大問1
問1
解答: ①ポリプロピレン、②鉄
解説:
物質は有機物と無機物に大別され、無機物はさらに、金属と非金属に分類されます。
表のポリプロピレンはプラスチックで有機物、アルミニウム、鉄、銅は金属です。
①
プラスチックの原料は、ほとんどが石油(ナフサ)です。
石油は有機物であるので炭素(C)と水素(H)を含んでおり、燃やす(酸素O2と化合する)と二酸化炭素(CO2)と水(H2O)が発生します。
プラスチックの性質として、以下の4つがあります。
①軽くてしなやか
②熱や油、薬品に強い
③耐水性、可塑性(変形した物体が元の形に戻らない性質)にすぐれている
④生分解性プラスチックは、土のなかで微生物により分解される
プラスチックの種類として、以下の5種類を押さえておきましょう。
・ポリエチレンテレフタレート(PET):燃えにくいが多少のすすがでる
・ポリエチレン(PE):溶けながらよく燃える、水に浮く
・ポリスチレン(PS):すすを出しながら燃える
・ポリプロピレン(PP):溶けながらよく燃える、水に浮く
・ポリ塩化ビニル(PVC):燃えにくい
ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)以外は、4℃の水(密度 1.0g/cm3)より密度が大きいため、水に沈みます。
②
金属には、すべての金属に共通する3つの性質があります。
①みがくと光る(金属光沢)
②たたくとのびたり、広がったりする(延性・展性)
③電気や熱を通す(電気伝導性・熱伝導性)
すべての金属に共通しない性質として、「磁石につく」があります。
磁石につくのは、鉄・ニッケル・コバルトです。
問2
解答:金属光沢がある、展性・延性がある、熱をよく伝える(から2つ)
解説:
問1解説参照。
問3
解答:27cm3
解説:
密度の単位[g/cm3]に注意して解きます。
ポリプロピレン質量[g]は24.3g、表より密度[g/cm3]は0.90g/cm3です。
ゆえに、
ポリプロピレンの体積[cm3]=24.3g÷0.90g/cm3=27g
大問2
問1
解答: 装置X:ウ、集め方:水上置換法
解説:
代表的な気体の性質は、以下の通りです。
■酸素
酸素の性質として、以下の4つを押さえましょう。
①無色・無臭、②空気よりやや重い(空気の重さの約1.1倍)、③水にとけにくい、★④助燃性をもつ
酸素が発生する反応として、以下の例を覚えましょう。
・二酸化マンガンにうすい過酸化水素を加える
・過酸化水素を加熱する
・酸素系漂白剤にお湯を加える
・酸化銀を加熱する
・水を電気分解する
■水素
水素の性質として、以下の4つを押さえましょう。
①無色・無臭、②最も軽い気体(空気の重さの約0.08倍)、③水にとけにくい、★④可燃性をもつ
水素が発生する反応として、以下の例を覚えましょう。
・鉄にうすい塩酸を加える
・亜鉛にうすい塩酸を加える
・マグネシウムにうすい塩酸を加える
・水を電気分解する(水素イオンH+より、陰極で発生)
・塩酸を電気分解する(水素イオンH+より、陰極で発生)
■二酸化炭素
二酸化炭素の性質として、以下の4つを押さえましょう。
①無色・無臭、★②空気より重い(空気の重さの約1.5倍)、③水に少しとける(H+を放出する酸より水溶液は酸性)、★④石灰水を白く濁らせる
二酸化炭素が発生する反応として、以下の例を覚えましょう。
・石灰水にうすい塩酸を加える
・炭酸水素ナトリウムを加熱する
・炭酸水素ナトリウムにうすい塩酸を加える
・炭酸アンモニウムを加熱する
・酸化銅に炭素を加えて加熱する
■窒素
空気の約8割を占める窒素は、以下の5つの性質を持ちます。
①無色・無臭、②空気より少しだけ軽い、③水に溶けにくい、④助燃性(O2)・可燃性(H2)なし
★⑤常温では他の物質と結びついて化学変化を起こすことはほとんどない(この性質を利用した食品の酸化を防ぐ方法に、窒素充填がある)
■アンモニア
