大問1
問1
解答: 密度:A 2.72g/cm3、B 7.89g/cm3、金属:A アルミニウム、B 鉄
解説:
単なる単位計算の問題です。
求めるのは密度(g/cm3)で、密度の単位(g/cm3)を見ると、分子が質量(g)、分母が体積(cm3)なので、質量(g)を体積(cm3)で割って密度(g/cm3)を算出します。。
・金属A
表より、金属Aの質量は16.32g、体積は6.0cm3より、金属Aの密度(g/cm3)は
金属Aの密度(g/cm3)=16.32g/6.0cm3=2.72g/cm3
表より、密度2.72g/cm3の値に最も近い金属は、アルミニウムであることが分かります。
・金属B
表より、金属Bの質量は23.67g、体積は3.0cm3より、金属Bの密度(g/cm3)は
金属Bの密度(g/cm3)=23.67g/3.0cm3=7.89g/cm3
表より、密度7.89g/cm3の値に最も近い金属は、鉄であることが分かります。
なお、問題文②に、金属AとBの体積をメスシリンダーを用いて測ったとあります。
測定方法ですが、メスシリンダーに10cm3の水を入れ、金属AおよびBをメスシリンダーに沈めて、メスシリンダーの目盛りの差分を測定します。
このとき、メスシリンダーの測定の注意点として、
①目の高さを液面の水平部分に
②最小メモリの1/10まで目分量で読み取る
表で、金属AとBの体積が小数第一位まで表示されているのは、「②最小メモリの1/10まで目分量で読み取る」からです。
問2
解答: ・特有の光沢がある ・電気をよく通す。(など)
解説:
物質は有機物と無機物に大別され、無機物はさらに、金属と非金属に分類されます。
金属には、すべての金属に共通する3つの性質があります。
①みがくと光る(金属光沢)
②たたくとのびたり、広がったりする(延性・展性)
③電気や熱を通す(電気伝導性・熱伝導性)
すべての金属に共通しない性質として、「磁石につく」があります。
磁石につくのは、鉄・ニッケル・コバルトです。
問3
解答: 水に浮くか:×、理由:水の密度よりプラスチックの密度の方が大きいから。
解説:
表より、プラスチックの密度は、
プラスチックの密度(g/cm3)=14.84g/14.0cm3>1.00g/cm3
より、実験を行ったプラスチックの密度は(4℃の)水の密度より大きいので、水に沈みます。
プラスチックの種類として、以下の4種類を押さえておきましょう。
・ポリエチレンテレフタレート(PET):燃やすと多少のすすがでる
・ポリエチレン(PE):水に浮く
・ポリスチレン(PS):すすを出しながら燃える
・ポリプロピレン(PP):水に浮く
ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)以外は、4℃の水(密度 1.0g/cm3)より密度が大きいため、水に沈みます。
問4
解答:二酸化炭素
解説:
プラスチックの原料は、ほとんどが石油(ナフサ)です。
石油は有機物であるので炭素(C)と水素(H)を含んでおり、燃やす(酸素O2と化合する)と二酸化炭素(CO2)と水(H2O)が発生します。
プラスチックの性質として、以下の4つがあります。
①軽くてしなやか
②熱や油、薬品に強い
③耐水性、可塑性(変形した物体が元の形に戻らない性質)にすぐれている
④生分解性プラスチックは、土のなかで微生物により分解される
大問2
問1
解答:20%
解説:
質量パーセント濃度の公式は、以下の通りです。
質量パーセント濃度(%)=塩(g)/水(g)+塩(g)×100=塩(g)/水溶液(g)×100
ただし、質量パーセント濃度は、溶けている物質に対しての濃度であることに注意です。
