大問1
問1
解答:C
解説:
植物はまず、種子で増えるか胞子で増えるかで大別され、種子で増える植物を種子植物といいます。
胞子で増える植物は、今度は維管束があるかどうか、または、根・茎・葉の区別かあるかどうかで大別され、
維管束がある植物をシダ植物、ない植物をコケ植物といいます。
イヌワラビはシダ植物です。
シダ植物の個体の増やし方は、
葉の裏にある胞子のうが乾いて裂けて胞子が飛び出て、胞子が発芽して前葉体となり、前葉体の造精器(雄器)から精子が雨の日に泳いで別の前葉体の造卵器(雌器)の卵までいき受精し、受精卵が成長し若いシダとなって増えます。
シダ植物は、無性生殖→有性生殖の順で個体を増やします。
スギゴケやゼニゴケはコケ植物です。
コケ植物は、雄株と雌株の区別があるものが多いです。
個体の増やし方は、
雄株の雄器で精子が、雌株の雌器で卵が作られ、雨の日などに精子が雌器の卵まで泳いで受精し、受精卵が育つと雌器に胞子のうができて胞子がつくられ、胞子のうが破れて胞子が飛び散り、発芽・成長して雄株と雌株になります。
コケ植物は、有性生殖→無性生殖の順で個体を増やします。
図1のイヌワラビのからだのつくりにおいて、AとBが葉、Cが茎、Dが根です。
シダ植物の根は、種子植物ほど発達していないひげ根、茎は、地中を横に走る地下茎、葉は、地上に出ている部分全体が1枚の葉(複葉という)で、Aを葉身、Bを葉柄といいます。
問2
解答: a:胞子のう、b:胞子
解説:
イヌワラビの葉の裏には胞子のう(a)がくっついており、胞子のうが乾いて裂けて胞子(b)が飛び出て、胞子が発芽して前葉体となり、無性生殖→有性生殖をして個体を増やします。
問3
解答:イ、エ
解説:
シダ植物とコケ植物の相違点について。
シダ植物は、根・茎・葉(維管束)の区別があり根(ひげ根)で水を吸収します。
コケ植物は、根・茎・葉(維管束)の区別がなく、からだの表面で水を吸収します。また、雄株と雌株に分かれていることが多いです。仮根は水を吸収する力は弱く、主にからだを地面に固定するはたらきをします。
シダ植物とコケ植物の類似点について。
種子ではなく胞子で増える、湿ったところで生育する、葉緑体を持ち光合成をする、雄器で作られた精子が泳ぐために受精には水が必要、の4つです。
問4
解答:2、5
解説:
シダ植物として、イヌワラビ・ゼンマイ・スギナを、
コケ植物として、スギゴケ・ゼニゴケを、
それぞれ覚えましょう。
イチョウは裸子植物に分類される植物です。
植物の分類の観点はまず、種子をつくるか否かで大別します。
種子を作る植物を種子植物といいます。
種子植物はさらに、胚珠が子房に包まれているか否かで分類し、胚珠が子房に包まれている植物を被子植物、胚珠がむきだしの植物を裸子植物といいます。
被子植物はさらに、子葉の枚数で分類し、子葉が1枚の植物を単子葉類、子葉が2枚の植物を双子葉類といいます。
双子葉類はさらに、花弁がくっついているか否かで分類し、花弁がくっついている植物を合弁花類(ツツジ)、花弁が離れている植物を離弁花類(アブラナ)といいます。
単子葉類として、イネ・トウモロコシ・スズメノカタビラ・ユリ・アヤメ・ツユクサ・チューリップを、
合弁花類として、ツツジ・タンポポ・アサガオを、
離弁花類として、サクラ・アブラナ・エンドウを、
裸子植物として、マツ、スギ、ヒノキ、イチョウ、ソテツを
それぞれ覚えましょう。
これに加えて、ホウセンカは双子葉類であることも覚えましょう。
大問2
問1
解答:オオカナダモの葉の中にあるデンプンをなくすため
解説:
植物は光合成と呼吸を同時に行います。
光合成は植物細胞の細胞質(原形質)にある葉緑体で行われます。
光合成では、葉の気孔から、二酸化炭素が入り酸素が出ます。
