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大問1
問1
解答:ガラス管の先を水そうから抜く
解説:
酸化銀の熱分解を題材にした問題です。
酸化銀の熱分解の化学反応式は、以下の通りです。
酸化銀→銀+酸素(2Ag2O→4Ag+O2)
酸化銀を熱分解すると、気体として酸素が発生します。
酸素は助燃性をもつので、火のついた線香を試験管Bに入れると、線香は激しく燃えます。
代表的な気体の性質は、以下の通りです。
・酸素
酸素の性質として、以下の4つを押さえましょう。
①無色・無臭、②空気よりやや重い(空気の重さの約1.1倍)、③水にとけにくい、★④助燃性をもつ
このほかの気体の性質も、ここで押さえましょう。
・水素
水素の性質として、以下の4つを押さえましょう。
①無色・無臭、②最も軽い気体(空気の重さの約0.08倍)、③水にとけにくい、★④可燃性をもつ
水素は、亜鉛またはマグネシウムにうすい塩酸を加えると発生します。
また、水(H2O)や塩酸(HCl)を電気分解することでも発生します(水素イオンH+より、陰極で発生)
・二酸化炭素
二酸化炭素の性質として、以下の4つを押さえましょう。
①無色・無臭、★②空気より重い(空気の重さの約1.5倍)、③水に少しとける(H+を放出する酸より水溶液は酸性)、★④石灰水を白く濁らせる
・窒素
空気の約8割を占める窒素は、以下の5つの性質を持ちます。
①無色・無臭、②空気より少しだけ軽い、③水に溶けにくい、④助燃性(O2)・可燃性(H2)なし
★⑤常温では他の物質と結びついて化学変化を起こすことはほとんどない(この性質を利用した食品の酸化を防ぐ方法に、窒素充填がある)
・アンモニア
アンモニアの性質として、以下の4つを押さえましょう。
★①無色・刺激臭、★②空気より軽い、★③水に非常によく溶ける(20℃の水1cm3に702cm3溶ける)(OH–を放出するアルカリより水溶液はアルカリ性)→アンモニアの噴水実験、★④塩化水素と反応し、白煙(塩化アンモニウムの白色の固体)を生じる
発生した気体が水に溶けにくい気体(酸素や水素や二酸化炭素など)のとき、水上置換法を用います。
はじめに出てくる気体はフラスコ内の空気なので、集めません。
水上置換法を用いる実験は、
・二酸化マンガンにうすい過酸化水素を加える→酸素が発生
・酸化銀を加熱する→酸素が発生
・亜鉛やマグネシウムにうすい塩酸を加える→水素が発生
・石灰水にうすい塩酸を加える→二酸化炭素が発生
・炭酸水素ナトリウムを加熱する→二酸化炭素が発生
・酸化銅に炭素を加えて加熱する→二酸化炭素が発生
酸化銀の熱分解の実験を終えるとき、逆流防止のために、火を止める前にガラス管の先を水そうから抜きます。
火を止めると試験管内部が冷えて気圧が下がり、下がった気圧を補うために外気を取り込みます。火を止める前にガラス管の先を抜かないと、水がガラス管を通じて逆流してきてしまいます。
問2
解答: 発生した気体の名前:酸素、化学式:O2
解説:
酸化銀の熱分解の化学反応式は、以下の通りです。
酸化銀→銀+酸素(2Ag2O→4Ag+O2)
酸化銀を熱分解すると、気体として酸素が発生します。
酸素は助燃性をもつので、火のついた線香を試験管Bに入れると、線香は激しく燃えます。
問3
解答: 化学式:Ag、確かめる方法:イ、エ
解説:
酸化銀の熱分解の化学反応式は、以下の通りです。
酸化銀→銀+酸素(2Ag2O→4Ag+O2)
酸化銀(黒色)を熱分解すると、銀白色の銀が発生します。
金属には、すべての金属に共通する3つの性質があります。
①みがくと光る(金属光沢)
②たたくとのびたり、広がったりする(延性・展性)
③電気や熱を通す(電気伝導性・熱伝導性)
すべての金属に共通しない性質として、「磁石につく」があります。
磁石につくのは、鉄・ニッケル・コバルトです。
問4
解答:分解
解説:
化学変化のうち、1種類の物質から、2種類以上の物質ができる変化を分解といいます。
