胎生です。
魚類・両生類は水中にからのない卵を、ハチュウ類・鳥類は陸上にからのある卵を産みます。
卵の殻は、卵を乾燥から守る役目をし、水中生活から陸上生活への進化に欠かせないものです。
・体の表面
魚類は体の表面がうろこにおおわれており、両生類は湿った皮膚、ハチュウ類はうろこや甲ら、鳥類は羽毛、ホニュウ類は毛におおわれています。
・具体例
魚類の例としてメダカとフナを、
両生類の例としてカエルとイモリ(「いりょう」と覚える)を、
ハチュウ類の例としてトカゲとヤモリを、
鳥類の例としてハトとペンギンを、
ホニュウ類の例としてクジラとコウモリを、
それぞれ覚えましょう。
問4
解答:ウ
解説:
化石が発見された地層の地質年代から、
コケ植物→シダ植物→裸子植物→被子植物
の順に進化したと考えられています。
大問9
問1
解答:主要動
解説:
地球は、地殻(大陸部:5〜60㎞、海洋部:5〜10㎞)→マントル→外核→内核でできています。
地球の表層部(地殻とマントルの上部の一部)は、厚さ100kmくらいの固い岩盤で覆われており、この岩盤をプレートといいます。
日本の東北以北では、海洋プレートである太平洋プレートと、日本列島の下にある大陸プレートである北アメリカプレートがあります。
プレートは、年数cmというゆっくりとした速度で、決まった方向に動いています。
海洋プレートは大陸プレートよりも密度が大きいため、太平洋側の海洋プレートが、大陸プレートの下に沈み込むようにしてぶつかり合っています。
大陸プレートと海洋プレートの押し合いにより、日本列島の地下には、強い圧縮の力(ひずみ)がかかっています。
大陸プレートがこのひずみに反発することで、地震が起こります。
これを、海溝型地震(プレート境界地震)といいます。
地震の種類は、海溝型地震(プレート境界地震)と活断層型地震(大陸プレート内地震)の二つがありますが、
入試に出題される地震は、海溝型地震(プレート境界地震)と捉えてもらって結構です。
地震が発生した場所を震源といい、観測地と震源との距離を震源距離といいます。
震源の真上の地表の地点を震央といい、観測地と震央との距離を震央距離といいます。
入試に出題される地震は、震源の深さがごく浅い地震で、震源距離=震央距離と見なして解きます。
地震が発生すると、震源で速さの異なるP波とS波が同時に発生します。
P波の速度はおよそ6〜8m/s、S波の速度はおよそ3〜4m/sと、揺れが到達する速さはP波のほうが速いです。
P波は縦波で、波の進行方向と振動方向が同じであるため、揺れが到達する速さがS波より速いです。
S波は横波で、波の進行方向と振動方向が垂直であるため、揺れが到達する速さがP波より遅いです。
観測地にP波が到達すると、小さなゆれ(初期微動)が始まり、この間の時間を初期微動継続時間といいます。
その後S波が到達して大きなゆれ(主要道)が始まり、しだいにゆれが小さくなって消えます。
問2
解答: X:175、Y:6時26分36秒
解説:
初期微動継続時間は、震源距離に比例することを利用して解きます。
・X
観測地点②の震源距離は50km、初期微動継続時間は8秒、
観測地点⑤の初期微動継続時間は28秒より、震源距離は50km×28/8=50×7/2=25×7=175kmです。
・Y
観測地点②の震源距離は50km、初期微動継続時間は8秒、
観測地点③の震源距離は100kmより、初期微動継続時間は8×2=16秒です。
よって、P波が到達した時刻は、S波が到達した時刻6時26分52秒の16秒前の、時刻6時26分36秒です。
問3
解答:125km
解説:
初期微動継続時間は、震源距離に比例することを利用して解きます。
観測地点②の震源距離は50km、初期微動継続時間は8秒、
観測地点⑥の初期微動継続時間が20秒より、震源距離は50km×20/8=50×5/2=250/2=125kmです。
大問10
問1
解答: A:花粉管、B:精細胞
解説:
細胞分裂には、体細胞分裂と減数分裂があります。
からだをつくる細胞が分裂する細胞分裂を、体細胞分裂といいます。
体細胞分裂では、分裂前と分裂後の細胞の染色体の数は変わりません。
生殖細胞(精子や精細胞、卵や卵細胞)がつくられるときの細胞分裂を、減数分裂といいます。
減数分裂では、分裂後の細胞の染色体の数は、分裂前の半分になります。
例えば、雌(めしべ)の遺伝子型がAAのとき、生殖細胞である卵(卵細胞)は、AとAに減数分裂します。
雄(おしべ)の遺伝子型がaaのとき、生殖細胞である精子(精細胞)は、aとaに減数分裂します。
卵(卵細胞)と精子(精細胞)の核が合体することを受精といい、この場合、子の遺伝子型はAaとなり、両親から遺伝子を半分ずつ受け継ぎます。
このように、減数分裂で生じる生殖細胞の受精により、新個体(子)をふやすふやし方を、有性生殖といいます。
なお、生殖細胞の呼び方は、被子植物の場合は精細胞と卵細胞、動物の場合は精子と卵です。
■被子植物の有性生殖
花の4要素は、外側から、がく・花弁・おしべ・めしべの順です。
おしべのやくにの中には花粉母細胞(核相2n)があり、そこから成熟花粉(核相n、生殖細胞(精細胞)なので減数分裂して染色体の数が半分になっている)が作られます。
花粉がめしべの柱頭に付着することが受粉で、受粉後、花粉管の伸張により精細胞が胚珠の中の卵細胞(核相n)と受精し受精卵となります。
受精後、胚珠は種子に、子房は果実に、受精卵は胚となります。
■カエルの有性生殖
雌の生殖細胞である卵(卵巣にある)と雄の生殖細胞である精子(精巣にある)が受精して、受精卵ができます。
受精卵が細胞分裂を繰り返して胚(動物では、自分で食物をとることができる個体となる前のもの)になり、
さらに細胞分裂をくり返して個体へと変化していくことを発生といいます。
問2
解答: a:柱頭、b:卵細胞
解説:
問1解説参照。
問3
解答:ア
解説:
おしべのやくにの中には花粉母細胞(核相2n)があり、そこから成熟花粉(核相n、生殖細胞(精細胞)なので減数分裂して染色体の数が半分になっている)が作られます。
花粉がめしべの柱頭に付着することが受粉で、受粉後、花粉管の伸張により精細胞が胚珠の中の卵細胞(核相n)と受精し受精卵となります。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
図3の生殖細胞Bは精細胞で、ホウセンカの体細胞の染色体の数の半分です。
めしべの胚珠の中の卵細胞も、ホウセンカの体細胞の染色体の数の半分です。
例えば、雌(めしべ)の遺伝子型がAAのとき、生殖細胞である卵(卵細胞)は、AとAに減数分裂します。
雄(おしべ)の遺伝子型がaaのとき、生殖細胞である精子(精細胞)は、aとaに減数分裂します。
卵(卵細胞)と精子(精細胞)の核が合体することを受精といい、この場合、受精卵の遺伝子型はAaとなり、両親から遺伝子を半分ずつ受け継ぎます。
つまり、精細胞の染色体の数(x)と卵細胞の染色体の数(y)を足したものが、受精卵の染色体の数(z)となるので、
x+y=z、が成り立ちます。
問4
解答:ア、エ
解説:
・選択肢ア
正しい。
生命の基本単位は、細胞です。
細胞は、核と細胞質からなる原形質と、原形質以外の後形質とからなります。
核は、中に遺伝子をのせた染色体を持ちます。
染色体は、遺伝子の本体として働く物質であるDNAと、ヒストンというタンパク質からなる糸状の構造物で、染色液によく染まることから、染色体と名が付けられています。
(染色体の”染色”の名の由来)
・選択肢イ
例えば、雌(めしべ)の遺伝子型がAAのとき、生殖細胞である卵(卵細胞)は、AとAに減数分裂します。
雄(おしべ)の遺伝子型がaaのとき、生殖細胞である精子(精細胞)は、aとaに減数分裂します。
卵(卵細胞)と精子(精細胞)の核が合体することを受精といい、この場合、受精卵の遺伝子型はAaとなり、両親から遺伝子を半分ずつ受け継ぎます。