ここで、与えられた溶解度曲線を見ます。
溶解度とは、水100gに溶ける溶質の限界の質量です。
溶解度曲線より、20℃の水100gに硝酸カリウムは、約33g溶けます。溶解度は約33gです。
問題では、20℃の水100gに硝酸カリウムを25g入れているので、
溶解度曲線の水100gのときの値をそのまま使用すると、入れた硝酸カリウムの質量25gが溶解度約33gより小さいので、硝酸カリウムはすべて溶けます。
ゆえに、水100gと硝酸カリウムを25gの値を質量パーセント濃度の公式に代入します。
質量パーセント濃度(%)=25g/100g+25g×100=25g/125g×100=1/5×100=20%
問2
解答:3g
解説:
再結晶の方法として、①水溶液を冷やして取り出す、②水溶液を蒸発させて取り出す、の2つがあります。
①水溶液を冷やして取り出す
温度を下げると溶解度が大きく変化する物質に用いられます(温度による溶解度の変化が大きい)。
溶解度曲線を見ると、硝酸カリウムは温度を下げると溶解度が大きく変化するので、硝酸カリウムの再結晶には水溶液を冷やして取り出す方法が用いられます。
②水溶液を蒸発させて取り出す
温度を下げても溶解度があまり変化しない物質に用いられます(温度による溶解度の変化が小さい)。
溶解度曲線でよく出てくる塩化ナトリウムは、温度を下げても溶解度があまり変化しないので、塩化ナトリウムの再結晶には水溶液を蒸発させて取り出す方法が用いられます。
硝酸カリウムは温度による溶解度の変化が大きい、塩化ナトリウムは温度による溶解度の変化が小さいことは、溶解度曲線と合わせて覚えましょう。
硝酸カリウムの再結晶において、以下の2パターンの問題が出題されます。
①この温度ですべて溶けるか否か
→実験内容を溶解度曲線に合わせる。具体的には、実験で用いた水の質量を100gになるよう、水と溶媒の質量を等倍する。
②温度を下げたとき何gの結晶が析出するか
→溶解度曲線を実験内容に合わせる。具体的には、溶解度曲線の水の質量100gを、実験で用いている水の質量になるよう等倍する。
この問題では、②のパターンの問題なので、溶解度曲線を実験内容に合わせます。
といっても、この問題では実験で100gの水を用いているので、溶解度曲線をそのまま使用できます。
溶解度曲線を見ると、硝酸カリウムは20℃・100gの水に約33g溶けます。
実験では20℃・100gの水に硝酸カリウム25gを加えているので、硝酸カリウムはすべて溶けています。
ここから硝酸カリウム水溶液を10℃まで下げたとき、溶解度曲線を見ると、硝酸カリウムは10℃・100gの水に22g溶けるので、析出する硝酸カリウムの結晶の質量は、
25g – 22g=3g
問3
解答:再結晶
解説:
問2解説参照。
大問3
問1
解答:窒素
解説:
空気の成分比率は、体積の割合で多い順から
窒素(約78%)、酸素(約21%)、アルゴン(約0.9%)、二酸化炭素(約0.04%)です。
このほか、ネオン、ヘリウムなども微量ですが含まれています。
アルゴン・ネオン・ヘリウムは化学的にとても安定しており、他の物質と化学反応を起こしにくい希ガスと呼ばれる気体です。
アルゴンは体積の割合で、二酸化炭素の約20倍も含まれています。
空気の約8割を占める窒素は、以下の5つの性質を持ちます。
①無色・無臭、②空気より少しだけ軽い、③水に溶けにくい、④助燃性(O2)・可燃性(H2)なし
★⑤常温では他の物質と結びついて化学変化を起こすことはほとんどない(この性質を利用した食品の酸化を防ぐ方法に、窒素充填がある)
問2
解答:③
解説:
酸素の発生法として、以下の3つがあります。