分解には、熱分解と電気分解などがあります。
熱分解で覚えるのは、
・炭酸水素ナトリウムの熱分解
炭酸水素ナトリウム→炭酸ナトリウム+水+二酸化炭素
・酸化銀の熱分解
酸化銀→銀+酸素(2Ag2O→4Ag+O2)
・炭酸アンモニウムの熱分解
炭酸アンモニウム→アンモニア+水+二酸化炭素
電気分解で覚えるのは、
・水の電気分解
水→水素+酸素(2H2O→2H2+O2)
・塩酸の電気分解
塩酸→水素+塩素(2HCl→H2+ Cl2)
・塩化銅の電気分解
塩化銅→銅+塩素(CuCl2→Cu+Cl2)
大問2
問1
解答:スチールウールが酸素と化合したから
解説:
化学変化のうち、2種類以上の物質が結びついて、まったく別の新しい物質ができる変化を、化合といいます。
代表的な化合の例として、以下の反応を覚えましょう。
・鉄と硫黄の化合
鉄+硫黄→硫化鉄(Fe+S→FeS)
質量比は、Fe:S:FeS=7:4:11
・銅と硫黄の化合
銅+硫黄→硫化銅(Cu+S→CuS)
質量比は、Cu:S:CuS=2:1:3
・銅の酸化
銅+酸素→酸化銅(2Cu+O2→2CuO)
質量比は、Cu:O2:CuO=4:1:5
・マグネシウムの燃焼(酸化)
マグネシウム+酸素→酸化マグネシウム(2Mg+O2→2MgO)
質量比は、Mg:O2:MgO=3:2:5
・スチールウール(鉄)の燃焼(酸化)
鉄+酸素→酸化鉄
・燃料電池
2H2+O2→2H2O+電気エネルギー
本問は、スチールウール(鉄)の燃焼(酸化)を題材にした問題です。
スチールウール(鉄)の燃焼(酸化)の化学反応式は、
鉄+酸素→酸化鉄
銀白色の鉄が酸化(酸素と化合)して、黒色の酸化鉄となります。
鉄は塩酸を加えると水素が発生しますが、酸化鉄は塩酸を加えても気体は発生しません。
酸化鉄は鉄と酸素と化合してできた化合物なので、化合した酸素の質量分だけ、鉄より質量が大きくなります。
問2
解答:酸化、①:酸素、②酸化鉄
解説:
問1解説参照。
問3
解答: ①イ、②イ
解説:
鉄は金属です。
金属には、すべての金属に共通する3つの性質があります。
①みがくと光る(金属光沢)
②たたくとのびたり、広がったりする(延性・展性)
③電気や熱を通す(電気伝導性・熱伝導性)
すべての金属に共通しない性質として、「磁石につく」があります。
磁石につくのは、鉄・ニッケル・コバルトです。
酸化鉄は、鉄と酸素が化合した化合物で、非金属です。
物質は、有機物と無機物に大別され、無機物はさらに、金属と非金属に分類されます。
大問3
問1
解答:硫化鉄
解説:
本問は、鉄と硫黄の化合を題材にした問題です。
化学変化のうち、2種類以上の物質が結びついて、まったく別の新しい物質ができる変化を、化合といいます。
鉄と硫黄の化合の化学反応式は、以下の通りです。
鉄+硫黄→硫化鉄(Fe+S→FeS)
質量比は、Fe:S:FeS=7:4:11、です。
鉄の色は灰色、硫黄は黄色、硫化鉄は黒色です。
鉄は磁石につきますが、硫化鉄はつきません。
鉄に塩酸を加えると水素が発生し、硫化鉄に塩酸を加えると硫化水素が発生します。
硫化水素は、卵のくさったようなにおいのする有毒な気体で、においをかぐときは、手であおぐようにしてかぎます。
実験のとき、
鉄と硫黄を乳鉢でよく混ぜ、混合物を試験管に入れ、熱せられた硫黄が出ないようにするために、試験管を脱脂綿でふたをします。
試験管を加熱するとき、底の方を加熱すると飛び散ることがあるので、混合物の上部を加熱します。
加熱して赤くなり始めたら火を止めます。
鉄と硫黄の化合は発熱反応で、反応で発生する熱で反応が次々と進みます。
発熱反応の例として、以下の反応を覚えましょう。
・鉄と硫黄の化合
鉄+硫黄→硫化鉄(Fe+S→FeS)
・塩化アンモニウムと水酸化ナトリウムの反応
塩化アンモニウム+水酸化ナトリウム→アンモニア+塩化ナトリウム+水
※水酸化ナトリウムの溶解熱で反応が進む
問2
解答:ウ
解説:
鉄は磁石につきますが、硫化鉄はつきません。
