指導経験20年以上のプロ家庭教師。北海道の高校受験に特化。勉強がとても苦手な子の指導が得意です。
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大問1
問1
解答: 何から:石油(ナフサ)、性質:燃えると二酸化炭素と水が発生する。
解説:
プラスチックの原料は、ほとんどが石油(ナフサ)です。
石油は有機物であるので炭素(C)と水素(H)を含んでおり、燃やす(酸素O2と化合する)と二酸化炭素(CO2)と水(H2O)が発生します。
プラスチックの性質として、以下の4つがあります。
①軽くてしなやか
②熱や油、薬品に強い
③耐水性、可塑性(変形した物体が元の形に戻らない性質)にすぐれている
④生分解性プラスチックは、土のなかで微生物により分解される
プラスチックの種類として、以下の5種類を押さえておきましょう。
・ポリエチレンテレフタレート(PET):燃えにくいが多少のすすがでる
・ポリエチレン(PE):溶けながらよく燃える、水に浮く
・ポリスチレン(PS):すすを出しながら燃える
・ポリプロピレン(PP):溶けながらよく燃える、水に浮く
・ポリ塩化ビニル(PVC):燃えにくい
ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)以外は、4℃の水(密度 1.0g/cm3)より密度が大きいため、水に沈みます。
問2
解答:7.5cm3
解説:
メスシリンダーの測定方法は、以下の2つです。
①目の高さを液面の水平部分に
②最小メモリの1/10まで目分量で読み取る
図2のメスシリンダーは、最小目盛りが1mLより、その1/10である0.1mLまで読み取るので、目盛りは57.5mLです。
問題文に「100mL用のメスシリンダーに水を50.0mL入れ」とあるので、体積が7.5mL増加しています。
この増加分が、プラスチック片Aの体積に相当します。
7.5mL=7.5/1000L=7.5/1000×1000cm3=7.5cm3
より、プラスチック片Aの体積は7.5cm3です。
問3
解答:1.4g/cm3
解説:
密度の単位[g/cm3]に注意して解きます。
表より、プラスチック片Bの質量[g]は7.0g、体積[cm3]は=5.2cm3です。
ゆえに、
プラスチック片Bの密度[g/cm3]=7.0g/5.2cm3=1.38・・・g/cm3≒1.4g/cm3
プラスチック片Bの密度[g/cm3]は、4℃の水(密度 1.0g/cm3)より密度が大きいため、水に沈みます。
問4
解答: 沈むもの:B、C 理由:水より密度が大きいから。
解説:
水以外の物質について、液体と固体において、
液体の密度が固体より小さい場合、密度が大きい固体は液中に沈みます。
液体の密度が固体より大きい場合、密度が小さい固体は浮きます。
液体の密度と固体の密度が等しい場合、固体は液体中で静止します。
水以外の物質において、物質を構成する粒子の動きは、
固体→粒子は集合して細かく振動。体積(cm3)が小さく質量(g)は他の状態と同じより、密度(g/cm3)は最も大きい。
液体→粒子どうしがくっついたり離れたりする。体積(cm3)が固体より大きく質量(g)は他の状態と同じより、密度(g/cm3)は固体の状態より小さい。
気体→粒子は激しく動き自由に飛び回る。体積(cm3)が液体より遙かに大きく質量(g)は他の状態と同じより、密度(g/cm3)は液体の状態よりかなり低い。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
4℃の水(密度 1.0g/cm3)より密度が大きいプラスチック片が、水に沈みます。
問3より、プラスチック片Bは水に沈みます。
密度の単位[g/cm3]より、質量[g]>体積[cm3]のとき、密度[g/cm3]>1となり水に沈みます。
表2より、質量[g]>体積[cm3]となのは、プラスチック片BとCです。
大問2
問1
解答: 物質:酸化銅、色:黒色
解説:
化学変化のうち、2種類以上の物質が結びついて、まったく別の新しい物質ができる変化を、化合といいます。
化合の例として、以下の例を覚えましょう。
・鉄と硫黄の化合
鉄+硫黄→硫化鉄(Fe+S→FeS)
質量比は、Fe:S:FeS=7:4:11、です。
鉄の色は灰色、硫黄は黄色、硫化鉄は黒色です。
鉄は磁石につきますが、硫化鉄はつきません。
鉄に塩酸を加えると水素が発生し、硫化鉄に塩酸を加えると硫化水素が発生します。
硫化水素は、卵のくさったようなにおいのする有毒な気体で、においをかぐときは、手であおぐようにしてかぎます。
鉄と硫黄の化合は発熱反応で、反応で発生する熱で反応が次々と進みます。
・銅と硫黄の化合
銅+硫黄→硫化銅(Cu+S→CuS)
質量比は、Cu:S:CuS=2:1:3、です。
銅の色は赤色、硫黄の色は黄色、酸化銅の色は黒色です。
実験では、らせん状にした銅線を溶けた硫黄の中に入れます。
■酸化
ある物質が酸素と化合することを酸化といい、酸化によってできた物質を酸化物といいます。
酸化の例として、銅の酸化とマグネシウムの燃焼を押さえましょう。
・銅の酸化
銅+酸素→酸化銅(2Cu+O2→2CuO)
銅が過不足なくすべて反応したときの質量比は、Cu:O2:CuO=4:1:5、です。
赤色の銅が黒色の酸化銅に変化します(酸化銅や酸化銀は黒色)。
銅を加熱するとき、加熱前と加熱後の質量の差が、化合した酸素の質量となります。
実験中、よくかき混ぜて空気に十分に触れさせないと、未反応部分がでてきてしまいます。
化学反応式「2Cu+O2→2CuO」を見ると、銅原子(Cu)2個と酸素分子(O2)1個つまり酸素原子(O)2個が化合しているので、
銅原子(Cu)の数と酸素原子(O)の数の比は、2:2=1:1より、