★①うすい過酸化水素水に二酸化マンガンを加える
②過酸化水素水を加熱する
③酸素系漂白剤にお湯を加える。
重要なのは、「①うすい過酸化水素水に二酸化マンガンを加える」です。
二酸化マンガンにうすい過酸化水素水を加えると、酸素が発生します。
化学反応式は、
2H2O2→2H2O+O2
二酸化マンガンは過酸化水素水の分解を助けるだけで、自身は変化しない触媒なので、繰り返し使用できます。
それゆえ、この実験で発生する酸素の量(cm3)は、過酸化水素水の量(cm3)や濃度(質量パーセント濃度)に依存します。
なお、二酸化マンガンの代用として、生のレバー(牛などの肝臓)、生のジャガイモなど、酵素を含むもので代用可能です。
酸素の性質として、以下の4つを押さえましょう。
①無色・無臭、②空気よりやや重い(空気の約1.1倍)、③水にとけにくい、④助燃性をもつ
他の選択肢を見ます。
①二酸化炭素の発生法のひとつです。
二酸化炭素の発生法として、以下の3つを押さえましょう。
・石灰石+うすい塩酸→塩化カルシウム+水+二酸化炭素
→酸素の捕集法と同じ実験装置で、二酸化炭素を捕集できます。
→石灰石の主成分は炭酸カルシウムなので、同じ炭酸水素カルシウムが主成分の、卵の殻、貝殻、大理石(堆積岩である石灰岩の変成岩)、チョークの粉などで代用できます。
・炭酸水素ナトリウム→炭酸ナトリウム+水+二酸化炭素
・炭酸水素ナトリウム+うすい塩酸→塩化ナトリウム+水+二酸化炭素
②水素の発生法のひとつです。このほか、マグネシウムにうすい塩酸を加えても水素が発生します。
④アンモニアの発生法のひとつです。
このほか、塩化アンモニウムと水酸化ナトリウムを加熱してもアンモニアが発生します(水酸化ナトリウムの溶解熱により、加熱をしなくても反応が連鎖的に進む発熱反応)。
また、炭酸アンモニウムを熱分解してもアンモニアが発生します(二段階反応)
問3
解答: 気体:A ④、B ③、C ②、D ①、酸素:ア
解説:
気体の捕集方法として、水上置換法・下方置換法・上方置換法の3つがあります。
・水上置換法
発生した気体が水に溶けにくい気体(酸素や水素や二酸化炭素など)のとき、水上置換法を用います。
はじめに出てくる気体はフラスコ内の空気なので、集めません。
・下方置換法
発生した気体が水に溶けやすく空気より重い気体(塩素など)のとき、下方置換法を用います。
容器をガラス板で蓋をし、隙間からガラス管を容器の奥まで入れることで、容器内部の空気が追い出され、容器が発生した気体で満たされます。
・上方置換法
発生した気体が水に溶けやすく空気より軽い気体(アンモニアなど)のとき、上方置換法を用います。
ガラス管を容器の奥まで入れることで、容器内部の空気が追い出され、容器が発生した気体で満たされます。
アンモニアのとき、容器の入り口に塩酸をつけたガラス棒を近づけ、塩化アンモニウムの白煙が生じたら、容器がアンモニアで満たされれていることが確認できます。
大問4
問1
解答: 注ぐ前:ア、注いだ後:ウ
解説:
純粋なエタノールの沸点は78.3℃なので、90℃の熱い湯を注ぐ前は、エタノールの温度は室温と同じ温度なので液体ですが、
90℃の熱い湯をエタノールの入ったポリエチレンの袋に注ぐと、エタノールの温度が沸点を超えるため気体になります。
問題文に「90℃の熱い湯を注ぐと袋は大きくふくらみ、袋の中のエタノールはほとんど見えなくなった」とあるので、エタノールが気体になったことが分かります。
水以外の物質において、物質を構成する粒子の動きは、
固体→粒子は集合して細かく振動(ア)。体積(cm3)が小さく質量(g)は他の状態と同じより、密度(g/cm3)は最も大きい。