鉄に塩酸を加えると水素が発生し、硫化鉄に塩酸を加えると硫化水素が発生します。
硫化水素は、卵のくさったようなにおいのする有毒な気体で、においをかぐときは、手であおぐようにしてかぎます。
問3
解答:手であおぐようにしてかぐ
解説:
硫化水素は、卵のくさったようなにおいのする有毒な気体で、においをかぐときは、手であおぐようにしてかぎます。
問4
解答:8g
解説:
鉄と硫黄の化合の化学反応式は、以下の通りです。
鉄+硫黄→硫化鉄(Fe+S→FeS)
鉄の色は灰色、硫黄は黄色、硫化鉄は黒色です。
質量比は、Fe:S:FeS=7:4:11、です。
Fe:S:FeS=7:4:11=14:8:22より、黒色の物質である硫化鉄を22gつくるには、鉄粉が14g、硫黄の粉末が8g必要です。
大問4
問1
解答:消化酵素はヒトの体温付近でよくはたらくから。
解説:
多くの細胞が集まり、1つのからだをつくっている生物を、多細胞生物といいます。
多細胞生物では、形やはたらきが同じ細胞が集まり組織を、組織が集まり器官を、器官が集まり個体をつくっています。
細胞→組織→器官→個体、の順で生物は形づくられています。
植物の組織の例として道管・師管が、植物の器官として、根・茎・葉・花などがあります。
動物の組織の例として上皮・神経・筋組織が、動物の器官として、皮膚・目・心臓・胃などがあります。
炭水化物・タンパク質・脂肪を三大栄養素といい、食べた三大栄養素を分解する器官を消化器官といいます。
消化器官は、消化管と消化せんの2つに分けて考えます。
消化管とは、口から肛門までの食物の通る管のことで、食物は、口→食道→胃→十二指腸→小腸→大腸→肛門、という流れで通ります。
消化せんは食べた三大栄養素を分解する(別のものにする)消化液を分泌する消化器官で、だ液せん、胃、肝臓、すい臓、小腸があります。
消化液には消化酵素を含むものと含まないものがあります。
消化酵素とは、炭水化物・タンパク質・脂肪を分解する(粒の大きさが小さい別のものにする)酵素です。
消化酵素の特徴として、以下の4つを押さえましょう。
①決まった物質のみにはたらく(基質特異性)
②反応の前後で変化しない(触媒作用)
③はたらく温度が決まっている(最もよくはたらく温度:ヒトの体温付近、はたらきを失う(失活)温度:70℃くらい)
④はたらくpHが決まっている(だ液中のアミラーゼ:中性付近、胃液中のペプシン:酸性、すい液中の消化酵素:中性〜弱アルカリ性)
炭水化物はまず、だ液せんから分泌された消化液(消化酵素を含む)であるだ液に含まれるアミラーゼによりブドウ糖がいくつか結合したものである麦芽糖に分解されます。
次に、すい臓から分泌された消化液(消化酵素を含む)であるすい液に含まれるアミラーゼにより分解され、ブドウ糖がいくつか結合したものである麦芽糖に分解されます。
そして、小腸の壁から分泌された消化酵素のマルターゼにより、ブドウ糖に分解されます。
デンプンの消化モデル実験として、問題のような実験が行われます。
対照実験では、ある実験を「調べたい条件」以外のものをすべて同じにした状態で行い、両者を比べることで結果が異なれば、「調べたい条件」が原因と証明できます。
試験管Bは試験管Aの、試験管Dは試験管Cの対照実験です。
試験管Aにはだ液が含まれているので、デンプンのりが分解され、ヨウ素液の色が変化しません。
しかし、デンプンのりが分解されたのは、温度(40℃の湯)が原因かもしれません。
そこで、だ液のみ無く、他の条件が試験管Aと全く同じ試験管Bを用意することで、試験管Bのみヨウ素液の色が青紫色になることから、だ液によりデンプンのりが分解されたと断定することができます。
試験管Cにはだ液が含まれているので、デンプンのりが分解され、ブドウ糖がいくつか結合したものができます。
しかし、デンプンのりが分解されたのは、温度(40℃の湯)が原因かもしれません。