呼吸では、葉の気孔から、酸素が入り二酸化炭素が出ます。
光の当たる場所では、光合成のはたらきの方が強くなるので、光合成で出入りする気体の量が、呼吸で出入りする気体の量より多くなり、あたかも酸素が放出されているかのように見えます。
光の当たらない場所では、呼吸のみ行われるので、二酸化炭素のみ放出されます。
光合成では、根で吸収した水が茎の道管(維管束の内側)から葉の維管束である葉脈(維管束の上側)を通り葉緑体に届けられ、
孔辺細胞の隙間である気孔で吸収された二酸化炭素を日光(光エネルギー)を用いて、単糖類であるグルコース(ブドウ糖)と酸素に合成されます。
グルコースは水に溶けやすく、このままの形では葉に栄養分を貯蔵できないため、グルコースが多数つながった水に溶けにくいデンプンにつくり変えられます。
夜間に水に溶けやすい二糖類のスクロース(ショ糖)に変えられ、師管を通ってからだの各部へ運ばれて、呼吸や成長の材料として使われます。
つまり、光が当たらない場所では、植物は呼吸のみ行い、光合成で産生され葉に貯蔵されたデンプンを消費するため、葉のデンプンが無くなります。
オオカナダモを光の当たらない場所に1日置いたのは、葉のデンプンをなくすことです。
この後、対照実験を行って光合成の働きを調べますが、こうすることで正確な実験データを得ることが出来ます。
問2
解答:ウ
解説:
水道水はアルカリ性で、水酸化物イオン(OH–)のみ含まれています。
二酸化炭素は水に少しとける気体で、水に溶けると水素イオン(H+)を放出する酸です。
ゆえに、試験管にある水道水に二酸化炭素をふきこむと、水溶液中の水素イオン(H+)の量が増えて、アルカリ性が弱くなっていきます。
さらに二酸化炭素をふきこんでいくと二酸化炭素が多量に含まれた酸性の水溶液となっていきます。
石灰水に二酸化炭素を通すと、白く濁ります。
石灰水とは水酸化カルシウム(Ca(OH)2)のことです。
水酸化カルシウムは水溶液中に水酸化物イオン(OH–)があるので、アルカリ性です。
水酸化カルシウム水溶液に二酸化炭素(CO2)が溶けると炭酸(H2CO3)となり、水素イオン(H+)が放出されるので、酸性の性質を示します。
アルカリ性の水酸化カルシウムに、酸性の炭酸が加わることで中和が起こり、炭酸カルシウム(CaCO3)の塩が発生します。
炭酸カルシウムは白色の固体で、水にとけにくいため、水溶液中に拡散します。
石灰水が白く濁るのは、炭酸カルシウムが水溶液中に拡散しているためです。
この状態でさらに二酸化炭素を流すと、炭酸カルシウムは水に溶けやすい炭酸水素カルシウムとなり、水溶液は再び透明になります。
問3
解答:対照実験
解説:
対照実験では、ある実験を「調べたい条件」以外のものをすべて同じにした状態で行い、両者を比べることで結果が異なれば、「調べたい条件」が原因と証明できます。
試験管Bは試験管Aの対照実験、試験管Cは試験管Aの対照実験です。
試験管AとBの違いは、光の有無のみなので、この対照実験により、光合成には光が必要であると結論づけることができます。
試験管AとCの違いは、二酸化炭素の有無のみなので、この対照実験により、光合成には二酸化炭素が必要であると結論づけることができます。
問4
解答: AとB:光(日光)、AとC:二酸化炭素
解説:
問3解説参照。
大問3
問1
解答:急に沸とうするのを防ぐため。
解説:
液体を沸騰させ、出てくる気体を冷やして、再び液体にして集める方法を蒸留といいます。
蒸留のポイントは、物質の沸点の違いを利用することで、混合物を純粋な物質に分けることができることです。
純粋な水の沸点は100℃ですが、純粋なエタノールの沸点は78.3℃と、純粋な水の沸点より低いです。