アンモニアの性質として、以下の4つを押さえましょう。
★①無色・刺激臭、★②空気より軽い、★③水に非常によく溶ける(20℃の水1cm3に702cm3溶ける)(OH–を放出するアルカリより水溶液はアルカリ性)→アンモニアの噴水実験、★④塩化水素と反応し、白煙(塩化アンモニウムの白色の固体)を生じる
アンモニアが発生する反応として、以下の例を覚えましょう。
・塩化アンモニウムと水酸化カルシウムの混合物を加熱する
・塩化アンモニウムと水酸化ナトリウムの混合物を加熱する(発熱反応)
・塩化アンモニウムと水酸化バリウムの混合物を加熱する
・炭酸アンモニウムを加熱する
気体の捕集方法として、水上置換法・下方置換法・上方置換法の3つがあります。
■水上置換法
発生した気体が水に溶けにくい気体(酸素や水素や二酸化炭素など)のとき、水上置換法を用います。
はじめに出てくる気体はフラスコ内の空気なので、集めません。
■下方置換法
発生した気体が水に溶けやすく空気より重い気体(塩素など)のとき、下方置換法を用います。
容器をガラス板で蓋をし、隙間からガラス管を容器の奥まで入れることで、容器内部の空気が追い出され、容器が発生した気体で満たされます。
■上方置換法
発生した気体が水に溶けやすく空気より軽い気体(アンモニアなど)のとき、上方置換法を用います。
ガラス管を容器の奥まで入れることで、容器内部の空気が追い出され、容器が発生した気体で満たされます。
アンモニアのとき、容器の入り口に塩酸をつけたガラス棒を近づけ、塩化アンモニウムの白煙が生じたら、容器がアンモニアで満たされれていることが確認できます。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
表より、Aでは酸素が、Bでは二酸化炭素が発生します。
どちらも空気より重く水に溶けにくい気体ですが、酸素は空気の約1.1倍の重さでしかなく、下方置換法より水上置換法のほうが適しています。
問2
解答:水にとけにくい。
解説:
問1解説参照。
問3
解答: 気体名:二酸化炭素、同じ気体:イ
解説:
Bで発生した気体は二酸化炭素なので、同じ気体が発生するのはイです。
アでは水素が、ウではアンモニアが発生します。
大問3
問1
解答:状態変化
解説:
固体から液体への状態変化を融解、
液体から固体への状態変化を凝固、
液体から気体への状態変化を気化、
気体から液体への状態変化を液化、
固体から気体または気体から固体への状態変化を昇華といいます。
物質が融解し始めるときの温度を融点、
凝固し始めるときの温度を凝固点、
気化し始めるときの温度を沸点といいます。
天気の分野において、水蒸気が液化し始めるときの温度を露点といいます。
純粋な物質の融点と沸点は決まっており、また融点と凝固点は一致します。
問2
解答:融点
解説:
例えばパルチミン酸の融点は62.7℃(t1)、沸点は360℃(t2)です。
パルチミン酸の温度が、
62.7℃より小さいなら固体の状態で、熱を加えると温度が上昇していきます。
62.7℃なら固体と液体が共存した状態で、熱を加えても固体を液体にするのに熱エネルギーが使われるため、温度は上昇しません。
62.7℃より大きく360℃より小さいなら液体の状態で、熱を加えると温度が上昇していきます。
グラフを見ると、パルチミン酸の融点または凝固点が62.7℃らしく見えるので、用いたパルチミン酸は不純物が含まれていない純粋なパルチミン酸です。
よって、パルチミン酸が溶け出したのはおよそ8分後、固体のパルチミン酸が完全に液体になったのがおよそ16分後です。
加熱時間が0〜8分ではパルチミン酸は固体の状態、16分後以降は液体の状態です。
なお、パルチミン酸は水を通じて加熱されていますが、水の沸点は100℃なので、加熱を続けてもパルチミン酸の温度は100℃より上昇せず、パルチミン酸の沸点360℃を超えないため、液体の状態のままです。