このことから、遺伝子が変化していることが分かります。
・選択肢ウ
例えば、遺伝子型がAaの親のとき、生殖細胞はAとaの遺伝子に減数分裂します。
・選択肢エ
正しい。
大問11
問1
解答:分離の法則
解説:
例えば、雌(めしべ)の遺伝子型がAAのとき、生殖細胞である卵(卵細胞)は、AとAに減数分裂します。
雄(おしべ)の遺伝子型がaaのとき、生殖細胞である精子(精細胞)は、aとaに減数分裂します。
卵(卵細胞)と精子(精細胞)の核が合体することを受精といい、この場合、子の遺伝子型はAaとなり、両親から遺伝子を半分ずつ受け継ぎます。
このように、減数分裂で生じる生殖細胞の受精により、新個体(子)をふやすふやし方を、有性生殖といいます。
なお、生殖細胞の呼び方は、被子植物の場合は精細胞と卵細胞、動物の場合は精子と卵です。
まず、この考え方をしっかり押さえてください。
■メンデルの3法則
①優性の法則
対立形質(丸形かしわ形か、など)をもつ純系(遺伝子型AA、aa)の親どうしを交配させてえられる子(雑種第一代F1)は、すべて優性形質(遺伝子A)のみが現れるという法則です。
このとき現れなかった形質を、劣性形質(遺伝子型a)といいます。
②分離の法則
減数分裂で生殖細胞をつくるとき、対立遺伝子は別々の生殖細胞に入るという法則です。
③独立の法則
2組以上の対立形質に関する遺伝では、それぞれの対立遺伝子は互いに関係なく独立に遺伝するという法則です。
問2
解答:AA、Aa、aa
解説:
遺伝子型はAAというように、遺伝子を2つ組み合わせて書きます。
この遺伝子型AAなどは、体細胞の遺伝子型です。
丸形の種子を発現させる遺伝子をA、しわ形の種子を発現させる遺伝子をaとすると、遺伝子の組み合わせは
AA、Aa、aa
です。
優性の法則より、
遺伝子型がAAのエンドウは丸形の種子を、遺伝子型がAaのエンドウは丸形の種子を、遺伝子型がaaのエンドウはしわの種子を、それぞれ発現させます。
分離の法則より、遺伝子型がAAのエンドウの生殖細胞(精細胞・卵細胞)は、Aとaです。
問3
解答:自家受粉
解説:
エンドウは花弁5枚の離弁花で、おしべは10本のうち9本はもとがくっつきめしべを包み、1本だけ離れています。
おしべがめしべを包み込んでいるため、昆虫が入り込めず、昆虫が他の株のエンドウの花粉を運んで受粉することがありません。
それゆえ、自然の状態では、同じ株のどうしで受粉→受精が行われます。
これを自家受粉といいます。
自家受粉では、必ず同じ株どうしで受粉をさせることができるため、正確な実験データを得られるメリットがあります。
問4
解答:エ
解説:
遺伝子型Aaどうしを交配させて得られる子の遺伝子型は、
Aa×Aa→AA、Aa、AA、aa、です。
これを中3の式の展開の考え方で求めることができます。
(A+a)(A+a)=AA+Aa+Aa+aa
以上の知識をもとに、問題を解きます。
問題文に「丸い種子をつくる純系Xのめしべに、しわのある種子をつくる純系の親Yの花粉を受粉させると、できた種子はすべて丸い種子となった」とあるので、
丸い種子になる遺伝子Aが優性形質、しわのある種子になる遺伝子aが劣性形質となり、遺伝子の組み合わせは
AA×aa→Aa、Aa、Aa、Aa→Aa
と、すべてAaで丸い種子となります。
この遺伝子型Aaの丸い種子を組み合わせてできる遺伝子の組み合わせは、
Aa×Aa→AA、Aa、AA、aa
です。
この結果から、
・丸形の種子:しわ形の種子=3:1
・AA:Aa:aa=1:2:1
であることが分かります。
しわのある種子が150個より、丸形の種子の数は、
丸形の種子:しわ形の種子=3:1=3×150:150=450:150
で、丸形の種子の数は450個です。
AA:Aa=1:2(丸形の種子の合計3)より、遺伝子型がAaの種子の数は、
450×2/3=150×2=300個
となります。