それゆえ、蒸留を進めると、最初はエタノールを多く含む液体が得られ、徐々に水が多く出てきます。
水とエタノールの混合液の蒸留の実験について、
枝つきフラスコの形と名前は覚えて、さらに、蒸留の操作と注意点として、以下の4つを押さえましょう。
①沸騰石を入れて突沸を防ぐ
②ガラス管をたまった液につけない(※)
③試験管は水で冷却する
④ガラス管は火を消す前に試験管から出す(※)
※枝つきフラスコが冷えると、フラスコ内の気圧が下がり、外気を吸うため、試験管の中の液体が逆流することがあるから。炭酸水素ナトリウムの熱分解の実験も同様の理由で、ガラス管は火を消す前に試験管から出します。
問2
解答:出てきた気体(蒸気)の温度
解説:
解答の通りです。
問3
解答: 液体:ア、方法:燃えるかどうかを調べる。においを調べる。
解説:
純粋な水の沸点は100℃ですが、純粋なエタノールの沸点は78.3℃と、純粋な水の沸点より低いです。
それゆえ、蒸留を進めると、最初はエタノールを多く含む液体(ア)が得られ、徐々に水が多く出てきます(イ→ウ)。
エタノールを多く含む液体と思われるアの確認方法は、解答の通りです。
問4
解答:物質によって沸点がちがうから。
解説:
蒸留のポイントは、物質の沸点の違いを利用することで、混合物を純粋な物質に分けることができることです。
大問4
問1
解答:金属光沢、電気をよく通す
解説:
物質は有機物と無機物に大別され、無機物はさらに、金属と非金属に分類されます。
金属には、すべての金属に共通する3つの性質があります。
①みがくと光る(金属光沢)
②たたくとのびたり、広がったりする(延性・展性)
③電気や熱を通す(電気伝導性・熱伝導性)
すべての金属に共通しない性質として、「磁石につく」があります。
磁石につくのは、鉄・ニッケル・コバルトです。
問2
解答: 口の位置:b、目盛り:53.5mL
解説:
メスシリンダーの測定方法は、以下の2つです。
①目の高さを液面の水平部分に
②最小メモリの1/10まで目分量で読み取る
よって、このときの目の位置はbです。
最小目盛りが1mLより、その1/10である0.1mLまで読み取るので、目盛りは53.5mLです。
問3
解答: 密度:7.9g/cm3、金属:鉄
解説:
密度の単位[g/cm3]に注意して解きます。
問2より、このおもりXの質量[g]は27.6g、
体積[cm3]は、53.5mL – 50.0mL=3.5mL=3.5/1000L=3.5/1000×1000cm3=3.5cm3です。
ゆえに、
おもりXの密度[g/cm3]=27.6g/3.5cm3=7.88・・・g/cm3≒7.9g/cm3
得られた密度と表の各金属の密度を照らし合わせると、おもりXの密度は鉄の密度に最も近いので、この金属は鉄でできていると考えられます。
大問5
問1
解答: 大きさ:同じ、高さ:低い
解説:
おんさやモノコードの弦などを音源といいます。
おんさを叩いたり、モノコードを弾くなどすると、音源が振動し、その振動が波として広がり、空気などの音を伝える物質(媒質)に次々と伝わることで、音が伝わります。
このようにして広がる音の波を音波といいます。
音源が1回振動すると、音源のまわりの空気が押されたり引かれたりして密度が変化し、1組の山と谷ができます。
コンピューターを用いて波形を調べると、図2のような波形になります。
このとき、図2と図3の中央を横切る線であるベースラインから、山または谷までの幅を振幅といいます。
振幅が大きいほど音が大きく、振幅が小さいほど音が小さいです。
図2と図3の音波の波形を見ると、おんさAとおんさBの振幅は同じであることが分かります。