質量比「Cu:O2=4:1」は、銅原子(Cu)と酸素原子(O)の質量比でもあります。
・マグネシウムの燃焼
マグネシウム+酸素→酸化マグネシウム(2Mg+O2→2MgO)
マグネシウムが過不足なくすべて反応したときの質量比は、Mg:O2:MgO=3:2:5、です。
酸化には、空気中で金属がさびるようなゆるやかな酸化と、光や熱を出すような激しい酸化(燃焼)があります。
銀白色のマグネシウムが燃焼すると、白色の酸化マグネシウムに変化します(酸化マグネシウムや酸化アルミニウムは白色)。
燃焼前のマグネシウムはうすい塩酸と反応して水素が発生しますが、燃焼後の酸化マグネシウムは気体が発生しません。
化学反応式「2Mg+O2→2MgO」を見ると、マグネシウム原子(Mg)2個と酸素分子(O2)1個つまり酸素原子(O)2個が化合しているので、
マグネシウム原子(Mg)の数と酸素原子(O)の数の比は、2:2=1:1より、
質量比「Mg:O2=3:2」は、マグネシウム原子(Mg)と酸素原子(O)の質量比でもあります。
・化学カイロ
化学カイロの本質は、鉄の酸化です。
鉄の酸化の化学反応式は、
鉄+酸素→酸化鉄
銀白色の鉄が酸化(酸素と化合)して、黒色の酸化鉄となります。
酸化鉄は鉄と酸素と化合してできた化合物なので、化合した酸素の質量分だけ、鉄より質量が大きくなります。
また、鉄が酸化は発熱反応で、熱を放出します。だから化学「カイロ」です。
化学カイロには、活性炭と食塩水が含まれています。
活性炭は酸素を吸着するはたらきがあるので、鉄に酸素をたくさん供給する役割をなします。
食塩水(塩水)に鉄をつけるとさびます。さびるとは、ゆるやかな酸化反応が起こるということです。つまり、食塩水は鉄の酸化を促進する役割をなします。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
本問は、銅の酸化の実験を行っています。
銅の酸化では、赤色の銅が黒色の酸化銅に変化します(酸化銅や酸化銀は黒色)。
問2
解答:
解説:
銅の酸化の化学反応式は、以下の通りです。
2Cu+O2→2CuO
銅が過不足なくすべて反応したときの質量比は、Cu:O2:CuO=4:1:5、です。
問題文に「この操作を、質量の変化がなくなるまで繰り返した」とあるので、表の「加熱後にできた物質の質量」とはすべて酸化銅の質量です。
これより、加熱後にできた物質の質量と銅の質量との差が、銅と結びついた物質=酸素の質量となります。
以上から、解答が得られます。
問3
解答:4:1
解説:
銅の酸化の化学反応式は、以下の通りです。
2Cu+O2→2CuO
銅が過不足なくすべて反応したときの質量比は、Cu:O2:CuO=4:1:5、です。
問題文に「この操作を、質量の変化がなくなるまで繰り返した」とあるので、銅が過不足なくすべて反応したと見なせるので、上記の質量比が答えとなります。
問4
解答:2Cu+O2→2CuO
解説:
銅の酸化の化学反応式は、以下の通りです。
2Cu+O2→2CuO
化学反応式を書くとき、まず化学反応式にある化学式のみを書き、原子の個数を合わせます。
化学反応式にある化学式は
Cu+O2→CuO
酸素原子(O)が、左辺で2個、右辺で1個なので、右辺の化合物である酸化銅(CuO)を2倍します。
Cu+O2→2CuO
銅原子(Cu)が、左辺で1個、右辺で2個なので、左辺の金属原子である銅(Cu)を2倍します。
2Cu+O2→2CuO
化学反応式にある全ての原子を見たので、これで化学反応式が完成です。
大問3
問1
解答: 気体:酸素、性質:水にとけにくい。
解説:
二酸化マンガンにうすい過酸化水素水を加えると、酸素が発生します。
化学反応式は、
2H2O2→2H2O+O2
二酸化マンガンは過酸化水素水の分解を助けるだけで、自身は変化しない触媒なので、繰り返し使用できます。
それゆえ、この実験で発生する酸素の量(cm3)は、過酸化水素水の量(cm3)や濃度(質量パーセント濃度)に依存します。
なお、二酸化マンガンの代用として、生のレバー(牛などの肝臓)、生のジャガイモなど、酵素を含むもので代用可能です。
酸素の性質として、以下の4つを押さえましょう。
①無色・無臭、②空気よりやや重い(空気の約1.1倍)、③水にとけにくい、④助燃性をもつ
水上置換法は、水にとけにくい性質の気体の捕集に用いられます。
水上置換法で捕集される気体として、このほかに、水素や二酸化炭素があります。
問2
解答: 集め方:上方置換法、方法:水でぬらした赤色リトマス紙を試験管Aの口に近づける。
解説:
気体の捕集方法として、水上置換法・下方置換法・上方置換法の3つがあります。
・水上置換法
発生した気体が水に溶けにくい気体(酸素や水素や二酸化炭素など)のとき、水上置換法を用います。
はじめに出てくる気体はフラスコ内の空気なので、集めません。
・下方置換法
発生した気体が水に溶けやすく空気より重い気体(塩素など)のとき、下方置換法を用います。
容器をガラス板で蓋をし、隙間からガラス管を容器の奥まで入れることで、容器内部の空気が追い出され、容器が発生した気体で満たされます。
・上方置換法
発生した気体が水に溶けやすく空気より軽い気体(アンモニアなど)のとき、上方置換法を用います。
ガラス管を容器の奥まで入れることで、容器内部の空気が追い出され、容器が発生した気体で満たされます。
アンモニアのとき、容器の入り口に塩酸をつけたガラス棒を近づけ、塩化アンモニウムの白煙が生じたら、容器がアンモニアで満たされれていることが確認できます。
■アンモニアの発生法
アンモニアが発生する反応として、以下の例を覚えましょう。
・塩化アンモニウムと水酸化カルシウムの混合物を加熱する
・塩化アンモニウムと水酸化ナトリウムの混合物を加熱する(発熱反応)