そこで、だ液のみ無く、他の条件が試験管Cと全く同じ試験管Dを用意し、両方の試験管にベネジクト液を加えて、沸とう石を加えて加熱すると、試験管Cのみ赤褐色の沈殿ができていることから、だ液のはたらきによりデンプンが分解し、ブドウ糖がいくつか結合したものができたことが分かります。
ベネジクト液は、ブドウ糖がいくつか結合したものや、ブドウ糖を検出するときに用いられる青色の液体です。
青色なのは、ベネジクト液に銅イオンが含まれているからです。
ブドウ糖がいくつか結合したものや、ブドウ糖を含む溶液にベネジクト液を加えて加熱すると、酸化銅の赤褐色の沈殿ができますが、糖の濃度によっては、黄色〜赤褐色になります。
問2
解答:ウ、エ
解説:
試験管Aにはだ液が含まれているので、デンプンのりが分解され、ヨウ素液の色が変化しません。
試験管Bにはだ液が含まれていないので、デンプンのりが分解されず、ヨウ素液の色が青紫色に変化します。
試験管Cにはだ液が含まれているので、デンプンのりが分解され、ブドウ糖がいくつか結合したものができます。
試験管Cにベネジクト液を加えて、沸とう石を加えて加熱すると、赤褐色の沈殿が生じます。
試験管Dにはだ液が含まれていないので、デンプンのりが分解されず、ブドウ糖がいくつか結合したものができないため、ベネジクト液を加えて、沸とう石を加えて加熱しても、色が青色から変化しません。
問3
解答:デンプンが分解され、ブドウ糖がいくつか結合したもの(麦芽糖)ができた。
解説:
問1解説参照。
問4
解答:食物を分解する液:消化液、だ液に含まれる消化酵素:アミラーゼ
解説:
問1解説参照。
大問5
問1
解答:柔毛
解説:
多くの細胞が集まり、1つのからだをつくっている生物を、多細胞生物といいます。
多細胞生物では、形やはたらきが同じ細胞が集まり組織を、組織が集まり器官を、器官が集まり個体をつくっています。
細胞→組織→器官→個体、の順で生物は形づくられています。
植物の組織の例として道管・師管が、植物の器官として、根・茎・葉・花などがあります。
動物の組織の例として上皮・神経・筋組織が、動物の器官として、皮膚・目・心臓・胃などがあります。
炭水化物・タンパク質・脂肪を三大栄養素といい、食べた三大栄養素を分解する器官を消化器官といいます。
消化器官は、消化管と消化せんの2つに分けて考えます。
消化管とは、口から肛門までの食物の通る管のことで、食物は、口→食道→胃→十二指腸→小腸→大腸→肛門、という流れで通ります。
消化せんは食べた三大栄養素を分解する(別のものにする)消化液を分泌する消化器官で、だ液せん、胃、肝臓、すい臓、小腸があります。
消化液には消化酵素を含むものと含まないものがあります。
消化酵素とは、炭水化物・タンパク質・脂肪を分解する(別のものにする)酵素です。
だ液せんからは消化液であるだ液が分泌され、だ液は、消化酵素であるアミラーゼ(炭水化物を分解)を含みます。
胃からは消化液である胃液が分泌され、胃液は、消化酵素であるペプシン(タンパク質をペプトンに分解)を含みます。
肝臓からは消化液である胆汁が分泌され、胆のうに蓄えられます。胆汁は消化酵素を含まず、脂肪を乳化してすい液・リパーゼの働きを助けます。
すい臓からは消化液であるすい液が分泌され、すい液は、消化酵素であるアミラーゼ(炭水化物を麦芽糖に分解)・トリプシン(ペプトンをポリペプチドに分解)・リパーゼ(乳化した脂肪を脂肪酸とモノグリセリドに分解)を含みます。
小腸の壁からは、消化酵素であるマルターゼ(麦芽糖をブドウ糖に分解)・ペプチダーゼ(ポリペプチドをアミノ酸に分解)が分泌されます。
こうして消化器官を通った三大栄養素である炭水化物・タンパク質・脂肪は、それぞれブドウ糖・アミノ酸・脂肪酸とモノグリセリドに分解され、粒の大きさが小さくなります。
ブドウ糖・アミノ酸・脂肪酸とモノグリセリドは、問題文の図の小腸の柔毛に吸収されていきます。
ブドウ糖とアミノ酸は、小腸の柔毛の毛細血管(A)に入り、門脈→肝臓→肝静脈→心臓→大動脈を経て、全身の細胞に送り届けられ、細胞呼吸の材料として利用されます。