振幅=音の大小は、おんさを強くたたくことで決まるので、この実験では、おんさAとおんさBを同じ強さで叩いて鳴らしたことが分かります。
また、音波の波形の1つの山からとなりの山(1つの谷からとなりの谷)までが1つの波で、その長さを波長といいます。
図2と図3の音波の波形は、左から右に、340m/sの速さで動いています。
1つの波が通過すると1回振動したといいます。
振動数とは、1秒間あたりに通過する波の数で、単位はHz(ヘルツ)です。
振動数が多いほど音が高く、振動数が小さいほど音が低いです。
図2と図3の音波の波形を見ると、おんさBの波長はおんさAの波長より短く、ギュッと詰まった波形をしているので、おんさBの振動数の方が大きいことが分かります。
振動数=音の高低は、おんさの材質できまるので、おんさBの方が高い音を出す材料でできていると言えます。
問2
解答: 1秒間に振動する回数:振動数、記号:Hz
解説:
音の高さは振動数の多さで決まります。
振動数が多いほど音が高く、振動数が小さいほど音が低いです。
振動数とは、1秒間あたりに通過する波の数で、単位はHz(ヘルツ)です。波が1回通過すると、1回振動したといいます。
音波の波形の1つの山からとなりの山(1つの谷からとなりの谷)までが1つの波で、その長さを波長といいます。
すなわち、波長が短いおんさは振動数が多く音が高いですが、波長が長いおんさは振動数が少なく音が低いです。
問3
解答:ウ
解説:
音源が振動すると、その振動が波として広がり、空気などの音を伝える物質(媒質)に次々と伝わることで、音が伝わります。
空気の成分比率は、体積の割合で多い順から
窒素(約78%)、酸素(約21%)、アルゴン(約0.9%)、二酸化炭素(約0.04%)です。
このほか、ネオン、ヘリウムなども微量ですが含まれています。
これら空気を構成する原子や分子は質量[g]を持つ物体で、音波によって振動し、その振動が伝わっていくことで、音が伝わります。
同様に、水には水分子が、金属には銅原子や鉄原子などがあり、それらに音波の振動が伝わっていくことで、音が伝わります。
なお、音を伝える物質と音が伝わる速さは、気体<液体<固体の順に速くなります。
例えば、空気中での音が伝わる速さは約340m/s、水中での音が伝わる速さは約1500m/s、鉄の場合は約6000m/s、です。
大問6
問1
解答:イ
解説:
太陽や豆電球など自ら光を出すものを光源といいます。
光源が見えるのは、光源からの光が直接目に入るからで、光源以外のものが見えるのは、光源から出た光が物の表面で反射し、その光が目に入るからです。
図1や図2は、光があたかも一直線に進んでいるかのように見えますが、これはスリット(微少な穴)から出た光やレーザー光線を用いて光を一本線にして、分かりやすくしているだけです。
なお光は、さえぎるものがなければ同じ物質(空気やガラスなど)の中をまっすぐに進みます。これを光の直進といいます。
図1において、光が空気のように密度低い物質から、ガラスのように密度の高い物質にななめに入射するとき、あるいはその逆の場合も、光は屈折します。
空気→ガラス→空気の場合、空気→ガラスでは入射角>屈折角となるように光は屈折し、ガラス→空気では入射角<屈折角となるように光は屈折します。
入射角と屈折角は、法線とのなす角度です。法線は、光が入射する面に対して引いた垂線です。
なお、空気→ガラス→空気の場合、空気からガラスに入射する光線と、ガラスから空気に出る光線は平行になります(平行線の同位角)。
以上から、答えはイです。
問2
解答:80度
解説:
光は直進します。
直進した光が、鏡などの面に当たって反射するとき、入射角=反射角が成り立ちます。これを反射の法則といいます。