液体→粒子どうしがくっついたり離れたりする(イ)。体積(cm3)が固体より大きく質量(g)は他の状態と同じより、密度(g/cm3)は固体の状態より小さい。
気体→粒子は激しく動き自由に飛び回る(ウ)。体積(cm3)が液体より遙かに大きく質量(g)は他の状態と同じより、密度(g/cm3)は液体の状態よりかなり低い。
水は融点が0℃、沸点が100℃ですが、4℃のとき(液体)体積が最小となり、密度が最大(1.0g/cm3)となります。
それゆえ、氷は水に浮きます。
氷が表面から凍るのは、0℃の水が4℃の水より密度が小さいため、水面に移動し、水面に移動した0℃の水から凍るためです。
問2
解答:状態(変化)
解説:
固体から液体への状態変化を融解、液体から固体への状態変化を凝固、液体から気体への状態変化を気化、気体から液体への状態変化を液化、固体から気体または気体から固体への状態変化を昇華といいます。
問3
解答: 質量:変化しない、体積:大きくなる
解説:
問1解説参照。
大問5
問1
解答:柱頭
解説:
・図1
花の4要素は、外側から、がく・花弁・おしべ・めしべの順です。
アはめしべの柱頭、イはめしべの子房、ウはめしべの胚珠です。
おしべのやくにの中には花粉母細胞(核相2n)があり、そこから成熟花粉(核相n、生殖細胞(精細胞)なので減数分裂して染色体の数が半分になっている)が作られます。
花粉がめしべの柱頭に付着することが受粉で、受粉後、花粉管の伸張により精細胞が胚珠の中の卵細胞(核相n)と受精し受精卵となります。
受精後、胚珠は種子に、子房は果実に、受精卵は胚となります。
なお、生殖細胞の呼び方は、被子植物の場合は精細胞と卵細胞、動物の場合は精子と卵です。
被子植物は、子葉の枚数により単子葉類(1枚)と双子葉類(2枚)に分類され、双子葉類はさらに花弁の付き方により、合弁花類と離弁花類に分類されます。
単子葉類として、イネ・トウモロコシ・スズメノカタビラ・ユリ・アヤメ・ツユクサ・チューリップを、
合弁花類として、ツツジ・タンポポ・アサガオを、
離弁花類として、サクラ・アブラナ・エンドウを、
それぞれ覚えましょう。
・図2
植物はまず、種子で増えるか胞子で増えるかで大きく分けられます。
種子で増える植物を種子植物といい、胚珠が子房で包まれている植物を被子植物、胚珠がむきだしの植物を裸子植物といいます。
図2のマツは、裸子植物です。
マツの種子のでき方について。
雄花のりん片にある花粉のう(オ)から花粉が風で飛び、雌花の胚珠(エ)につき受粉します。
受粉後すぐに受精が起こらず、雌花は翌年の春まで花粉を守り、翌年の春から夏にかけて受精します。
受精後、胚珠は種子に、雌花はまつかさに成長します。
図2の雄花の側には1年前に受粉した雌花があり、図2の右下にあるのはまつかさ(2年前に受粉した雌花)です。
問2
解答: 種子になる部分:ウ、エ 名前:胚珠
解説:
問1解説参照。
問3
解答: 子房がある:被子(植物)、子房がない:裸子(植物)
解説:
問1解説参照。
大問6
問1
解答:イ
解説:
植物の葉には葉緑体があり、光合成は葉緑体で行われます。
根で吸収した水が茎の道管(維管束の内側)から葉の維管束である葉脈(維管束の上側)を通り葉緑体に届けられ、
孔辺細胞の隙間である気孔で吸収された二酸化炭素を日光(光エネルギー)を用いて、単糖類であるグルコース(ブドウ糖)と酸素に合成されます。
グルコースは水に溶けやすく、このままの形では葉に栄養分を貯蔵できないため、グルコースが多数つながった水に溶けにくいデンプンにつくり変えられます。
夜間に水に溶けやすい二糖類のスクロース(ショ糖)に変えられ、師管を通ってからだの各部へ運ばれて、呼吸や成長の材料として使われます。