・塩化アンモニウムと水酸化バリウムの混合物を加熱する
・炭酸アンモニウムを加熱する
問3
解答: 気体:ウ、方法:b
解説:
代表的な気体の性質は、以下の通りです。
■酸素
酸素の性質として、以下の4つを押さえましょう。
①無色・無臭、②空気よりやや重い(空気の重さの約1.1倍)、③水にとけにくい、★④助燃性をもつ
酸素が発生する反応として、以下の例を覚えましょう。
・二酸化マンガンにうすい過酸化水素を加える
・過酸化水素を加熱する
・酸素系漂白剤にお湯を加える
・酸化銀を加熱する
・水を電気分解する
■水素
水素の性質として、以下の4つを押さえましょう。
①無色・無臭、②最も軽い気体(空気の重さの約0.08倍)、③水にとけにくい、★④可燃性をもつ
水素が発生する反応として、以下の例を覚えましょう。
・鉄にうすい塩酸を加える
・亜鉛にうすい塩酸を加える
・マグネシウムにうすい塩酸を加える
・水を電気分解する(水素イオンH+より、陰極で発生)
・塩酸を電気分解する(水素イオンH+より、陰極で発生)
■二酸化炭素
二酸化炭素の性質として、以下の4つを押さえましょう。
①無色・無臭、★②空気より重い(空気の重さの約1.5倍)、③水に少しとける(H+を放出する酸より水溶液は酸性)、★④石灰水を白く濁らせる
二酸化炭素が発生する反応として、以下の例を覚えましょう。
・石灰水にうすい塩酸を加える
・炭酸水素ナトリウムを加熱する
・炭酸水素ナトリウムにうすい塩酸を加える
・炭酸アンモニウムを加熱する
・酸化銅に炭素を加えて加熱する
■窒素
空気の約8割を占める窒素は、以下の5つの性質を持ちます。
①無色・無臭、②空気より少しだけ軽い、③水に溶けにくい、④助燃性(O2)・可燃性(H2)なし
★⑤常温では他の物質と結びついて化学変化を起こすことはほとんどない(この性質を利用した食品の酸化を防ぐ方法に、窒素充填がある)
■アンモニア
アンモニアの性質として、以下の4つを押さえましょう。
★①無色・刺激臭、★②空気より軽い、★③水に非常によく溶ける(20℃の水1cm3に702cm3溶ける)(OH–を放出するアルカリより水溶液はアルカリ性)→アンモニアの噴水実験、★④塩化水素と反応し、白煙(塩化アンモニウムの白色の固体)を生じる
以上の知識をもとに、問題を解きます。
図1の水上置換法は、水に溶けにくい気体を捕集する方法なので、選択肢エのアンモニアは不適です。
図2の上方置換法は、水に溶けやすく空気よりも軽い気体を捕集する方法なので、選択肢アの酸素(空気の重さの約1.1倍)とイの二酸化炭素(空気の重さの約1.5倍)は不適です。
大問4
問1
解答:電力
解説:
回路の作図の問題です。
回路とは、電流が電源装置の+極から出て−極にもどるひと回りの道のことです。
抵抗に電圧を加えると電流が流れます。
電圧→電流、という流れです。
抵抗とは、電流の流れにくさを表します。
金属線は抵抗が小さい材料で、このまま電圧を加えると、回路に大きな電流が流れてしまい危険です。
そこで、抵抗が大きい抵抗器や電熱線や豆電球などを接続して、回路に大きな電流が流れないようにします。
電流は+の電気で、電源装置の+極から出て、-極に戻るかたちで回路を流れます。
回路に流れる電流の大きさを測定する装置を電流計、
回路に加わる電圧の大きさを測定する装置を電圧計といいます。
電流計も電圧計も、+端子は電源の+極側に、−端子はまず3つの−端子のうち最大のものにつなぎます。
測定部分に対し、電流計は直列に、電圧計は並列に接続します。
抵抗に流れる電流と電圧の関係をオームの法則といい、以下の式で表されます。
V[V]=I[A]×R[Ω]
抵抗である電熱線に電流が流れると、電気エネルギー[J]が発生します。
電気エネルギーW[J]は、1秒間あたりに発生する電気エネルギーである消費電力P[W]=P[J/s]と、電流が流れた時間[s]の積で表されます。
W[J]=P[W]×t[s]
消費電力P[W]=P[J/s]は、以下の式で表されます。
P[W]=P[J/s]=I[A]×V[V]=I2R=V2/R
ゆえに、電気エネルギーW[J]は、以下の式で表されます。
W[J]=P[W]×t[s]=I[A]×V[V]×t[s]=I2Rt=V2t/R
エネルギーは移り変わります。
抵抗で発生した電気エネルギーW[J]は、多くの場合、熱エネルギーQ[J]として移り変わります。
熱エネルギーは、発熱量ともいいます。
発熱量Q[J]は、以下の式で表されます。
Q[J]=W[J]=P[W]×t[s]=I[A]×V[V]×t[s]=I2Rt=V2t/R
また、水温上昇と発熱量の関係、つまり水が得た熱エネルギーは、以下の式で表されます。
発熱量=水が得た熱エネルギー=4.2×水の質量[g]×上昇温度[℃]
以上の知識をもとに、問題を解きます。
抵抗である電熱線で1秒間あたりに消費される電力を消費電力といいます。
消費電力は、単に電力と呼ぶこともあります。
問2
解答: 電流:1.25A、問1の大きさ:6.25W
解説:
電熱線の抵抗が4Ω、電熱線に加わる電圧が5.0Vなので、オームの法則より、電熱線に流れる電流の大きさは、
V[V]=I[A]×R[Ω] ⇔ I=V/R=5.0V/4Ω=1.25A
電熱線で発生する消費電力の大きさは、
P[W]=V2/R=25/4=6.25W
問3
解答: 水が得た熱量:3150J、電熱線から発生した熱量:3750J
解説:
水が得た熱エネルギーは、
発熱量=水が得た熱エネルギー=4.2×水の質量[g]×上昇温度[℃]=4.2×100g×(25.5℃ – 18.0℃)=4.2×100×7.5=42×75=(40+2)×75=3000+150=3150J
電熱線からの発熱量は、
Q[J]=W[J]=P[W]×t[s]=V2t/R=6.25W×10分=6.25J/s×10×60s=625×6J=(600+25)×6=3600+150=3750J