脂肪酸とモノグリセリドは、小腸の柔毛に吸収されると脂肪に際合成されてリンパ管(B)に入り、胸管(静脈)→心臓→大動脈を経て、全身の細胞に送り届けられ、細胞呼吸の材料として利用されます。
小腸の内壁にある柔毛は、表面積を広げる構造をしており、1cm2あたり約2500個もあります。
柔毛があることで表面積が大きくなり、養分を効率よく吸収することができます。
根毛・柔毛・肺胞など、養分を吸収するものは、表面積を広げる構造をしています。
問2
解答: A:毛細血管、吸収される物質:ブドウ糖、アミノ酸
解説:
問1解説参照。
問3
解答:リンパ管
解説:
問1解説参照。
問4
解答:表面積が大きくなるため。
解説:
問1解説参照。
大問6
問1
解答:気管
解説:
多くの細胞が集まり、1つのからだをつくっている生物を、多細胞生物といいます。
多細胞生物では、形やはたらきが同じ細胞が集まり組織を、組織が集まり器官を、器官が集まり個体をつくっています。
細胞→組織→器官→個体、の順で生物は形づくられています。
植物の組織の例として道管・師管が、植物の器官として、根・茎・葉・花などがあります。
動物の組織の例として上皮・神経・筋組織が、動物の器官として、皮膚・目・心臓・胃などがあります。
ヒトの呼吸器官は、気管(図1のア)・気管支・肺胞(図2のイ)からなります。
肺は、図2のように、枝分かれした気管支と肺胞からなり、肺胞の表面には毛細血管が張り巡らされ、酸素と二酸化炭素の交換(ガス交換)が行われています。
血液は、固形成分の血球(赤血球・白血球・血小板)と、液体成分の血しょうからできています。
このうち赤血球は酸素を運搬する働きをします。
これは赤血球中の赤い色素であるヘモグロビンが、酸素の多い所では酸素と結びつき、酸素の少ない所では酸素を放出する性質を持つためです。
血液中の血しょうは、養分・二酸化炭素・不要物(尿素など)を運搬する働きをします。
肺胞では、心臓から肺へ血液が流れる血管である肺動脈から、酸素が少なく二酸化炭素を多く含む静脈血が肺胞の毛細血管を流れ、
その過程で、赤血球が酸素を取り入れ、血しょうから二酸化炭素が放出されることで、ガス交換が行われます。
肺胞を流れた血液は酸素を多く含む血液(動脈血)で、肺から心臓へと血液が戻る血管である肺静脈を通り、心臓の左心房→左心室→大動脈を経て、全身の細胞へ酸素が供給されます。
肺胞は、直径が約0.2mm、個数が約3億個、表面積が約60m2(教室の広さくらい)もあります。
肺胞は空気とふれる表面積を大きくすることで、効率よくガス交換を行えるつくりをしています。
問2
解答:肺胞
解説:
問1解説参照。
問3
解答: ①呼吸、②酸素
解説:
ヒトの生命活動に必要なエネルギーは、細胞呼吸によって得られます。
細胞は、生命活動に必要なエネルギーを得るために、ブドウ糖などの有機物を酸素を用いて分解する、呼吸を行っています。
この細胞の呼吸を、肺などの呼吸器での呼吸(外呼吸)に対して、内呼吸といい、細胞のミトコンドリアで行われます。
呼吸とは、有機物を酸素を使って分解し(燃やし)、二酸化炭素と水に変え、化学エネルギーを取り出す活動です。
三大栄養素(有機物)である炭水化物・タンパク質・脂肪は、消化管を経て、ブドウ糖・アミノ酸・脂肪酸とモノグリセリドになり、小腸の柔毛で吸収されます。
小腸の柔毛に吸収されたブドウ糖・アミノ酸・脂肪酸とモノグリセリドのうち、
ブドウ糖とアミノ酸は、小腸の柔毛の毛細血管に入り、門脈→肝臓→肝静脈→心臓→大動脈→全身の毛細血管を経て、全身の細胞に送り届けられ、細胞呼吸の材料として利用されます。
脂肪酸とモノグリセリドは、小腸の柔毛に吸収されると脂肪に際合成されてリンパ管に入り、胸管(静脈)→心臓→大動脈→全身の毛細血管を経て、全身の細胞に送り届けられ、細胞呼吸の材料として利用されます。
血液は、固形成分の血球(赤血球・白血球・血小板)と、液体成分の血しょうからできています。
このうち血しょうは、養分・二酸化炭素・不要物(尿素など)を運搬する働きをします。