植物が光合成を行うことを確認する実験として、「ふ」入りの葉を使った実験があります。
まず、ふ入りの葉の一部をアルミニウムはくでおおい、1日暗室に置いて葉のデンプンを無くし、翌日、日光に当てます。
次に、葉を熱湯につけたあと、あたためたエタノールにつけて葉の緑色を脱色し、ヨウ素液にひたします。
その結果、アルミニウムはくでおおった部分(光なし)とふの部分(葉緑体なし)は色が変化しないことから、光合成には光と葉緑体が必要であることが分かります。
選択肢アとエのBTB溶液は、植物が呼吸をすることを確認するために使用します。
問2
解答:葉の緑色を脱色するため。
解説:
問1解説参照。
問3
解答:デンプン
解説:
A(緑色の部分)には葉緑体があり、光が当たっているので、グルコース(ブドウ糖)からデンプンに作り変えられ、貯蔵されていることが分かります。
問4
解答: 光:ア、葉緑体:ウ
解説:
光合成には光と葉緑体が必要であることを確かめるには、
光→光が当たっておりかつ葉緑体があるAと、光が当たっていないBの部分を比べるとよいです。
葉緑体→光が当たっておりかつ葉緑体があるAと、ふの部分であるDの部分を比べるとよいです。
「光と葉緑体が必要である」→光と葉緑体があるものと、光と葉緑体が無いものを選ぶのがポイントです。
大問7
問1
解答: ア:主根、イ:側根
解説:
植物はまず、種子で増えるか胞子で増えるかで大きく分けられます。
種子で増える植物を種子植物といい、胚珠が子房で包まれている植物を被子植物、胚珠がむきだしの植物を裸子植物といいます。
被子植物は、子葉の枚数により単子葉類(1枚)と双子葉類(2枚)に分類され、双子葉類はさらに花弁の付き方により、合弁花類と離弁花類に分類されます。
単子葉類として、イネ・トウモロコシ・スズメノカタビラ・ユリ・アヤメ・ツユクサ・チューリップを、
合弁花類として、ツツジ・タンポポ・アサガオを、
離弁花類として、サクラ・アブラナ・エンドウを、
それぞれ覚えましょう。
これに加えて、ホウセンカは双子葉類であることも覚えましょう。
双子葉類は、子葉が2枚、葉脈(葉の維管束)が網状脈、茎の維管束が輪状に並びます。
維管束とは、道管と師管の束のことです。
道管は、根から吸収された水や肥料分が通る管で、茎では維管束の内側にあります。
師管は、葉で光合成で作られた養分(デンプン→ショ糖)が通る管で、茎では維管束の外側にあります。
双子葉類の根は、主根(ア)と側根(イ)からなり、根の先端ちかくに根毛があり、表面積を広げる構造をしており、これにより水や肥料分を効率よく吸収できます。
問2
解答:
赤い部分の名前:道管
解説:
双子葉類であるホウセンカの茎は、形成層があり、形成層を中心に維管束が輪状に並んでいます。
維管束の内側が道管で外側が師管です。
道管は根から吸収された水や肥料分が通る管なので、赤色のインクを溶かした水は、道管を通り、葉の維管束である葉脈に送り届けられ、光合成の材料として使われます。
問3
解答:④
解説:
問1解説参照。
植物の種類は、少ない方を覚えるのがコツです。
単子葉類の例は、しっかり覚えましょう。
単子葉類の例→イネ・トウモロコシ・スズメノカタビラ・ユリ・アヤメ・ツユクサ・チューリップ
大問8
問1
解答:石灰水
解説:
植物は光合成と呼吸を同時に行います。
光合成では、葉の気孔から、二酸化炭素が入り酸素が出ます。
呼吸では、葉の気孔から、酸素が入り二酸化炭素が出ます。
光の当たる場所では、光合成のはたらきの方が強くなるので、光合成で出入りする気体の量が、呼吸で出入りする気体の量より多くなり、あたかも酸素が放出されているかのように見えます。