電熱線からの発熱量(3750J)>水が得た熱エネルギー(3150J)より、
電熱線から発生した熱エネルギーが、全て水の温度上昇に使われておらず、一部ロスしています。
電熱線から発生した熱エネルギーの変換効率は、
変換効率=3150J/3750J×100=84%、です。
大問5
問1
解答:おもりが床についたから
解説:
■ニュートンの運動の法則
・第一法則(慣性の法則)
物体に外部から力がはたらかないとき(合力0を含む)、静止している物体は静止し続け、運動している物体はそのまま等速直線運動を続ける。
・第二法則(運動の法則)
物体に力がはたらくとき、物体には力と同じ向きの加速度が生じる。このときの物体の運動を等加速度運動といい、時間に比例して速度が増加する。
・第三法則(作用・反作用の法則)
物体Aから物体Bに力(作用)を加えると、物体Bから物体Aに同じ作用線上で大きさが等しい反対向きの力(反作用)がはたらく
■力の3要素
力は矢印で表します。
このとき、力の三要素である力の大きさを矢印の長さで、力の向きを矢印の指す向きで、力が加わる点である作用点を矢印の視点として、それぞれ表します。
力の矢印がのっている直線を、作用線といいます。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
図において、おもりには重力が働きます。
重力は物体の中心から(鉛直)下向きに働くので、力の向きは鉛直下向き、作用点はおもりの中心となります。
なお、地球上で質量100gの物体に働く重力(作用点は物体の中心)の大きさを1N(ニュートン)とすることが多いですが、
正確には、地球上で質量100gの物体に働く重力の大きさは0.98Nです。
台車を支えていた手を静かに話すと、台車と糸はつながっているので、台車は糸から右向きの力を受けます。
この糸が台車を引く力の大きさは、おもりに働く重力の大きさと等しいです。
ニュートンの運動の法則の第二法則より、台車には糸が台車を引く力が働くため、台車は等加速度運動(だんだん早くなる運動)をします。
しかし、おもりが床につくと、糸が台車を引く力の大きさがゼロになります。
ニュートンの運動の法則の第一法則より、台車の水平方向で働く力の大きさがゼロになるので、台車は等速直線運動(一定の速さの運動)をします。
問2
解答:等速直線運動
解説:
テープは1枚あたり5打点で、記録タイマーは1秒間に50打点、つまり0.1秒間に5打点するので、テープ1枚の長さは、台車の速さを表します。
表より、①〜⑦まで、テープの長さが増えている=速さが増えているので、台車は等加速度運動をしています。
しかし、⑦〜⑨では、テープの長さが増えていない=速さが増えていない=速さが一定であるので、台車は等速直線運動をしています。
問3
解答:ア、オ
解説:
①〜⑥のテープが記録されている間、テープの長さが増えている=速さが増えているので、台車は等加速度運動をしています。
ニュートンの運動の法則の第二法則より、台車には糸が台車を引く力(右向きの力)が働くため、台車は等加速度運動(だんだん早くなる運動)をします。
この糸が台車を引く力の大きさは、おもりに働く重力の大きさと等しいです。
おもりに働く重力の大きさは場所によらず一定であるので、糸が台車を引く力の大きさ=おもりに働く重力の大きさ=一定、です。
このように、台車において、水平方向では、糸が台車を引く力が働きます。
垂直方向では、台車には、重力と垂直抗力の2力がはたらきます。
両者は釣り合っているため、台車は垂直方向では、静止しています。
問4
解答:50cm/s
解説:
問われているのは、速さ[cm/s]です。
単位[m/s]に着目して、距離[cm]と時間[s]を調べていきます。
テープ1枚は0.1秒に相当し、手を離してから0.3秒後のテープの長さは15cm(2.5cm+5.0cm+7.5cm)です。
ゆえに、平均の速さ[cm/s]は、
平均の速さ[cm/s]=15cm/0.3s=150/3 cm/s=50cm/s
手を離してから0.3秒間は、台車は等加速度運動をするため、速さが刻々と変化しています。
しかし、台車が移動した合計の距離15cmと、台車が移動した合計の時間0.3秒から、台車の平均の速さを求めることができます。
大問6
問1
解答:1.2J
解説:
物体に力を加え、その向きに移動させたとき、力は物体に対して仕事をしたといいます。
仕事の大きさは、以下の式で表されます。
仕事[J]=加えた力[N]×移動距離[m]
おもりをゆっくりと引き上げた場合、加えた力[N]=おもりに働く重力の大きさ[N]となるので、
仕事[J]=加えた力[N]×移動距離[m]=おもりに働く重力の大きさ[N]×移動距離[m]
斜面上にある台車をゆっくりと引き上げた場合、加えた力[N]=台車にはたらく重力の斜面方向の分力の大きさ[N]となるので、
仕事[J]=加えた力[N]×移動距離[m]=台車にはたらく重力の斜面方向の分力の大きさ[N]×移動距離[m]
力を加えても仕事が0になる場合として、
①力を加えてもじっとして動かない→移動距離[m]=0より、仕事[J]=0
②力を加えた向きと移動の向きが垂直→移動距離[m]は力を加えた向きで決まる
③力を加え続けたが物体が移動しなかった→移動距離[m]=0より、仕事[J]=0
④加えた力の大きさがほぼ0→加えた力[N]=0より、仕事[J]=0
以上の知識をもとに、問題を解きます。
①のとき、おもりを手でゆっくりと引き上げているので、仕事の大きさを求める式は、
仕事[J]=加えた力[N]×移動距離[m]=おもりに働く重力の大きさ[N]×移動距離[m]
となります。
100gの物体に働く重力の大きさを1Nとしているので、200gのおもりに働く重力の大きさは2Nです。