パルチミン酸とは、バターやパーム油などに含まれる白色の血漿で、ろうそくの材料の1つとしても用いられています。
問3
解答: ①エ、②イ
解説:
物質は、純物質と混合物に分けられます。
純物質はさらに、単体と化合物に分けられます。
純物質とは、水(H2O)や食塩(塩化ナトリウム)(NaCl)などのように、1種類の物質だけからできているものです。
単体とは、酸素(O2)や鉄(Fe)など、1種類の原子からできている物質のことです。
化合物とは、水(H2O)や食塩(塩化ナトリウム)(NaCl)などのように、2種類以上の原子からできている物質のことです。
混合物とは、2種類以上の純物質が混じり合ったものをいいます。例えば食塩水は、水と食塩という2種類の純物質が混じった混合物です。
純粋な物質において、温度一定のときは物質の温度が以下のときの状態は、
融点より小さい:固体
融点:固体と液体
融点より大きく沸点より小さい:液体
沸点:液体と気体
沸点より大きい:気体
です。
問4
解答: 加熱する:燃える、発生する気体:二酸化炭素
解説:
有機物は、炭素(C)と水素(H)を含んでおり、燃やす(酸素O2と化合する)と二酸化炭素(CO2)と水(H2O)が発生します。
大問4
問1
解答: Bにつくこと:受粉、C:種子、D:果実
解説:
花の4要素は、外側から、がく・花弁・おしべ・めしべの順です。
Aはおしべのやく、Bはめしべの柱頭、Dはめしべの子房、Cはめしべの胚珠です。
おしべのやくにの中には花粉母細胞(核相2n)があり、そこから成熟花粉(核相n、生殖細胞(精細胞)なので減数分裂して染色体の数が半分になっている)が作られます。
花粉がめしべの柱頭に付着することが受粉で、受粉後、花粉管の伸張により精細胞が胚珠の中の卵細胞(核相n)と受精し受精卵となります。
受精後、胚珠は種子に、子房は果実に、受精卵は胚となります。
なお、生殖細胞の呼び方は、被子植物の場合は精細胞と卵細胞、動物の場合は精子と卵です。
問2
解答: C:G、名前:胚珠
解説:
植物はまず、種子で増えるか胞子で増えるかで大きく分けられます。
種子で増える植物を種子植物といい、胚珠が子房で包まれている植物を被子植物、胚珠がむきだしの植物を裸子植物といいます。
被子植物は、子葉の枚数により単子葉類(1枚)と双子葉類(2枚)に分類され、双子葉類はさらに花弁の付き方により、合弁花類と離弁花類に分類されます。
単子葉類として、イネ・トウモロコシ・スズメノカタビラ・ユリ・アヤメ・ツユクサ・チューリップを、
合弁花類として、ツツジ・タンポポ・アサガオを、
離弁花類として、サクラ・アブラナ・エンドウを、
それぞれ覚えましょう。
マツは、裸子植物です。
マツの種子のでき方について。
雄花(F)のりん片にある花粉のう(H)から花粉が風で飛び、雌花(E)の胚珠(G)につき受粉します。
受粉後すぐに受精が起こらず、雌花は翌年の春まで花粉を守り、翌年の春から夏にかけて受精します。
受精後、胚珠は種子に、雌花はまつかさに成長します。子房が無いので果実はできません。
図の雄花の側には1年前に受粉した雌花があり、図の左下にあるのはまつかさ(2年前に受粉した雌花)です。
問3
解答: まつかさ:E、花:雌花
解説:
問2解説参照。
大問5
問1
解答:対照実験
解説:
植物の葉には葉緑体があり、光合成は葉緑体で行われます。
根で吸収した水が茎の道管(維管束の内側)から葉の維管束である葉脈(維管束の上側)を通り葉緑体に届けられ、
孔辺細胞の隙間である気孔で吸収された二酸化炭素を日光(光エネルギー)を用いて、単糖類であるグルコース(ブドウ糖)と酸素に合成されます。
グルコースは水に溶けやすく、このままの形では葉に栄養分を貯蔵できないため、グルコースが多数つながった水に溶けにくいデンプンにつくり変えられます。
夜間に水に溶けやすい二糖類のスクロース(ショ糖)に変えられ、師管を通ってからだの各部へ運ばれて、呼吸や成長の材料として使われます。