血液中の血しょうが毛細血管の外にしみ出て、細胞間を満たしている液を組織液といいます。
組織液は、細胞に酸素や養分を与え、細胞呼吸で生じた不要物(二酸化炭素、水、アンモニアなど)をとかし、血管やリンパ管に運びます。
リンパ管に入った組織液はリンパ液となり、小腸から吸収された脂肪を運搬したり、リンパ液中のリンパ球(白血球の一種)による免疫作用を行います。
細胞呼吸で用いられる酸素は、肺呼吸(外呼吸)によって供給されます。
赤血球は酸素を運搬する働きをします。
これは赤血球中の赤い色素であるヘモグロビンが、酸素の多い所では酸素と結びつき、酸素の少ない所では酸素を放出する性質を持つためです。
血液中の血しょうは、二酸化炭素を運搬する働きをします。
肺胞では、心臓から肺へ血液が流れる血管である肺動脈から、酸素が少なく二酸化炭素を多く含む静脈血が肺胞の毛細血管を流れ、
その過程で、赤血球が酸素を取り入れ、血しょうから二酸化炭素が放出されることで、ガス交換が行われます。
肺胞を流れた血液は酸素を多く含む血液(動脈血)で、肺から心臓へと血液が戻る血管である肺静脈を通り、心臓の左心房→左心室→大動脈を経て、全身の細胞へ酸素が供給されます。
大問7
問1
解答:イ、エ
解説:
血液循環は、肺循環と体循環の2つに大別されます。
・肺循環
肺循環とは、心臓から出た血液が肺を通り、心臓へともどる経路のことです。
血液の流れは、心臓の右心室(イ)→肺動脈(静脈血)(A)→肺の毛細血管→肺静脈(動脈血)(B)→左心房(ウ)と循環します。
なお、心臓は4つの部屋からなり、
正面から見たとき、左側の部屋を「右〜」、右側の部屋を「左〜」、
上の部屋を「〜心房」、下の部屋を「〜心室」と呼びます。
心臓をつなぐ血管は、心臓に戻る血液が流れる血管を「〜静脈」、心臓から出る血液が流れる血管を「〜動脈」、
心臓と体をつなぐ血管を「大〜」、心臓と肺をつなぐ血管を「肺〜」と呼びます。
酸素を多く含む血液を動脈血(鮮紅色)、酸素が少ない血液を静脈血(少し暗い赤色)といいます。
・体循環
体循環とは、心臓から出た血液が全身の細胞を巡って心臓にもどる経路のことです。
血液の流れは、心臓の左心室(エ)→大動脈(動脈血)(C)→全身の毛細血管(細胞呼吸)→大静脈(静脈血)(D)→右心房(ア)と循環します。
心臓は、心房と心室の伸縮と拡張を交互に繰り返すことで、血液を循環させる、ポンプのはたらきをしています。
この心臓の活動を、拍動といいます。
心臓の拍動の流れは、
心房の拡張→心房の収縮と心室の拡張→心室の収縮→心房の拡張→・・・
という流れです。
心房が拡張すると、大静脈と肺静脈から血液が心臓に吸い込まれることで流れますが、吸い込む力が弱いため、逆流の恐れがあります。
そのため、静脈には逆流を防ぐために弁がついています。
心臓の内部にも弁があり、心房と心室の間にある弁を房室弁、心室が動脈とつながる部分にある弁を半月弁といいます。
心臓から血液を送り出すとき、心室が収縮して、動脈(肺動脈(静脈血)と大動脈(動脈血))に血液が送り出されます。
問2
解答:B
解説:
酸素を多く含む血液を動脈血(鮮紅色)、酸素が少ない血液を静脈血(少し暗い赤色)といいます。
動脈血は、肺でガス交換をした直後の血管である肺静脈(B)と、心臓の左心室からからだに送り出された血管である大動脈(C)を流れます。
ゆえに、動脈血を流れる静脈は肺静脈であるBです。
問3
解答:赤血球
解説:
血液は、固形成分の血球(赤血球・白血球・血小板)と、液体成分の血しょうからできています。
このうち赤血球は酸素を運搬する働きをします。
これは赤血球中の赤い色素であるヘモグロビンが、酸素の多い所では酸素と結びつき、酸素の少ない所では酸素を放出する性質を持つためです。
問4
解答:体循環
解説:
問1解説参照。
大問8
問1
解答: ア:ひとみ、イ:レンズ
解説:
多くの細胞が集まり、1つのからだをつくっている生物を、多細胞生物といいます。