おもりは0.6mの高さまで上げられていることから、仕事[J]の大きさは
仕事[J]=おもりに働く重力の大きさ[N]×移動距離[m]=2N×0.6m=1.2J
問2
解答: X:2.4m、Y:1.0N
解説:
・手が引いた距離X
斜面上にある台車をゆっくりと引き上げた場合、加えた力[N]=台車にはたらく重力の斜面方向の分力の大きさ[N]となるので、
仕事[J]=加えた力[N]×移動距離[m]=台車にはたらく重力の斜面方向の分力の大きさ[N]×移動距離[m]
表より、台車にはたらく重力の斜面方向の分力の大きさ[N]は0.5Nです。
しかし、仕事[J]が不明なので、移動距離[m]=手が引いた距離Xを求めることができません。
そこで、仕事の原理を用いて、仕事[J]を求めます。
同じ仕事をするとき、仕事の大きさは道具を使っても使わなくても変わらないということを、仕事の原理といいます。
この場合、200gのおもりを垂直方向に0.6m引き上げているので、手がした仕事の大きさは、図1と同じく求められます。
手がした仕事の大きさ(図2)[N]=おもりに働く重力の大きさ[N]×移動距離[m]=2N×0.6m=1.2J
よって、手が引いた距離Xは、
1.2J=0.5N×手が引いた距離X ⇔ 手が引いた距離X=1.2/0.5m=1.2×2=2.4m
・ばねばかりの目盛りが示す値Y
図1のように、200gおもりを直接手で引き上げたとき、手がおもりを引く力は、おもりに働く重力の大きさと等しいです。
しかし、図3のように動滑車を1つ用いておもりを引き上げると、手がおもりを引く力は、おもりに働く重力の大きさの半分となります。
つまり、動滑車を1つ用いると、おもりを手で直接持ち上げる場合と比べて、半分の力でおもりを持ち上げられます。
ただし、動滑車を1つ用いると、引く力の大きさは半分で済みますが、糸を引く長さは2倍になることに注意です。
おもりに働く重力の大きさは2Nより、動滑車を1つ用いておもりを引き上げたときの、手がおもりを引く力の大きさは、1.0N(2N/2)となります。
問3
解答:仕事の原理
解説:
同じ仕事をするとき、仕事の大きさは道具を使っても使わなくても変わらないということを、仕事の原理といいます。
図1で、手がした仕事の大きさは、1.2Jです。
図3で、手がした仕事の大きさは、1N×(0.6m×2)=1N×1.2m=1.2Jより、図1と同じです。
これから、仕事の大きさは道具を使っても使わなくても変わらないことが分かります。
問4
解答:0.12W
解説:
1秒間あたりの仕事の大きさを仕事率[J/s]=仕事率[W]=仕事の大きさ[J]/仕事をした時間[s]といいます。
仕事率の単位[J/s]に着目して、
図3の場合の、手がした仕事の大きさは1.2J、仕事をした時間=台車を引き上げるのにかかった時間=10s、より仕事率は、
仕事率[J/s]=仕事率[W]=1.2J/10s=0.12W
仮に、図1と図3で、おもりを引き上げる速さが同じ場合、
動滑車を1つ用いると、糸を引く長さが2倍になるので、台車を引き上げるのにかかった時間は図1の2倍かかります。
つまり、図1の場合、台車を引き上げるのにかかった時間は5s(10s/2)です。
ゆえに、図1の場合の仕事率は、
仕事率[J/s]=仕事率[W]=1.2J/5s=0.24W
と、動滑車を1つ用いた場合と比べて、仕事率が2倍になっています。
つまり、おもりを直接手で持ち上げた場合、動滑車を用いるより引き上げる辛さが大きいですが、動滑車を用いるより早く仕事を終えられるので、動滑車を用いるより効率が良いということを意味しています。
大問7
問1
解答:たい積岩
解説:
岩石は、風化によってもろくなり、流水の3作用(浸食・運搬・堆積)により、れき・砂・泥として河口に運ばれ堆積します。
堆積したれき・砂・泥が盾状に積み重なったものを地層といいます。
地層をつくる押し固められた岩石を、堆積岩といいます。
堆積岩は、①粒の大きさ、②成分で分類できます。
①粒の大きさ
・粒の直径が2mm以上:れき岩(泥や砂で固められた岩石)
・粒の直径が2〜1/16mm:砂岩
・粒の直径が1/16mm以下:泥岩
②成分
・石灰岩:貝・サンゴ・フズリナの遺がいなど石灰質(炭酸カルシウム)の堆積物
サンゴの化石があることで、地層があった地域があたたかくて浅い海だったことが分かります。このような化石を示相化石といいます。
フズリナの化石があることで、地層が堆積した年代が古生代であったことが分かります。このような化石を示準化石といいます。
石灰岩はうすい塩酸と反応して二酸化炭素が発生します。
・チャート:ホウサンチュウ・ケイソウなどの遺がいなどケイ酸質(二酸化ケイ素)の堆積物
チャートは深海ででき、二酸化ケイ素でできた鉱物のセキエイと同様、非常にかたいです。
チャートにうすい塩酸を加えても、二酸化炭素は発生しません。
・凝灰岩:火山灰や軽石などが堆積したもの
堆積岩は流水の働きなどにより削られるため粒が丸いですが、火成岩の粒は角張っています。
同様に、火山噴出物である火山灰などでできた凝灰岩の粒は、他の堆積岩とは違い、角張っています。
問2
解答: 岩石:② ⑥、液体:うすい塩酸
解説:
生物の死骸などからでている堆積岩は、石灰岩とチャートです。
石灰岩は、貝・サンゴ・フズリナの遺がいなど石灰質(炭酸カルシウム)の堆積物です。
石灰岩はうすい塩酸と反応して二酸化炭素が発生します。
チャートは、ホウサンチュウ・ケイソウなどの遺がいなどケイ酸質(二酸化ケイ素)の堆積物です。
チャートにうすい塩酸を加えても、二酸化炭素は発生しません。
問3
解答:流水のはたらきで、角がとれたから。
解説:
堆積岩は流水の働きなどにより削られるため粒が丸いです。
問4
解答:エ→イ→ウ→ア
解説:
顕微鏡として、ステージ上下式顕微鏡(鏡筒上下式顕微鏡)と双眼実体顕微鏡を覚えましょう。
■ステージ上下式顕微鏡
ステージ上下式顕微鏡の使用手順は、以下の5ステップです。
①接眼レンズ、対物レンズの順に取り付ける(上からゴミが入らないようにするため)
②反射鏡で明るさを調節する
③プレパラートをステージにのせる
④横から見て対物レンズ(低倍率から使用)をプレパラートに近づける
⑤接眼レンズをのぞきながら対物レンズを遠ざけピントを合わせる
プレパラートを近づけてから遠ざけてピントを合わせるのがポイントです。
ステージ上下式顕微鏡の特徴として、以下の3つがあります。
①接眼レンズは短いものほど、対物レンズは長いものほど倍率が高くなる
②顕微鏡の倍率が2倍、3倍・・・になると、視野と明るさは、1/4倍、1/9倍・・・になる(倍率が上がると視野が狭く暗くなる)
③像は上下左右が逆(倒立像)(レンズを通して見える物体を像という)
■双眼実体顕微鏡
双眼実体顕微鏡の使用手順は、以下の4ステップです。
①接眼レンズを目の幅に合わせ両目の視野を一致させる
②粗動ねじをゆるめ両目でおよそのピントを合わせる
③右目で調節ねじ(微動ねじ)を回しピントを合わせる
④左目で視度調節リングを回しピントを合わせる
両目(接眼レンズと粗動ねじ)→右目(調節ねじ(微動ねじ))→左目(視度調節リング)の順でピントを合わせるのがポイントです。
双眼実体顕微鏡の特徴として、以下の3つがあります。
①立体的に見ることができる
②低倍率の観察に適する(20〜40倍)
③像は上下左右が同じ(正立像)
大問8
問1
解答: A:ア、C:エ
解説:
地層の読み方のひとつとして、地層累重の法則があります。
地層累重の法則とは、地層がひと続きに連続した地層は、上にあるほど新しいという法則です。
問題文に「この地域では断層やしゅう曲は見られず、地層は水平に広がっていた。」とあるので、地層累重の法則を用いて考えてきます。
地層の標高を求めるとき、各地点の地層に共通するかぎ層の上部あるいは下面の標高を求めていきます。
かぎ層として、凝灰岩の層(火山灰の層)がよく用いられます。
図2の柱状図イとウにある地層は、並び方が全く同じなので、図1で等高線の等しい地点Bと地点Dのものだと分かります。
柱状図アの凝灰岩の層の上面と地表からの深さは25m、柱状図エの凝灰岩の層の上面と地表からの深さは5mと、
柱状図アの凝灰岩の層の上面は柱状図エの20m下にある、つまり、柱状図アがあった地点は柱状図エがあった地点より20m高いと言えます。
図1の等高線を見比べると、地点Aは地点Cより20m高いので、柱状図アが地点A、柱状図エが地点Cです。
問2
解答: 化石:示準化石、年代:中生代
解説:
地層にアンモナイトがあると、中生代に堆積した地層であることが分かるので、アンモナイトは示準化石です。
示準化石となるには、①短い期間に栄えて絶滅した、②世界の広範囲で発見されている必要がある、の2つが必要です。
示準化石には、次のようなものがあります。
・古生代:三葉虫・フズリナ
・中生代:アンモナイト・恐竜(ティラノサウルス)
・新生代:貨幣石・ビカリア・ナウマン象(マンモス)
問3
解答:軟体動物
解説:
動物は、背骨のあるセキツイ動物と、背骨のない無セキツイ動物に分類できます。
セキツイ動物は、魚類・両生類・ハチュウ類・鳥類・ホニュウ類に分類できます。
・体温
魚類・両生類・ハチュウ類は外界の温度が変化すると体温を変化させる変温動物、
鳥類・ホニュウ類は外界の温度が変化しても体温を一定に保つ恒温動物です。
・呼吸のしかた
魚類はえら呼吸、両生類は子がえら呼吸で親が肺呼吸(カエルのように補助的に皮膚呼吸するものもいます)、
ハチュウ類・鳥類・ホニュウ類は肺呼吸です。
・子の産まれ方
魚類・両生類・ハチュウ類・鳥類は卵生、ホニュウ類は胎生です。
魚類・両生類は水中にからのない卵を、ハチュウ類・鳥類は陸上にからのある卵を産みます。
卵の殻は、卵を乾燥から守る役目をし、水中生活から陸上生活への進化に欠かせないものです。
・体の表面
魚類は体の表面がうろこにおおわれており、両生類は湿った皮膚、ハチュウ類はうろこや甲ら、鳥類は羽毛、ホニュウ類は毛におおわれています。
・具体例
魚類の例としてメダカとフナを、
両生類の例としてカエルとイモリ(「いりょう」と覚える)を、
ハチュウ類の例としてトカゲとヤモリを、
鳥類の例としてハトとペンギンを、
ホニュウ類の例としてクジラとコウモリを、
それぞれ覚えましょう。
無セキツイ動物は、外骨格の有無で分類でき、外骨格がないものは、さらに外とう膜の有無で分類できます。
無セキツイ動物で、外骨格をもつ動物を節足動物といいます。
節足動物は、昆虫類(例:バッタ)、クモ類(クモ)、甲殻類(エビやカニ)、多足類(ムカデ)に分類できます。
節足動物が持つ呼吸器官は、気管です。気管は、腹部の体表にある気門という穴につづく細い管です。
気管は体のすみずみまで網目状に広がり、その外側で体液と接しており、気管内の空気と体液との間で、直接ガス交換が行われます。
節足動物は、ヒトのように、ガス交換の際に毛細血管は必要がありません。
無セキツイ動物で、外骨格がなく外とう膜がある動物を、軟体動物(例:イカ、アサリ)といいます。
無セキツイ動物で、外骨格がなく外とう膜もない動物は、棘皮動物(例:ウニ、ヒトデ)と刺胞動物(例:クラゲ、サンゴ)に分類できます。
大問9
問1
解答:C、D
解説:
■心臓のつくり
心臓は4つの部屋からなり、
正面から見たとき、左側の部屋を「右〜」、右側の部屋を「左〜」、
上の部屋を「〜心房」、下の部屋を「〜心室」と呼びます。
心臓をつなぐ血管は、心臓に戻る血液が流れる血管を「〜静脈」、心臓から出る血液が流れる血管を「〜動脈」、
心臓と体をつなぐ血管を「大〜」、心臓と肺をつなぐ血管を「肺〜」と呼びます。