対照実験では、ある実験を「調べたい条件」以外のものをすべて同じにした状態で行い、両者を比べることで結果が異なれば、「調べたい条件」が原因と証明できます。
BはAの対照実験で、この結果から、葉で光合成が行われ二酸化炭素が消費されたことがわかります。
このとき、二酸化炭素が減ったことが葉のはたらきであることを確かめるには、日光が当たるAを用います。
しかし袋Aだけだと、葉以外の要素が原因で二酸化炭素が減ったとも言えてしまうので、葉のみ無い袋Bを用いて、AとBを比べることで、二酸化炭素が減ったことが葉のはたらきであることを確かめることができます。
問2
解答:光合成によって二酸化炭素が使われたから。
解説:
植物は光合成と呼吸を同時に行います。
光合成では、葉の気孔から、二酸化炭素が入り酸素が出ます。
呼吸では、葉の気孔から、酸素が入り二酸化炭素が出ます。
光の当たる場所では、光合成のはたらきの方が強くなるので、光合成で出入りする気体の量が、呼吸で出入りする気体の量より多くなり、あたかも二酸化炭素が吸収され、酸素が放出されているかのように見えます。
問3
解答:CとD
解説:
葉が呼吸をして二酸化炭素を出していることは、CとDを比べることで分かります。
AとBを比較することで、植物が光合成をしていることが分かります。
石灰水を変化させた、すなわち石灰水を白く濁らせた植物のはたらきは、植物の呼吸です。
呼吸では、葉の気孔から、酸素が入り二酸化炭素が出ます。
植物の呼吸は、昼夜を問わず、一日中行われます。
対して光合成は、日光が必要であるため、光が当たる時間帯に行われます。
また、光合成によって産生されたデンプンは、夜間に水に溶けやすい二糖類のスクロース(ショ糖)に変えられ、師管を通ってからだの各部へ運ばれて、呼吸や成長の材料として使われます。
なお、石灰水とは水酸化カルシウム(Ca(OH)2)のことです。
水酸化カルシウムは水溶液中に水酸化物イオン(OH–)があるので、アルカリ性です。
水酸化カルシウム水溶液に二酸化炭素(CO2)が溶けると炭酸(H2CO3)となり、水素イオン(H+)が放出されるので、酸性の性質を示します。
アルカリ性の水酸化カルシウムに、酸性の炭酸が加わることで中和が起こり、炭酸カルシウム(CaCO3)の塩が発生します。
炭酸カルシウムは白色の固体で、水にとけにくいため、水溶液中に拡散します。
石灰水が白く濁るのは、炭酸カルシウムが水溶液中に拡散しているためです。
この状態でさらに二酸化炭素を流すと、炭酸カルシウムは水に溶けやすい炭酸水素カルシウムとなり、水溶液は再び透明になります。
大問6
問1
解答:道管
解説:
根で吸収した水は、茎の道管(維管束の内側)から、葉の維管束である葉脈(維管束の上側)を通り葉緑体に届けられ、光合成の材料に使われます。
問2
解答:蒸散
解説:
植物の葉の表、葉の裏、茎には気孔(孔辺細胞の隙間)があり、気孔から酸素や二酸化炭素が出入りし、水蒸気が出て行きます。
植物体内の水が、気孔から水蒸気となって体外に放出される現象を蒸散といいます。
蒸散量を調べる実験では、問題の通り、ワセリンがよく用いられます。
また、蒸散量を正確に調べるために、試験管に油を入れ、水が試験管から蒸発するのを防止します。
問3
解答:葉の表側よりも裏側の方が出ていく水(水蒸気)の量が多い。
解説:
蒸散が行われる気孔は孔辺細胞のすきまにできる小さな穴です。
多くの陸上植物は、葉の表側より裏側に気孔が多く分布しますが、オニユリなどでは葉の表と裏でほぼ同数の気孔が分布しています。
気孔は茎にもあることに注意してください。
表のAでは、葉の表側にワセリンをぬっているので、葉の裏側と茎から蒸散が起こっています(4時間あたりの蒸散量=a=3.5gとおく)。
表のBでは、葉の裏側にワセリンをぬっているので、葉の表側と茎から蒸散が起こっています(4時間あたりの蒸散量=b=1.0gとおく)。