多細胞生物では、形やはたらきが同じ細胞が集まり組織を、組織が集まり器官を、器官が集まり個体をつくっています。
細胞→組織→器官→個体、の順で生物は形づくられています。
植物の組織の例として道管・師管が、植物の器官として、根・茎・葉・花などがあります。
動物の組織の例として上皮・神経・筋組織が、動物の器官として、皮膚・目・心臓・胃などがあります。
本問で登場する目は、動物の器官です。
光源あるいは光を反射した物が見えるしくみは、光の刺激が以下のように伝わって見えるからです。
①光の刺激が目に入る:ひとみ(レンズ(イ)が虹彩で覆われていない隙間)(ア)の大きさで入る光の量を調節
②レンズ:光を屈折させ、網膜(ウ)に倒立実像をつくる
③網膜:光を感じる視細胞があり、視細胞で光の刺激を感じとる
④視神経(エ):視細胞で受けとった刺激を大脳に伝える
⑤大脳:「見えた」という感覚が生じる(※)
※外界から刺激がくると、決まった感覚器官(この場合は目)が受け取り、神経(この場合は視神経)を通して大脳に届き、大脳が感知してはじめて感覚となります。
虹彩とひとみの大きさですが、明るい場所では虹彩が広がりひとみが小さくなり、暗い場所では虹彩が縮みひとみが大きくなります。
この反応は大脳と無関係に行われ、反射といいます。
問2
解答:組織
解説:
問1解説参照。
問3
解答:視神経
解説:
問1解説参照。
問4
解答:目に入る光の量を調節するはたらきをしている。
解説:
問1解説参照。
大問9
問1
解答:運動神経
解説:
多くの細胞が集まり、1つのからだをつくっている生物を、多細胞生物といいます。
多細胞生物では、形やはたらきが同じ細胞が集まり組織を、組織が集まり器官を、器官が集まり個体をつくっています。
細胞→組織→器官→個体、の順で生物は形づくられています。
植物の組織の例として道管・師管が、植物の器官として、根・茎・葉・花などがあります。
動物の組織の例として上皮・神経・筋組織が、動物の器官として、皮膚・目・心臓・胃などがあります。
生物が刺激を受け取るための器官を感覚器官(目・耳・鼻・舌・皮膚など)といいます。
それぞれの器官は、受け取る刺激が決まっています。
外界から刺激がくると、決まった感覚器官が受け取り、感覚神経を通して大脳に届き、大脳が感知してはじめて感覚となります。
神経系の種類は、中枢神経と末しょう神経に大別されます。
中枢神経は脳とせきずいからなり、末しょう神経は感覚神経(オ)と運動神経(ク)からなります。
感覚神経は、感覚器官(目・耳・鼻・舌・皮膚など)から中枢神経へ、刺激の電気信号を伝達します。
運動神経は、中枢神経から筋肉(骨格筋)へと、刺激を伝達します。
感覚神経はせきずいに背中側から入り、運動神経はせきずいの腹側から出ます。
外界の刺激に対し、意識して起こす反応を随意運動といい、刺激の電気信号が大脳を必ず通ります。
刺激の電気信号が通る経路は、原則、感覚器官(イ)→感覚神経(オ)→せきずい→大脳(ウ→エ)→せきずい→運動神経(ク)→運動器官(キ)、です。
しかし、感覚神経からの信号がせきずいを通るか通らないかは、感覚器官が首(せきずい)より上にあるか下にあるかで決まります。
例えば、背中がかゆいので手で背中をかく場合、刺激の電気信号の経路は、背中の皮膚(感覚器官)→感覚神経→せきずい→大脳→せきずい→運動神経→手(運動器官)と、行きと帰り両方でせきずいを通ります。
しかし、落下するボールを手でつかむ場合、刺激の電気信号の経路は、目(感覚器官)→感覚神経(視神経)→大脳→せきずい→運動神経→手(運動器官)と、行きはせきずいを通らず、帰りのみ通ります。
問2
解答:反射
解説:
外界の刺激に対し、無意識に起こる反応を反射といいます。
たとえば、うっかり熱いやかんに手を触れてしまった場合、思わず手を引っ込めますが、これが反射です。
反射は、刺激の電気信号の経路が、感覚器官(イ)→感覚神経(オ)→せきずい(カ)→運動神経(ク)→運動器官(キ)、となり刺激の信号が大脳を通りません。