心臓は、心房と心室の伸縮と拡張を交互に繰り返すことで、血液を循環させる、ポンプのはたらきをしています。
この心臓の活動を、拍動といいます。
■心臓の拍動
心臓の拍動の流れは、
心房の拡張→心房の収縮と心室の拡張→心室の収縮→心房の拡張→・・・
という流れです。
心房が拡張すると、大静脈と肺静脈から血液が、それぞれ心臓の右心房と左心房に吸い込まれることで流れますが、吸い込む力が弱いため、逆流の恐れがあります。
そのため、静脈には逆流を防ぐために弁がついています。
心臓の内部にも弁があり、心房と心室の間にある弁を房室弁、心室が動脈とつながる部分にある弁を半月弁といいます。
心臓から血液を送り出すとき、心室が収縮して、肺動脈と大動脈から血液が、それぞれ心臓の右心室と左心室から送り出されます。
■血液循環
血液循環は、肺循環と体循環の2つに大別されます。
・肺循環
肺循環とは、心臓から出た血液が肺を通り、心臓へともどる経路のことです。
血液の流れは、心臓の右心室→肺動脈(静脈血)→肺の毛細血管→肺静脈(動脈血)→左心房と循環します。
酸素を多く含む血液を動脈血(鮮紅色)、酸素が少ない血液を静脈血(少し暗い赤色)といいます。
・体循環
体循環とは、心臓から出た血液が全身の細胞を巡って心臓にもどる経路のことです。
血液の流れは、心臓の左心室→大動脈(動脈血)→全身の毛細血管(細胞呼吸)→大静脈(静脈血)→右心房と循環します。
問2
解答: 血管:d、名前:肺静脈
解説:
問1解説参照。
問3
解答:ウ、エ
解説:
・選択肢ア
心臓から出る血液が流れる血管を「〜動脈」と呼びます。
心臓から肺に血液が流れる血管を肺動脈といい、静脈血が流れています。
心臓から全身に血液を送る血管を大動脈といい、動脈血が流れています。
・選択肢イ
弁があるのは、静脈、心房と心室の間(房室弁)、心室と動脈の間(半月弁)です。
動脈は壁が厚く弁がありません。
左心室は全身に血液を送り出すため、左心室の壁の筋肉は最も厚いです。
・選択肢ウ
正しい
・選択肢エ
正しい。
血液は、固形成分の血球(赤血球・白血球・血小板)と、液体成分の血しょうからできています。
このうち血しょうは、養分・二酸化炭素・不要物(尿素など)を運搬する働きをします。
血液中の血しょうが毛細血管の外にしみ出て、細胞間を満たしている液を組織液といいます。
組織液は、細胞に酸素や養分を与え、細胞呼吸で生じた不要物(二酸化炭素、水、アンモニアなど)をとかし、血管やリンパ管に運びます。
・選択肢オ
これは動脈の説明です。
問4
解答: 血液から受けとる物質:酸素、反応後にできる物質:二酸化炭素と水
解説:
ヒトの生命活動に必要なエネルギーは、細胞呼吸によって得られます。
細胞は、生命活動に必要なエネルギーを得るために、ブドウ糖などの有機物を酸素を用いて分解する、呼吸を行っています。
この細胞の呼吸を、肺などの呼吸器での呼吸(外呼吸)に対して、内呼吸といい、細胞のミトコンドリアで行われます。
呼吸とは、有機物を酸素を使って分解し(燃やし)、二酸化炭素と水に変え、化学エネルギーを取り出す活動です。
三大栄養素(有機物)である炭水化物・タンパク質・脂肪は、消化管を経て、ブドウ糖・アミノ酸・脂肪酸とモノグリセリドになり、小腸の柔毛で吸収されます。
小腸の柔毛に吸収されたブドウ糖・アミノ酸・脂肪酸とモノグリセリドのうち、
ブドウ糖とアミノ酸は、小腸の柔毛の毛細血管に入り、門脈→肝臓→肝静脈→心臓→大動脈→全身の毛細血管を経て、全身の細胞に送り届けられ、細胞呼吸の材料として利用されます。
脂肪酸とモノグリセリドは、小腸の柔毛に吸収されると脂肪に際合成されてリンパ管に入り、胸管(静脈)→心臓→大動脈→全身の毛細血管を経て、全身の細胞に送り届けられ、細胞呼吸の材料として利用されます。
血液は、固形成分の血球(赤血球・白血球・血小板)と、液体成分の血しょうからできています。
このうち血しょうは、養分・二酸化炭素・不要物(尿素など)を運搬する働きをします。
血液中の血しょうが毛細血管の外にしみ出て、細胞間を満たしている液を組織液といいます。
組織液は、細胞に酸素や養分を与え、細胞呼吸で生じた不要物(二酸化炭素、水、アンモニアなど)をとかし、血管やリンパ管に運びます。
リンパ管に入った組織液はリンパ液となり、小腸から吸収された脂肪を運搬したり、リンパ液中のリンパ球(白血球の一種)による免疫作用を行います。
細胞呼吸で用いられる酸素は、肺呼吸(外呼吸)によって供給されます。
赤血球は酸素を運搬する働きをします。
これは赤血球中の赤い色素であるヘモグロビンが、酸素の多い所では酸素と結びつき、酸素の少ない所では酸素を放出する性質を持つためです。
血液中の血しょうは、二酸化炭素を運搬する働きをします。
肺胞では、心臓から肺へ血液が流れる血管である肺動脈から、酸素が少なく二酸化炭素を多く含む静脈血が肺胞の毛細血管を流れ、
その過程で、赤血球が酸素を取り入れ、血しょうから二酸化炭素が放出されることで、ガス交換が行われます。
肺胞を流れた血液は酸素を多く含む血液(動脈血)で、肺から心臓へと血液が戻る血管である肺静脈を通り、心臓の左心房→左心室→大動脈を経て、全身の細胞へ酸素が供給されます。
大問10
問1
解答:C
解説:
からだをつくる細胞が分裂する細胞分裂を、体細胞分裂といいます。
植物の根の成長は、2段階で進みます。
第一段階では、根端分裂組織(根の成長点)(C)でさかんに体細胞分裂が起こり、細胞の数を増やします。
第二段階では、分裂した細胞がもとの大きさくらいまで成長します(A)。
問2
解答:ウ
解説:
体細胞分裂の観察実験では、タマネギを用いて、以下の手順で行われます。
①体細胞分裂は根の先端付近でさかんに行われるので、タマネギの根の先端を5mmくらい切る
