中学3年北海道学力テスト第1回「理科」(2022年)問題・解答・解説
大問1 炭酸水素ナトリウムの熱分解
問1
解答:はじめは試験管Aの中にあった空気が出てくるから(例)
解説:
試験管Aを加熱すると、内部の空気が膨張して外に出て行きます。
試験管Bに始めに集めた空気は試験管Aの空気であるので、集めません。
問2
解答:方法・・・石灰水を入れてよく振る(例)、反応・・・石灰水が白くにごる(例)
解説:
解答の通りです。
中3生は、以下の内容も抑えてください。
二酸化炭素が水に溶けると、酸性の水溶液である炭酸水(H2CO3)になります。
石灰水は水酸化カルシウム(Ca(OH)2)で、水溶液中にOH–があるのでアルカリ性の水溶液です。
炭酸水と水酸化カルシウムが反応すると、塩として炭酸カルシウムが生じます。
H2CO3 + Ca(OH)2 → CaCO3 + 2H2O
炭酸カルシウムは水に溶けにくい白色の固体です。
二酸化炭素を石灰水に通すと白くにごるのは、中和が起こって発生した炭酸カルシウムのためです。
問3
解答:ガラス管の中から取り出すこと(例)
解説:
炭酸水素ナトリウムの熱分解の実験を止めるとき、火を消す前にガラス管の先を水槽から取り出します。
先に火を消すと、試験管の空気が収縮して内部の圧力が下がり、大気圧と同じくするために試験管に空気が流入します。
このとき、ガラス管の先が水槽にあったら、水が逆流して加熱部に触れてしまい、試験管が割れて危険なので、火を消す前にガラス管の先を水槽から取り出します。
問4
解答:塩化コバルト紙
解説:
炭酸水素ナトリウムの熱分解で水が発生します。
水が発生したことは、塩化コバルト紙を水につけて、青色から赤色に変化することを確認します。
問5
解答:熱分解
解説:
解答の通りです。
熱分解の例として、酸化銀の熱分解も抑えておいてください。
大問2 無機物と有機物
問1
解答:17%
解説:
問題文の「②」より、50gの水に10.0gの塩化ナトリウムがすべて溶けています。
ゆえに、60gの水溶液に10gの塩化ナトリウムが溶けていることから、質量パーセント濃度は、
10/60(×100)=100/6=16.66・・・≒17%
問2
解答:ア
解説:
ア:塩化ナトリウムの結晶です。
イ:硝酸カリウムの結晶です。
ウ:ホウ酸の結晶です。
エ:ミョウバンの結晶であると思われます。
塩化ナトリウムは温度を下げても溶解度があまり変化しないので、再結晶の方法として、水溶液を蒸発させる方法をとります。
硝酸カリウムは温度を下げると溶解度が大きく変化するので、再結晶の方法として、水溶液を冷やす方法をとります。
問3
解答:Y<Z<X
解説:
「ろ紙にはデンプンが残り、ろ過した液は透明だった」ことから、Z<Xです。
「ろ過した透明な液を加熱して水を蒸発させると、何も残らなかった」ことから、Y<Zです。
まとめると、Y<Z<Xです。
大問3 フックの法則
問1
解答:関係・・・比例、法則・・・フックの法則
解説:
解答の通りです。
問2
解答:4.0cm
解説:
表より、40gのおもりで3.2cmのびるので、50gでは、
50g:x=40g:3.2cm
40x=50×3.2=160
∴x=4.0cm
問3
解答:125g
解説:
表より、100gのおもりで8.0cmのびるので、10cmでは、
x:10cm=100g:8.0cm
8x=1000
∴x=125g
大問4 オームの法則 ★問3がやや難
問1
解答:40Ω
解説:
表の1V、25mA=25/1000Aの値を用います。
オームの法則より、
V=IR ⇔ R=V/I=1V÷(25/1000A)=1000/25Ω=40Ω
問2
解答:27J
解説:
分かっている情報は、3Vと抵抗器Bを流れる電流の大きさ150mA=150/1000Aなので、