表のCでは、ワセリンをぬっていないので、葉の表側と葉の裏側と茎から蒸散が起こっています(4時間あたりの蒸散量=c=4.0gとおく)。
4時間あたりの蒸散量はb>aより、実験で用いた植物は、葉の表側より裏側に気孔が多く分布する植物であることが分かります。
蒸散量は、2つの植物を用いて以下のように計算します。
c-a=(葉の表・葉の裏・茎)-(葉の裏・茎)=葉の表側からの蒸散量=4.0g – 3.5g=0.5g(=dとおく)
c-b=(葉の表・葉の裏・茎)-(葉の表・茎)=葉の裏側からの蒸散量=4.0g – 1.0g=3.0g(=eとおく)
c-d-e=(葉の表・葉の裏・茎)-(葉の表)-(葉の裏)=茎からの蒸散量=4.0g – 0.5g- 3.0g=0.5g
これより。葉の裏側の蒸散量が最も多いので、この植物の気孔は葉の裏側に多く分布することが分かります。
問4
解答:イ
解説:
問3解説参照。
大問7
問1
解答:B
解説:
顕微鏡として、ステージ上下式顕微鏡(鏡筒上下式顕微鏡)と双眼実体顕微鏡を覚えましょう。
■ステージ上下式顕微鏡
ステージ上下式顕微鏡の使用手順は、以下の5ステップです。
①接眼レンズ、対物レンズの順に取り付ける(上からゴミが入らないようにするため)
②反射鏡で明るさを調節する
③プレパラートをステージにのせる
④横から見て対物レンズ(低倍率から使用)をプレパラートに近づける
⑤接眼レンズをのぞきながら対物レンズを遠ざけピントを合わせる
プレパラートを近づけてから遠ざけてピントを合わせるのがポイントです。
ステージ上下式顕微鏡の特徴として、以下の3つがあります。
①接眼レンズは短いものほど、対物レンズは長いものほど倍率が高くなる
②顕微鏡の倍率が2倍、3倍・・・になると、視野と明るさは、1/4倍、1/9倍・・・になる(倍率が上がると視野が狭く暗くなる)
③像は上下左右が逆(倒立像)(レンズを通して見える物体を像という)
■双眼実体顕微鏡
双眼実体顕微鏡の使用手順は、以下の4ステップです。
①接眼レンズを目の幅に合わせ両目の視野を一致させる
②粗動ねじをゆるめ両目でおよそのピントを合わせる
③右目で調節ねじ(微動ねじ)を回しピントを合わせる
④左目で視度調節リングを回しピントを合わせる
両目(接眼レンズと粗動ねじ)→右目(調節ねじ(微動ねじ))→左目(視度調節リング)の順でピントを合わせるのがポイントです。
双眼実体顕微鏡の特徴として、以下の3つがあります。
①立体的に見ることができる
②低倍率の観察に適する(20〜40倍)
③像は上下左右が同じ(正立像)
以上の知識をもとに、問題を解きます。
図1より、同じ程度の大きさにして観察するとき、最も高倍率で観察しなければならない生物は、サイズが最も小さい生物Bである。
問2
解答: A:ミカヅキモ、C:ミジンコ
解説:
水中の生物で、遊泳能力がないか、あっても弱いため水中を浮遊するものをプランクトンといいます。
プランクトンには、光合成を行う植物プランクトン、摂食を行う動物プランクトン、光合成も摂食も行うプランクトンがあり、
さらに、からだのつくりにより、単細胞生物と多細胞生物に分けられます。
プランクトンの例として、以下のものを覚えましょう。
植物プランクトン・多細胞生物→アオミドロ(D)
植物プランクトン・単細胞生物→ミカヅキモ(A)、ケイソウ(B)、ミドリムシ
動物プランクトン・多細胞生物→ミジンコ(C)
動物プランクトン・単細胞生物→ミドリムシ、アメーバ、ゾウリムシ
このうち、ミドリムシはべん毛、ゾウリムシは繊毛、アメーバは仮足、ミジンコは触角を使って動きますが、ミカヅキモは生きているときには自らはほとんど動きません。
ゾウリムシは動物プランクトンより、動物細胞とおなじつくりをしていると考えてよいです。
問3
解答:イ
解説:
この観察で用いているのは、ステージ上下式顕微鏡です。