鏡などの面に垂直な線のことを法線といいます。
入射角、反射角、屈折角は、法線とのなす角度です。
図2の場合、光が当たっている点に法線を引くと、aの角度は二等分され、50°+a/2=90°となります。
これを解いて、
50°+a/2=90° ⇔ a/2=40° ⇔ a=40°×2=80°
問3
解答:全反射
解説:
図3のようなガラスを、半円形ガラスといいます。
半円形ガラスの中心に向かって入射する光は、そのまま直進します。
半円形ガラスに光が入射する点を接点として円の接線を引くと、法線に平行に光が入射するからです。
半円形ガラスから出て行く光は、屈折します。
しかし、半円形ガラス→空気において、入射角が約42°になると、屈折角が90°になり、光は屈折できず全て反射します。
これを全反射といい、ちょうど全反射する入射角を臨界角といいます。
臨界角は、水→空気では約49°、ガラス→空気では約42°です。
光が屈折して出ていくと、一部の光は反射もするので、入射光線の光エネルギーより小さくなり、光が弱まります。
全反射では、光を弱めること無く遠くまで伝えることができます。これが全反射のメリットです。
全反射は、光ファイバーなどの通信装置に利用されています。
大問7
問1
解答:15cm
解説:
凸レンズとは、ガラス中央部分がまわりよりも厚いレンズのことです。
凸レンズに平行光線が入射すると、レンズの中心を通る光はそのまま直進し、それ以外の光はレンジに入射するときと出るときの2回屈折しますが、作図するときは、レンズの中心面で1度屈折するように作図します。
凸レンズの軸(光軸)に平行に入射した光がレンズで屈折して1カ所に集まる点を焦点(英語でfocusより、Fと書くことが多い)といいます。
レンズの中心から焦点までの距離を焦点距離といいます。
点とみなせる光源から四方に出る光のうち、凸レンズに入射する光の進み方は、以下の4つです。
①光軸に平行に進む光線は焦点を通る
②レンズの中心を通る光線はそのまま直進
③焦点を通った光線は光軸に平行に進む
④それ以外の光線は、レンズまで直進し、レンズで屈折後、光の集合点に向かう。
像の作図は、①〜③のうちの2本を作図することでできます。
凸レンズを通った光が集まってできる像を、実像といいます。
実像はスクリーン上に写すことができます。
このときに見える像は、スクリーン側から見ると、物体とは上下・左右が逆向きに見えるため、倒立実像といいます。
物体側から見た場合は、上下のみが逆の像が見えます。
光源とレンズ間の距離をa、焦点距離をfとおくと、
①a>2f(焦点距離の2倍):実物より小さい倒立実像
②a=2f:実物と同じ大きさの倒立実像
③f<a<2f:実物より大きい倒立実像。a=1.5fのとき、倒立実像の大きさは実物の2倍
④a=f:像ができない
⑤a<f(焦点の内側):実物より大きい正立虚像
問題文の表を見ると、凸レンズからスクリーンまでの距離が30cmのとき、光源から凸レンズまでの距離を30cmにすると、スクリーンに実像がはっきりと映ります。
すなわち、像の作図手順に従って作図すると、凸レンズからスクリーンまでの距離と光源から凸レンズまでの距離が30cmになり、理論値と一致するするということです。
「②レンズの中心を通る光線はそのまま直進」する光線と、実物と実像とが作る二つの三角形は合同な三角形です(1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいから)。
ゆえに、実物と実像の大きさは等しく、光源は焦点距離の2倍の位置にあるので、凸レンズの焦点距離は30cm÷2=15cmです。
問2
解答:ウ
解説:
光源とレンズ間の距離をa、焦点距離をfとおくと、
①a>2f(焦点距離の2倍):実物より小さい倒立実像
②a=2f:実物と同じ大きさの倒立実像
③f<a<2f:実物より大きい倒立実像。a=1.5fのとき、倒立実像の大きさは実物の2倍
④a=f:像ができない
⑤a<f(焦点の内側):実物より大きい正立虚像
問1より、凸レンズの焦点距離は15cm、焦点距離の2倍が30cmなので、表では光源から凸レンズまでの距離が焦点距離の2倍の30cmより内側の20cmのとき、実物より大きい倒立実像がスクリーンにはっきりと映ります。
問3
解答:実像
解説:
凸レンズを通った光が集まってできる像を、実像といいます。
実像はスクリーン上に写すことができます。
このときに見える像は、スクリーン側から見ると、物体とは上下・左右が逆向きに見えるため、倒立実像といいます。
物体側から見た場合は、上下のみが逆の像が見えます。
問4
解答: 向き:同じ、大きさ:大きい
解説:
凸レンズの焦点距離は15cmより、光源から凸レンズまでの距離が10cmでは、実物より大きい正立虚像ができます。
光が集まらない像を虚像といい、スクリーンに映すことが出来ません。
物体を凸レンズの焦点の内側に置くと、凸レンズで屈折した光が目に入り、凸レンズを通して物体より大きな虚像が見えます(虫めがねの原理)。
大問8
問1
解答: A点:作用点(力のはたらく点)、矢印の長さ:力の大きさ
解説:
力は矢印で表します。
このとき、力の三要素である力の大きさを矢印の長さで、力の向きを矢印の指す向きで、力が加わる点である作用点を矢印の視点として、それぞれ表します。
力の矢印がのっている直線を、作用線といいます。
なお、地球上で質量100gの物体に働く重力(作用点は物体の中心)の大きさを1N(ニュートン)とすることが多いですが、
正確には、地球上で質量100gの物体に働く重力の大きさは0.98Nです。
図1では、A点を作用点、矢印の長さは力の大きさを表します。
問2
解答: a:抗力(垂直抗力)、b:まさつ力
解説:
・力a=垂直抗力
図2では本が机と接しています。
本に着目すると、本には重力が働きます。力の向きは鉛直下向き、作用点は本の中心です。
しかし本は、机から鉛直上向きの力である垂直抗力を受け、重力と垂直抗力が釣り合うことで、机の上で静止しています。
机に着目すると、机は本から鉛直下向きの力を受けます。この力は本に働く重力の大きさと等しいです。
本と机とが接している点では、本が机に及ぼす鉛直下向きの力(作用する)と、机が本に及ぼす鉛直上向きの力(垂直抗力)(反作用する)が働きます。
作用・反作用は同じ作用線上にあり、大きさが同じく向きが反対ですが、力が働く相手が異なるため、作用と反作用の2つの力は釣り合いとは無関係です。
・力b=(静止)摩擦力
図3では本が机と接しており、さらに本は指から左向きの力を受けています(作用線は本の中心を机と水平に通る線)。
本に着目すると、本は指から受ける左向きの力と、右向きの摩擦力と釣り合うことで、水平方向では静止しています。
垂直方向では、本に働く重力と机から受ける垂直抗力が釣り合い、垂直方向でも静止しており、全体で本は静止の状態を保っています。
なお、摩擦力には、静止している物体にはたらく静止摩擦力と、運動している(動いている)物体にはたらく動摩擦力の2つがあります。
静止摩擦力の大きさは、物体を動かそうとする力と同じ大きさで、動かそうとする力を大きくしていくと、それに比例して静止摩擦力が大きくなり、ついには物体が動き出します。
物体がちょうど動き出すときの最大の静止摩擦力を最大静止摩擦力といい、垂直抗力の大きさに比例します。