消費電力P[W]=I[A]×V[V]=150/1000A×3V=450/1000W=450/1000J/s
電力量W[J]=P[W]×t[s]=450/1000J/s×60s=27000/1000=27J
問3 ★やや難
解答:0.6W
解説:
問1より、抵抗器Aの抵抗の大きさは40Ωです。
表より、同じ電圧を加えたとき、抵抗器Bを流れる電流の大きさは抵抗器Aの2倍なので、抵抗器Bの抵抗の大きさは抵抗器Aの1/2倍の20Ωです。
直列回路なので、回路全体の抵抗の大きさ(合成抵抗)は、40Ω+20Ω=60Ω
回路全体の電流の大きさは100mA=100/1000A=1/10A
抵抗と電流の大きさが分かっているので、消費電力は、
消費電力P[W]=I[A]×V[V]=I2R=(1/10A)2×60Ω=60/100=0.6W
問4
解答:エ
解説:
並列回路の合成抵抗は、それぞれの抵抗の大きさよりも小さくなります。
抵抗器A(40Ω)と抵抗器B(20Ω)を並列につないだときの合成抵抗は、
合成抵抗=(40Ω×20Ω)/(40Ω+20Ω)=(40×2)/6=80/6=40/3≒13Ω
計算結果から、並列回路の合成抵抗の大きさは、抵抗器A(40Ω)と抵抗器B(20Ω)の抵抗の大きさよりも小さくなっていることが分かります。
大問5 電磁力
問1
解答:ウ、エ
解説:
ア:抵抗は電流の流れにくさを表します。抵抗を大きくすると、コイルに流れる電流が小さくなるので、電磁力の大きさは小さくなり、コイルの向きは変わらないですが、動きが小さくなります。
イ:アと逆で、コイルに流れる電流が大きくなるので、電磁力の大きさは大きくなり、コイルの向きは変わらないですが、動きが大きくなります。
ウ:正しい。
エ:正しい。
問2
解答:イ
解説:
問1考察より、選択肢イが正解です。
問3
解答:電磁誘導
解説:
解答の通りです。
大問6 植物の分類
問1
解答:胞子
解説:
解答の通りです。
胞子で増える仲間は、シダ植物(マツ、イチョウ、ソテツなど)とコケ植物(ゼニゴケ、スギゴケなど)です。
問2
解答:植物名・・・イチョウ、なかま・・・裸子植物
解説:
分類表と、与えられた植物から、
基準1:種子で増えるか否か
基準2:胚珠が子房に包まれているか否か→Cはイチョウ
基準3:子葉が1枚か否か→AとBはサクラとツユクサ
基準4:維管束があるか否か、根・茎・葉の区別があるか否か→DとEはゼニゴケとイヌワラビ
問3
解答:基準3・・・エ、基準4・・・イ
解説:
問2解説参照。
問4
解答:花弁が1枚1枚離れているか、くっついているか(例)
解説:
双子葉類は花弁が根元でくっついているか否かで、離弁花類(花弁が離れている)と合弁花類(花弁が根元でくっついている)に分類されます。
離弁花類:サクラ、アブラナ、エンドウなど
合弁花類:ツツジ、タンポポ、アサガオなど
大問7 ホウセンカの構造
問1
解答:B、C
解説:
赤く染まった部分は水の通り道である道管です。
茎では、道管は維管束の内側であるBです。
葉では、道管は維管束(葉脈)の上側(葉の表側)であるCです。
問2
解答:E・・・気孔、現象・・・蒸散
解説:
解答の通りです。
蒸散により、植物体内の水分量の調節や温度調節が行われます。
問3
解答:①・・・イ、②・・・イ、③・・・光(日光)
解説:
解答の通りです。この問題を暗記しましょう。
大問8 地層 ★問3がやや難
問1
解答:堆積岩
解説:
解答の通りです。
G(れき岩の層)→F(泥岩の層)で、粒が小さくなっているので、海底の沈降や海水面の上昇により、この地層は河口から遠くなったことが分かります。
F(泥岩の層)→E(砂岩の層)で、粒が大きくなっているので、海底の隆起や海水面の低下により、この地層は河口から近くなったことが分かります。