ステージ上下式顕微鏡の像は上下左右が逆の倒立像なので、図2の矢印の向きにミジンコが移動したとき、
図3のプレパラート上では逆向きのイの向きにミジンコは移動しています。
大問8
問1
解答:光合成
解説:
生命の基本単位は、細胞です。
細胞は、核と細胞質からなる原形質と、原形質以外の後形質とからなります。
核は、中に遺伝子をのせた染色体を持ちます。
染色体は、遺伝子の本体として働く物質であるDNAと、ヒストンというタンパク質からなる糸状の構造物で、染色液によく染まることから、染色体と名が付けられています。
(染色体の”染色”の名の由来)
染色液として、以下の3種類を覚えましょう。
・酢酸カーミン溶液(赤色に染まる)
・酢酸オルセイン溶液(赤紫色に染まる)
・酢酸ダーリア溶液(青紫色に染まる)
細胞の細胞質の中には、細胞膜、葉緑体、液胞、ミトコンドリア、ゴルジ体、中心体などがあります。
・細胞膜:細胞内外を区切るとともに、物質の出入りを調節します。
・葉緑体:葉緑素(クロロフィル)を含み、光合成を行います。
・液胞:細胞中の水分量の調節や糖・無機塩類・不要物などを蓄積します。
・ミトコンドリア:細胞呼吸が行われる場所です。細胞は、生命活動に必要なエネルギーを得るために、ブドウ糖などの有機物を酸素を用いて分解する、呼吸を行っています。この細胞の呼吸を、肺などの呼吸器での呼吸(外呼吸)に対して、内呼吸といいます。
・ゴルジ体:おもに動物細胞にあり、細胞の分泌活動(物質を生産し、細胞外に出す働き)に関係しています。ゴルジ体は、とくに消化腺で発達しています。
・中心体:おもに動物細胞の核の近くにあり、動物細胞が体細胞分裂・減数分裂するときに出る、紡錘体形成の中心として働きます。
細胞の後形質は、細胞壁です。細胞壁は、細胞内の保護と形の保持を行っています。
動物細胞には、核・核小体・細胞質・細胞膜・ミトコンドリア・ゴルジ体・中心体などがあります。
植物細胞には、核・核小体・細胞質・細胞膜・葉緑体・ミトコンドリア・液胞・細胞壁などがあります。
光合成は葉緑体で行われます。
根で吸収した水が茎の道管(維管束の内側)から葉の維管束である葉脈(維管束の上側)を通り葉緑体に届けられ、
孔辺細胞の隙間である気孔で吸収された二酸化炭素を日光(光エネルギー)を用いて、単糖類であるグルコース(ブドウ糖)と酸素に合成されます。
グルコースは水に溶けやすく、このままの形では葉に栄養分を貯蔵できないため、グルコースが多数つながった水に溶けにくいデンプンにつくり変えられます。
夜間に水に溶けやすい二糖類のスクロース(ショ糖)に変えられ、師管を通ってからだの各部へ運ばれて、呼吸や成長の材料として使われます。
植物が光合成を行うことを確認する実験として、「ふ」入りの葉を使った実験があります。
まず、ふ入りの葉の一部をアルミニウムはくでおおい、1日暗室に置いて葉のデンプンを無くし、翌日、日光に当てます。
次に、葉を熱湯につけたあと、あたためたエタノールにつけて葉の緑色を脱色し、ヨウ素液にひたします。。
その結果、アルミニウムはくでおおった部分(光なし)とふの部分(葉緑体なし)は色が変化しないことから、光合成には光と葉緑体が必要であることが分かります。
問2
解答:ヨウ素液(溶)液
解説:
デンプンと反応して青紫色に変化する薬品は、ヨウ素液です。
問3
解答:葉緑体
解説:
図2の葉は日光が当たっているので、葉の葉緑体で光合成が行われ、葉にはデンプンが貯蔵されています。
問4
解答:光
解説:
BはAの対照実験です。
AとBは光の有無のみ異なっているので、光合成には光が必要であることが分かります。
大問9
問1
解答:すべての葉に光が当たること。
解説:
植物を真上から見ると、日光を受けやすいように、それぞれの葉がなるべく重ならないようについているのが分かります。
植物によって葉のつき方にはきまりがあり、これを葉序といいます。
問2
解答:維管束
解説:
根で吸収された水は、茎の道管→葉の維管束である葉脈の道管→葉に送り届けられ、光合成の材料として使われます。
維管束とは、道管と師管の束のことです。
道管は、根から吸収された水や肥料分が通る管で、茎では維管束の内側にあります。
師管は、葉で光合成で作られた養分(デンプン→ショ糖)が通る管で、茎では維管束の外側にあります。
葉の断面図においては、上から、表皮、柵状組織、維管束である葉脈、海綿状組織、表皮(裏側、気孔が多くある)、からなります。
植物の葉には葉緑体があり、光合成は葉緑体で行われます。
葉緑体は、柵状組織、海綿状組織、葉の裏側の孔辺細胞(孔辺細胞のすきまが気孔)(A)にあります。
葉は光を受けやすく、光合成がさかんなため、柵状組織がぎっしりならびます。裏は気孔が多く、気体(酸素と二酸化炭素)が出入りしやすいように、海綿状組織がまばらに並びます。
葉の維管束を葉脈といいます。
茎の維管束では、内側が道管で外側が師管ですが、葉の維管束では、上側(表皮側)が道管で下側が師管です。
問3
解答: A:気孔、出入りするもの:ア、イ、エ
解説:
植物は光合成と呼吸を同時に行います。
光合成では、葉の気孔から、二酸化炭素が入り酸素が出ます。
呼吸では、葉の気孔から、酸素が入り二酸化炭素が出ます。
光の当たる場所では、光合成のはたらきの方が強くなるので、光合成で出入りする気体の量が、呼吸で出入りする気体の量より多くなり、あたかも二酸化炭素が吸収され、酸素が放出されているかのように見えます。
また、植物体内の水は、気孔から水蒸気となって体外に放出されます。
これを、蒸散といいます。
蒸散がもつ3つのはたらき(メリット)は、
①体内の水分量の調節
②植物体の温度調節
→蒸散が起こると気化熱により植物体の温度が下がる
③水分移動の促進
→葉で蒸散が起こると植物体の水分量が減り、葉の細胞内液の濃度が高くなり、根から道管に水を押し上げる力である根圧と、葉が道管から水を吸収しようとする力である吸水力により、水分移動が促進される
大問10
問1
解答:ウ
解説:
植物はまず、種子で増えるか胞子で増えるかで大別され、種子で増える植物を種子植物といいます。
胞子で増える植物は、今度は維管束があるかどうか、または、根・茎・葉の区別かあるかどうかで大別され、
維管束がある植物をシダ植物、ない植物をコケ植物といいます。
イヌワラビはシダ植物です。
シダ植物の個体の増やし方は、
葉の裏にある胞子のう(A)が乾いて裂けて胞子(B)が飛び出て、胞子が発芽して前葉体となり、前葉体の造精器(雄器)から精子が雨の日に泳いで別の前葉体の造卵器(雌器)の卵までいき受精し、受精卵が成長し若いシダとなって増えます。
シダ植物は、無性生殖→有性生殖の順で個体を増やします。
スギゴケやゼニゴケはコケ植物です。
コケ植物は、雄株と雌株の区別があるものが多いです。
個体の増やし方は、
雄株の雄器で精子が、雌株の雌器で卵が作られ、雨の日などに精子が雌器の卵まで泳いで受精し、受精卵が育つと雌器に胞子のうができて胞子がつくられ、胞子のうが破れて胞子が飛び散り、発芽・成長して雄株と雌株になります。
コケ植物は、有性生殖→無性生殖の順で個体を増やします。
図1のイヌワラビのからだのつくりにおいて、アとイが葉、ウが茎、エが根です。
シダ植物の根は、種子植物ほど発達していないひげ根、
茎は、地中を横に走る地下茎、
葉は、地上に出ている部分全体が1枚の葉(複葉という)で、アを葉身、イを葉柄といいます。
シダ植物として、イヌワラビ・ゼンマイ・スギナを、
コケ植物として、スギゴケ・ゼニゴケを、
それぞれ覚えましょう。
問2
解答: A:胞子のう、B:胞子
解説:
問1解説参照。
問3
解答:シダ(植物)
解説:
問1解説参照。
問4
解答:②、⑤
解説:
問1解説参照。
大問11
問1
解答: 観点1:ウ、観点2:エ、観点3:イ
解説:
植物の分類の観点はまず、種子をつくるか否かで大別します。
種子を作る植物を種子植物といいます。