一方、動摩擦力は静止摩擦力と異なり、物体を動かそうとする力に関係なく常に一定の大きさです。
同じ物体に働く摩擦力は、最大静止摩擦力の方が動摩擦力よりも大きく、物体が最大静止摩擦力を超えて動き出し、摩擦力の種類が静止摩擦力から動摩擦力に変わると、その後は、動き出す瞬間の引く力より小さい力で、物体を動かし続けることができます。
問3
解答:
解説:
おもりに着目すると、おもりには重力が働きます。力の向きは鉛直下向き、作用点はおもりの中心です。
質量100gの物体にはたらく重力の大きさを1Nとしているので、30gのおもりにはたらく重力の大きさは、1N/100g×30g=3/10N=0.3N(方眼の3目盛り)です。
一方、おもりは糸と接続されており、糸がおもりを引く力が働き、これが重力と釣り合うことで、おもりは静止しています。
ゆえに、糸がおもりを引く力=おもりにはたらく重力の大きさ=0.3N(方眼の3目盛り)です。
糸がおもりを引く力の向きは鉛直上向き、作用点は糸とおもりの接点です。
大問9
問1
解答:
解説:
変形した物体がもとの形に戻ろうとする力を弾性力といいます。
ばねは伸びたり縮んだりすると、自然長(元の長さ)に戻ろうとする力が働き、これをばねの弾性力といいます。
ばねにつるすおもりの質量を2倍、3倍・・・にすると、ばねの伸びも2倍、3倍・・・になり、ばねの弾性力も2倍、3倍・・・になります(伸びた分だけ弾性力が増していく)。
バネの伸び縮みした長さと、ばねの弾性力=ばねにかかる力の大きさは比例関係にあり、これをフックの法則といいます。
実際に表の値をグラフ化する(これをプロットするという)と、ばねを引く力の大きさが増すに従い、ばねの伸びは直線的に増加している、すなわち比例関係にあることが分かります。
このグラフの傾きをばね定数[N/m]といい、単位よりばね定数は、ばねを1m伸ばしたり縮めたりするのに必要な力の大きさとなります。
問2
解答: 関係:比例、法則:フックの法則
解説:
問1解説参照。
問3
解答:10.5cm
解説:
このばねは、1Nの力で7.5cmのびるので、ばね定数[N/cm]の単位に留意して、7.5cm/Nとすることができます。
このばねに140gのおもりをつるすと、ばねに1.4Nの力がかかるので、ばねは、7.5cm/N×1.4N=7.5×1.4cm=7.5×(1+0.4)=7.5+7.5×0.4=7.5+7.5×4/10=7.5+30/10=7.5+3=10.5cmのびます。
大問10
問1
解答:エ
解説:
ふれあう面の単位面積[m2]あたりに加わる垂直方向の力[N]を圧力といいます。
これから、圧力の単位は[N/m2]=[Pa]です。
A面を下にしたときの圧力を圧力A、B面を下にしたときの圧力を圧力B、C面を下にしたときの圧力を圧力Cとします。
いずれの面を下にしても、台ばかりが受ける力[N]の大きさは6N(=物体にはたらく重力の大きさ)です。
圧力の単位[N/m2]に留意して以下のような比例式を立てます。
圧力A:圧力B=6N/10cm×5cm:6N/5cm×2cm=1/10×5:1/5×2=5×2:10×5=2:10=1:5
圧力B:圧力C==6N/5cm×2cm:6N/10cm×2cm=1/5×2:1/10×2=10×2:5×2=10:5=2:1=5:5/2より、
圧力A:圧力B:圧力C=1:5:5/2=2:10:5となり、圧力A<圧力C<圧力Bとなります。
ここで、物体のA面、B面、C面をそれぞれ下にして台ばかりの上に置いたとき、いずれも台ばかりに加える力[N]の大きさは6Nです。
レンガのA面、B面、C面の面積比は、
A面:B面:C面=5cm×10cm:5cm×2cm:2cm×10cm=50:10:20=5:1:2より、B面<C面<A面となり、圧力A<圧力C<圧力Bと逆の関係になります。