②(省略可能)酢酸で固定する。固定とは、細胞を生きていた状態に近いまま殺し、細胞内の構造・物質の分解を防ぐ方法です。
③塩酸で細胞どうしを離す。これを解離といい、細胞壁間の接着物質を溶かし、細胞どうしを離れやすくします。
④水洗する
⑤染色液で染色する。染色液に含まれる酢酸で固定できるので、手順②は省略可能。
⑥柄つき針を使って、カバーガラスをかける。気泡が入らないようにすること。
⑦ろ紙ではさんで軽く押しつぶす。細胞どうしの重なりをなくし観察しやすくするため。
なお、スライドガラスの上に観察物をのせ、カバーガラスをかけたものをプレパラートといいます。
プレパラートを作成するときの注意点は、カバーガラスをかけるとき、中に気泡が入らないように、カバーガラスを端からゆっくり下ろすことです。
プレパラートは、ステージ上下式顕微鏡(鏡筒上下式顕微鏡)や双眼実体顕微鏡のステージの上に固定して、観察物を観察します。
問3
解答: X:染色体、本体:DNA(デオキシリボ核酸)
解説:
生命の基本単位は、細胞です。
細胞は、核と細胞質からなる原形質と、原形質以外の後形質とからなります。
核は、中に遺伝子をのせた染色体を持ちます。
染色体は、遺伝子の本体として働く物質であるDNAと、ヒストンというタンパク質からなる糸状の構造物で、染色液によく染まることから、染色体と名が付けられています。
(染色体の”染色”の名の由来)
染色液として、以下の3種類を覚えましょう。
・酢酸カーミン溶液(赤色に染まる)
・酢酸オルセイン溶液(赤紫色に染まる)
・酢酸ダーリア溶液(青紫色に染まる)
細胞の細胞質の中には、核、細胞膜、葉緑体、液胞、ミトコンドリア、ゴルジ体、中心体などがあります。
・細胞膜:細胞内外を区切るとともに、物質の出入りを調節します。
・葉緑体:葉緑素(クロロフィル)を含み、光合成を行います。
・液胞:細胞中の水分量の調節や糖・無機塩類・不要物などを蓄積します。
・ミトコンドリア:細胞呼吸が行われる場所です。細胞は、生命活動に必要なエネルギーを得るために、ブドウ糖などの有機物を酸素を用いて分解する、呼吸を行っています。この細胞の呼吸を、肺などの呼吸器での呼吸(外呼吸)に対して、内呼吸といいます。
・ゴルジ体:おもに動物細胞にあり、細胞の分泌活動(物質を生産し、細胞外に出す働き)に関係しています。ゴルジ体は、とくに消化腺で発達しています。
・中心体:おもに動物細胞の核の近くにあり、動物細胞が体細胞分裂・減数分裂するときに出る、紡錘体形成の中心として働きます。
細胞の後形質は、細胞壁です。細胞壁は、細胞内の保護と形の保持を行っています。
動物細胞には、核・核小体・細胞質・細胞膜・ミトコンドリア・ゴルジ体・中心体などがあります。
植物細胞には、核・核小体・細胞質・細胞膜・葉緑体・ミトコンドリア・液胞・細胞壁などがあります。
問4
解答:a→b→f→e→d→c
解説:
体細胞分裂では、まず核分裂が起き、続いて細胞質分裂が起こります。
①間期:核1個あたりのDNA量が2倍になり、染色体が複製される(a)
②核膜と核小体が消失し(b)、染色体が短く太く凝縮して縦列する(f)
③染色体が中央に並ぶ
④染色体が両端に半分ずつ分裂する(e)
⑤分裂した染色体が核膜におおわれ(d)、植物細胞では細胞板が中央から細胞質を分裂する(c)
大問11
問1
解答:卵と精子の核が合体すること。
解説:
細胞分裂には、体細胞分裂と減数分裂があります。
からだをつくる細胞が分裂する細胞分裂を、体細胞分裂といいます。
体細胞分裂では、分裂前と分裂後の細胞の染色体の数は変わりません。
生殖細胞(精子や精細胞、卵や卵細胞)がつくられるときの細胞分裂を、減数分裂といいます。
減数分裂では、分裂後の細胞の染色体の数は、分裂前の半分になります。
例えば、雌(めしべ)の遺伝子型がAAのとき、生殖細胞である卵(卵細胞)は、AとAに減数分裂します。
雄(おしべ)の遺伝子型がaaのとき、生殖細胞である精子(精細胞)は、aとaに減数分裂します。
卵(卵細胞)と精子(精細胞)の核が合体することを受精といい、この場合、子の遺伝子型はAaとなり、両親から遺伝子を半分ずつ受け継ぎます。
このように、減数分裂で生じる生殖細胞の受精により、新個体(子)をふやすふやし方を、有性生殖といいます。
なお、生殖細胞の呼び方は、被子植物の場合は精細胞と卵細胞、動物の場合は精子と卵です。
■被子植物の有性生殖
花の4要素は、外側から、がく・花弁・おしべ・めしべの順です。
おしべのやくにの中には花粉母細胞(核相2n)があり、そこから成熟花粉(核相n、生殖細胞(精細胞)なので減数分裂して染色体の数が半分になっている)が作られます。
花粉がめしべの柱頭に付着することが受粉で、受粉後、花粉管の伸張により精細胞が胚珠の中の卵細胞(核相n)と受精し受精卵となります。
受精後、胚珠は種子に、子房は果実に、受精卵は胚となります。
■カエルの有性生殖
雌の生殖細胞である卵(卵巣にある)と雄の生殖細胞である精子(精巣にある)が受精して、受精卵ができます。
受精卵が細胞分裂を繰り返して胚(動物では、自分で食物をとることができる個体となる前のもの)になり、
さらに細胞分裂をくり返して個体へと変化していくことを発生といいます。
問2
解答:有性生殖
解説:
問1解説参照。
問3
解答:胚
解説:
問1解説参照。
問4
解答: ①:組織、②:器官
解説:
多くの細胞が集まり、1つのからだをつくっている生物を、多細胞生物といいます。
多細胞生物では、形やはたらきが同じ細胞が集まり組織を、組織が集まり器官を、器官が集まり個体をつくっています。
細胞→組織→器官→個体、の順で生物は形づくられています。
植物の組織の例として道管・師管が、植物の器官として、根・茎・葉・花などがあります。
動物の組織の例として上皮・神経・筋組織が、動物の器官として、皮膚・目・心臓・胃などがあります。