問2
解答:れきや砂が流水で運ばれる間に角がけずられたから(例)
解説:
解答の通りです。
火成岩の粒は角張っていますが、堆積岩の粒は流水で運ばれるために角が削られ丸みを帯びています。
問3 ★やや難
解答:ア
解説:
C層→A層で、不整合面やしゅう曲が見られないので、粒の大きさで判断します。
C(泥岩の層)→B(砂岩の層)で、粒が大きくなっているので、海底の隆起や海水面の低下が起こっています。
B(砂岩の層)→A(泥岩の層)で、粒が小さくなっているので、海底の沈降や海水面の上昇によが起こっています。
これより、答えは選択肢アです。
C層→A層で不整合面が無いので、この露頭では、A層まで堆積する間、ずっと海中に存在し、地表に現れなかったことが分かります。
問4
解答:示準化石
解説:
解答の通りです。
ビカリアとナウマンゾウは、新生代の示準化石です。
地層の計算では、凝灰岩の地層や、示準化石を含む地層を用います。
大問9 湿度の計算
問1
解答:①・・・晴れ、②・・・20℃、③・・・64%
解説:
雲量が7より、天気は晴れです。
図の乾球の示度(気温)が20℃より、気温は20℃です。
図で、乾球の示度が20℃、乾球と湿球の示度の差は4℃であることから、表より、湿度は64%です。
問2
解答:11g
解説:
気温が20℃なので、表3より、飽和水蒸気量は17.3g/cm3です。
湿度は64%であるので、
水蒸気量[g/cm3]=17.3g/cm3×0.64=11.072≒11g/cm3
問3
解答:
解説:
天気は晴れ、風向は西、風力は5であることを踏まえて、天気図記号を書きます。
大問10 雲ができるメカニズム
問1
解答:風船・・・ふくらむ、温度・・・下がる
解説:
ピストンを引くとフラスコ内の空気の粒子が減るために、フラスコ内の気圧が下がります。
風船の内部の気圧がフラスコ内の気圧より大きくなるので、風船は膨らみます。
フラスコ内の気圧が下がり、フラスコ内の空気が膨張するので、フラスコ内の空気の温度は下がります。
この事実は、暗記しましょう。
ピストンを押すと、フラスコ内の空気の温度は上がります。
空気を圧縮すると温度が上がる理由は、高校化学のボイルシャルルの法則を用いるとハッキリ分かりますが、中学生のうちは暗記しましょう。
問2
解答:線香のけむり(例)
解説:
ピストンを引くとフラスコ内の温度が下がって露点以下になるので、フラスコ内の水蒸気が凝結して水滴になります。
このとき、線香の煙を入れることで、線香の煙に含まれる粒子が凝結核の役割をなして、くもりが発生しやすくなります。
問3
解答:①・・・下がる、②・・・露点
解説:
問1解説参照。
大問11 温帯低気圧の構造
問1
解答:季節・・・夏、気団・・・小笠原気団
解説:
図1は南高北低の気圧配置なので、夏の天気図です。
夏は太平洋高気圧の一部である小笠原気団が発達します。
小笠原気団は南方にあるので暖かく、海上にあるので湿っています。
夏は日本列島が暖かく、小笠原気団がある海上が冷たいため、南東の季節風が吹きます。
夏は、南東の湿った季節風により、蒸し暑い日が続きます。
問2
解答:記号・・・A、前線・・・寒冷前線
解説:
北が寒いので寒気があり、南は暖かいので暖気があります。
低気圧は反時計回りに風が吹き込むので、寒冷前線が通過すると、風向が南寄りから北寄りにに急変します。
問3
解答:イ
解説:
低気圧は反時計回りに風が吹き込むこと、北に寒気、南に暖気があることに注意して考えます。
図2において、X-Y断面の左側にある寒冷前線では、寒気が暖気を垂直に押し上げて、前線後方50〜60kmに積乱雲が発生します。
X-Y断面の右側にある温暖前線では、暖気が寒気に緩やかにはい上がって寒気を後退させるため、前線後方200〜300kmに乱層雲が発生します。