光の当たらない場所では、呼吸のみ行われるので、二酸化炭素のみ放出されます。
石灰水に二酸化炭素を通すと、白く濁ります。
図1と図2では、Cの袋にある葉が二酸化炭素のみ放出しているので、Cの袋の空気は二酸化炭素で満たされており、石灰水に通すと白く濁ります。
石灰水とは水酸化カルシウム(Ca(OH)2)のことです。
水酸化カルシウムは水溶液中に水酸化物イオン(OH–)があるので、アルカリ性です。
水酸化カルシウム水溶液に二酸化炭素(CO2)が溶けると炭酸(H2CO3)となり、水素イオン(H+)が放出されるので、酸性の性質を示します。
アルカリ性の水酸化カルシウムに、酸性の炭酸が加わることで中和が起こり、炭酸カルシウム(CaCO3)の塩が発生します。
炭酸カルシウムは白色の固体で、水にとけにくいため、水溶液中に拡散します。
石灰水が白く濁るのは、炭酸カルシウムが水溶液中に拡散しているためです。
この状態でさらに二酸化炭素を流すと、炭酸カルシウムは水に溶けやすい炭酸水素カルシウムとなり、水溶液は再び透明になります。
問2
解答:CとD
解説:
対照実験の問題です。
対照実験では、ある実験を「調べたい条件」以外のものをすべて同じにした状態で行います。そして、両者を比べることで結果が異なれば、「調べたい条件」が原因と証明できます。
「二酸化炭素が増えたことが緑色の若い葉のはたらきであることを確かめるには」、日光が当たらず呼吸のみ行われるCを用います。
しかしCだけだと、葉以外の要素が原因で二酸化炭素が増えたとも言えてしまうので、緑色の若い葉のみ無いDを用いて、CとDを比べることで、二酸化炭素が増えたことが緑色の若い葉のはたらきであることを確かめることができます。
問3
解答:対照実験
解説:
問2解説参照。
問4
解答:光合成で取り入れる二酸化炭素の量が、呼吸で出す二酸化炭素の量より多いから。
解説:
問1解説参照。
大問9
問1
解答:水が水面から蒸発するのを防ぐため。
解説:
蒸散量を調べる実験を題材にした問題です。
植物の葉の表、葉の裏、茎には気孔(孔辺細胞の隙間)があり、気孔から酸素や二酸化炭素が出入りし、水蒸気が出て行きます。
植物体内の水が、気孔から水蒸気となって体外に放出される現象を蒸散といいます。
蒸散量を調べる実験では、問題の通り、ワセリンがよく用いられます。
また、蒸散量を正確に調べるために、試験管に油を入れ、水が試験管から蒸発するのを防止します。
問2
解答:気孔
解説:
気孔は孔辺細胞のすきまにできる小さな穴です。
多くの陸上植物は、葉の表側より裏側に気孔が多く分布しますが、オニユリなどでは葉の表と裏でほぼ同数の気孔が分布しています。
気孔は茎にもあることに注意してください。
問3
解答:ウ、ア、イ
解説:
図1アでは、葉の表側にワセリンをぬっているので、葉の裏側と茎から蒸散が起こっています。
図1イでは、葉の裏側にワセリンをぬっているので、葉の表側と茎から蒸散が起こっています。
図1ウでは、ワセリンをぬっていないので、葉の表側と葉の裏側と茎から蒸散が起こっています。
これより、1時間あたりの蒸散量が最も多いのは、ウです。
ホウセンカは陸上植物で、葉の表側より裏側に気孔が多く分布するので、アとイで1時間あたりの蒸散量が多いのは、アであると考えられます。
問4
解答:蒸散
解説:
蒸散がもつ3つのはたらきは、
①体内の水分量の調節
②植物体の温度調節
→蒸散が起こると気化熱により植物体の温度が下がる
③水分移動の促進
→葉で蒸散が起こると植物体の水分量が減り、葉の細胞内液の濃度が高くなり、根から道管に水を押し上げる力である根圧と、葉が道管から水を吸収しようとする力である吸水力により、水分移動が促進される