これから、面が受ける垂直方向の力が同じ場合、圧力比と面積比は逆比(大きさが逆になる)という関係が成り立ちます。
問2
解答:1200Pa
解説:
圧力の単位は[N/m2]=[Pa]です。圧力の単位に注意して、A面を下にしたときの圧力は、
6N/10cm×5cm=6N÷10/100m÷5/100m=6×100×100÷10÷5=6×10×20=12×100=1200N/m2=1200Pa
問3
解答:5倍
解説:
問1解説より、
圧力A:圧力B:圧力C=1:5:5/2=2:10:5より、最も大きい圧力Bと、最も小さい圧力Aの圧力比は、
圧力A:圧力B=2:10=1:5 より、床にはたらく圧力が最も大きくなるときと最も小さくなるときでは、圧力は5倍ちがいます。
大問11
問1
解答: 重力:4.5N、a:15cm
解説:
・物体に働く重力の大きさ
物体に働く重力の大きさは、場所によらず一定です。
力は物体の中心から(鉛直)下向きに働きます。
グラフを見ると、水面から物体の下面までの距離が0cm、すなわち物体を水に沈めずばねばかりでつるしただけの状態のときのばねばかりの値は4.5Nより、物体に働く重力の大きさは4.5Nです。
・物体の高さ
ばねばかりを用いて、物体の重さを水中ではかると、物体は水から鉛直上向きの力を受け、空気中ではかるよりも軽くなります。
この力を浮力といいます。
物体は水中では、上面と下面、左右の面それぞれから水の圧力である水圧を受けます。
水圧は物体が深く沈むほど、大きくなります。
左右の面が受ける水圧の大きさは等しいので、互いに打ち消し合います。
しかし、上面と下面では、下面にかかる水圧の大きさ(鉛直上向き)が上面にかかる水圧の大きさ(鉛直下向き)より大きいため、その差が浮力となります。
また、浮力[N]とは物体が押しのけた流体の重さ[N]ということができ、これをアルキメデスの原理といいます。
仮に、水の密度を1.0g/cm3(4℃の水)とします。
物体の体積は50cm3より、物体をこの水に完全に沈めた場合、物体が押しのけた水の体積は50cm3、50cm3の水の質量[g]は、1.0g/cm3×50cm3=50gです。
100gの物体にはたらく重力の大きさを1Nと仮定すると、50cm3の水の重さ[N]は、1N/100g×50g=1/2N=0.5Nとなるので、物体に働く浮力の大きさは0.5Nとなります。
アルキメデスの原理より、物体に働く浮力の大きさは、物体の体積に依存します。
ゆえに、物体が水中に完全に沈むと、物体に働く浮力の大きさはそれ以上増加しません。
グラフを見ると、水面から物体の下面までの距離が15cm以上になると、ばねばかりの値が一定になっています。
つまり、物体に働く浮力の大きさが変化しないということなので、水面から物体の下面までの距離が15cmのときに、物体が水に完全に沈んでいます。
ゆえに、この直方体の物体の高さは15cmです。
問2
解答:ウ
解説:
物体は水中では、上面と下面、左右の面それぞれから水の圧力である水圧を受けます。
水圧は物体が深く沈むほど、大きくなります。
左右の面が受ける水圧の大きさは等しいので、互いに打ち消し合います。
しかし、上面と下面では、下面にかかる水圧の大きさ(鉛直上向き)が上面にかかる水圧の大きさ(鉛直下向き)より大きいため、その差が浮力となります。
問3
解答:1N
解説:
グラフを見ると、水面から物体の下面までの距離が10cmのとき、ばねばかりの値は3.5Nです。
問1より、物体にはたらく重力の大きさは4.5Nより、物体にはたらく浮力の大きさは、4.5N – 3.5N=1.0Nです。