種子植物はさらに、胚珠が子房に包まれているか否かで分類し、胚珠が子房に包まれている植物を被子植物、胚珠がむきだしの植物を裸子植物といいます。
被子植物はさらに、子葉の枚数で分類し、子葉が1枚の植物を単子葉類、子葉が2枚の植物を双子葉類といいます。
双子葉類はさらに、花弁がくっついているか否かで分類し、花弁がくっついている植物を合弁花類(ツツジ)、花弁が離れている植物を離弁花類(アブラナ)といいます。
単子葉類として、イネ・トウモロコシ・スズメノカタビラ・ユリ・アヤメ・ツユクサ・チューリップを、
合弁花類として、ツツジ・タンポポ・アサガオを、
離弁花類として、サクラ・アブラナ・エンドウを、
裸子植物として、マツ、スギ、ヒノキ、イチョウ、ソテツを
それぞれ覚えましょう。
これに加えて、ホウセンカは双子葉類であることも覚えましょう。
双子葉類は、子葉が2枚、葉脈(葉の維管束)が網状脈(F)、茎の維管束が輪状に並びます(E)。
維管束とは、道管と師管の束のことです。
道管は、根から吸収された水や肥料分が通る管で、茎では維管束の内側にあります。
師管は、葉で光合成で作られた養分(デンプン→ショ糖)が通る管で、茎では維管束の外側にあります。
双子葉類の根は、主根と側根からなり(A)、根の先端ちかくに根毛があり、表面積を広げる構造をしており、これにより水や肥料分を効率よく吸収できます。
単子葉類は、子葉が1枚、葉脈(葉の維管束)が平行脈、茎の維管束が全体に散らばっています。
双子葉類と同じく、茎では道管は維管束の内側に、師管は維管束の外側にあります。
単子葉類の根はひげ根で、根の先端ちかくに根毛があり、表面積を広げる構造をしており、これにより水や肥料分を効率よく吸収できます。
種子をつくらず、胞子で増える植物は、今度は維管束があるかどうか、または、根・茎・葉の区別かあるかどうかで大別され、
維管束がある植物をシダ植物、ない植物をコケ植物といいます。
イヌワラビはシダ植物です。
シダ植物の個体の増やし方は、
葉の裏にある胞子のうが乾いて裂けて胞子が飛び出て、胞子が発芽して前葉体となり、前葉体の造精器(雄器)から精子が雨の日に泳いで別の前葉体の造卵器(雌器)の卵までいき受精し、受精卵が成長し若いシダとなって増えます。
シダ植物は、無性生殖→有性生殖の順で個体を増やします。
スギゴケやゼニゴケはコケ植物です。
コケ植物は、雄株と雌株の区別があるものが多いです。
個体の増やし方は、
雄株の雄器で精子が、雌株の雌器で卵が作られ、雨の日などに精子が雌器の卵まで泳いで受精し、受精卵が育つと雌器に胞子のうができて胞子がつくられ、胞子のうが破れて胞子が飛び散り、発芽・成長して雄株と雌株になります。
コケ植物は、有性生殖→無性生殖の順で個体を増やします。
図1のイヌワラビのからだのつくりにおいて、アとイが葉、ウが茎、エが根です。
シダ植物の根は、種子植物ほど発達していないひげ根、
茎は、地中を横に走る地下茎、
葉は、地上に出ている部分全体が1枚の葉(複葉という)で、アを葉身、イを葉柄といいます。
シダ植物として、イヌワラビ・ゼンマイ・スギナを、
コケ植物として、スギゴケ・ゼニゴケを、
それぞれ覚えましょう。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
観点1は、種子をつくるかつくらないか(ウ)、です。
観点2は、胚珠が子房に包まれているか否か(エ)、です。
観点3は、子葉が1枚か2枚かで、葉脈が網状脈か平行脈か(イ)、で代用可能です。
観点4は、維管束があるかないか、です。
問2
解答: 分類:C、名前:裸子(植物)
解説:
イチョウは裸子植物なのです。
図より、
AとBは双子葉類か単子葉類、
Cは裸子植物、
DとEはシダ植物かコケ植物です。
これより、イチョウはCに分類されます。
問3
解答:根、茎、葉の区別があるか、ないか。(維管束があるか、ないか。)
解説:
問1解説参照。