が、行動を起こした後、というかほぼ同時に、感覚器官(イ)→感覚神経(オ)→せきずい→大脳(ウ)、と刺激の電気信号が伝わることで、熱さを感じます。
反射は、信号が大脳を経由しないため、刺激を受け取ってから反応を起こすまでの時間が短く、危険回避に役立っています。
問3
解答:イ、オ、カ、ク、キ
解説:
反射は、刺激の電気信号の経路が、感覚器官(イ)→感覚神経(オ)→せきずい(カ)→運動神経(ク)→運動器官(キ)、となり刺激の信号が大脳を通りません。
問4
解答:危険回避に役立っている。
解説:
問2解説参照。
大問10
問1
解答:セキツイ動物
解説:
動物は、背骨のあるセキツイ動物と、背骨のない無セキツイ動物に分類できます。
セキツイ動物は、魚類・両生類・ハチュウ類・鳥類・ホニュウ類に分類できます。
・体温
魚類・両生類・ハチュウ類は外界の温度が変化すると体温を変化させる変温動物、
鳥類・ホニュウ類は外界の温度が変化しても体温を一定に保つ恒温動物です。
・呼吸のしかた
魚類はえら呼吸、両生類は子がえら呼吸で親が肺呼吸(カエルのように補助的に皮膚呼吸するものもいます)、
ハチュウ類・鳥類・ホニュウ類は肺呼吸です。
・子の産まれ方
魚類・両生類・ハチュウ類・鳥類は卵生、ホニュウ類は胎生です。
魚類・両生類は水中にからのない卵を、ハチュウ類・鳥類は陸上にからのある卵を産みます。
卵の殻は、卵を乾燥から守る役目をし、水中生活から陸上生活への進化に欠かせないものです。
・体の表面
魚類は体の表面がうろこにおおわれており、両生類は湿った皮膚、ハチュウ類はうろこや甲ら、鳥類は羽毛、ホニュウ類は毛におおわれています。
・具体例
魚類の例としてメダカとフナを、
両生類の例としてカエルとイモリ(「いりょう」と覚える)を、
ハチュウ類の例としてトカゲとヤモリを、
鳥類の例としてハトとペンギンを、
ホニュウ類の例としてクジラとコウモリを、
それぞれ覚えましょう。
問2
解答: ア:魚類、オ:両生類
解説:
問1解説参照。
アは、「肺で呼吸する」が×なので、えら呼吸をする魚類です。
ウは、「卵生である」が×なので、胎生であるホニュウ類です。
オは、「肺で呼吸する」が、子が×で親が〇なので、両生類です。
残りは、ハチュウ類と鳥類ですが、
イは、「体表がうろこやこうらでおおわれている」が〇なので、ハチュウ類、
エは消去法で鳥類です。
問3
解答:変温動物
解説:
魚類(ア)・両生類(オ)・ハチュウ類(イ)は外界の温度が変化すると体温を変化させる変温動物、
鳥類(エ)・ホニュウ類(ウ)は外界の温度が変化しても体温を一定に保つ恒温動物です。
問4
解答:胎生
解説:
問1解説参照。
大問11
問1
解答:進化
解説:
動物は、背骨のあるセキツイ動物と、背骨のない無セキツイ動物に分類できます。
セキツイ動物は、魚類・両生類・ハチュウ類・鳥類・ホニュウ類に分類できます。
化石が発見された地層の地質年代から、これらセキツイ動物は、
魚類→両生類→ハチュウ類→ホニュウ類→鳥類
の順に進化したと考えられています。
セキツイ動物の進化の証拠として、相同器官・痕跡器官があります。
相同器官とは、現在は形やはたらきが異なるが、基本的な骨格が同じため、もとは同じものが変化してできたと考えられる器官のことです。
例えば、カエルの前足・ワニの前足・スズメのつばさ・コウモリのつばさ・クジラの胸びれ・ヒトの腕が相同器官です。
相同器官の中には、ヘビやクジラの後ろ足のように、現在ははたらきを失い、形だけわずかに残る痕跡器官もあります。
セキツイ動物の進化の証拠は、相同器官の他に、ハチュウ類と鳥類の中間と考えられる始祖鳥があります。
始祖鳥の鳥類の特徴は、①羽毛をもち、くちばしがある ②前足の骨格がつばさとよく似ている
ハチュウ類の特徴は、①くちばしに歯、つばさに爪がある ②尾骨のある長い尾を持つ
問2
解答:エ
解説:
問1解説参照。
問3
解答: 器官のなまえ:相同器官、相当する部分:ウとカ
解説:
ヒトの腕(ア)・コウモリのつばさ(ウ)・クジラの胸びれ(カ)は相同器官です。