大問10
問1
解答:胞子のう
解説:
植物はまず、種子で増えるか胞子で増えるかで大別され、種子で増える植物を種子植物といいます。
胞子で増える植物は、今度は維管束があるかどうか、または、根・茎・葉の区別かあるかどうかで大別され、
維管束がある植物をシダ植物、ない植物をコケ植物といいます。
イヌワラビはシダ植物です。
シダ植物の個体の増やし方は、
葉の裏にある胞子のうが乾いて裂けて胞子が飛び出て、胞子が発芽して前葉体となり、前葉体の造精器(雄器)から精子が雨の日に泳いで別の前葉体の造卵器(雌器)の卵までいき受精し、受精卵が成長し若いシダとなって増えます。
シダ植物は、無性生殖→有性生殖の順で個体を増やします。
スギゴケやゼニゴケはコケ植物です。
コケ植物は、雄株と雌株の区別があるものが多いです。
個体の増やし方は、
雄株の雄器で精子が、雌株の雌器で卵が作られ、雨の日などに精子が雌器の卵まで泳いで受精し、受精卵が育つと雌器に胞子のうができて胞子がつくられ、胞子のうが破れて胞子が飛び散り、発芽・成長して雄株と雌株になります。
コケ植物は、有性生殖→無性生殖の順で個体を増やします。
図1のアはイヌワラビの葉の裏にある胞子のう、図2のイはスギゴケの雌株にある胞子のうです。
問2
解答:仮根
解説:
図2のウの部分は、仮根です。
コケ植物は、根・茎・葉の区別がなく、からだの表面で水を吸収するため、シダ植物よりも湿った場所に生育します。
仮根は水を吸収する力は弱く、主にからだを地面に固定するはたらきをします。
問3
解答:①、③
解説:
シダ植物とコケ植物の相違点について。
シダ植物は、根・茎・葉(維管束)の区別があり根(ひげ根)で水を吸収します。
コケ植物は、根・茎・葉(維管束)の区別がなく、からだの表面で水を吸収します。また、雄株と雌株に分かれていることが多いです。
シダ植物とコケ植物の類似点について。
種子ではなく胞子で増える、湿ったところで生育する、葉緑体を持ち光合成をする、雄器で作られた精子が泳ぐために受精には水が必要、の4つです。
問4
解答:シダ(植物)
解説:
省略。
問5
解答:からだの表面から吸収する。
解説:
省略。
大問11
問1
解答: A:エ、B:ア、C:イ
解説:
植物の分類の観点はまず、種子をつくるか否かで大別します。
種子を作る植物を種子植物といいます。
種子植物はさらに、胚珠が子房に包まれているか否かで分類し、胚珠が子房に包まれている植物を被子植物、胚珠がむきだしの植物を裸子植物(②)といいます。
被子植物はさらに、子葉の枚数で分類し、子葉が1枚の植物を単子葉類(①)、子葉が2枚の植物を双子葉類といいます。
双子葉類はさらに、花弁がくっついているか否か(特徴C)で分類し、花弁がくっついている植物を合弁花類、花弁が離れている植物を離弁花類といいます。
単子葉類として、イネ・トウモロコシ・スズメノカタビラ・ユリ・アヤメ・ツユクサ・チューリップを、
合弁花類として、ツツジ・タンポポ・アサガオを、
離弁花類として、サクラ・アブラナ・エンドウを、
それぞれ覚えましょう。
これに加えて、ホウセンカは双子葉類であることも覚えましょう。
種子を作らず、胞子で増える植物は、今度は維管束があるかどうか、または、根・茎・葉の区別かあるかどうか(特徴B)で大別され、
維管束がある植物をシダ植物(③)、ない植物をコケ植物といいます。
シダ植物として、イヌワラビ・ゼンマイ・スギナを、
コケ植物として、スギゴケ・ゼニゴケを、
それぞれ覚えましょう。
問2
解答:単子葉(類)
解説:
問1解説参照。
問3
解答: ②:b、③:d
解説:
問1解説参照。