大問1
問1
解答:イ
解説:
液体を沸騰させ、出てくる気体を冷やして、再び液体にして集める方法を蒸留といいます。
蒸留のポイントは、物質の沸点の違いを利用することで、混合物を純粋な物質に分けることができることです。
純粋な水の沸点は100℃ですが、純粋なエタノールの沸点は78.3℃と、純粋な水の沸点より低いです。
それゆえ、蒸留を進めると、最初はエタノールを多く含む液体が得られ(3〜6分後)、徐々に水が多く出てきます。
問2
解答:液体に火をつけてみる。液体のにおいをかいでみる。
解説:
純粋な水の沸点は100℃ですが、純粋なエタノールの沸点は78.3℃と、純粋な水の沸点より低いです。
それゆえ、蒸留を進めると、最初はエタノールを多く含む液体(試験管①)が得られ、徐々に水が多く出てきます(試験管②→試験管③)。
エタノールを多く含む液体と思われる試験管①の確認方法は、解答の通りです。
問3
解答: 方法:蒸溜、性質:物質には決まった沸点があるから。
解説:
問1解説参照。
水とエタノールの混合液の蒸留の実験について、
枝つきフラスコの形と名前は覚えて、さらに、蒸留の操作と注意点として、以下の4つを押さえましょう。
①沸騰石を入れて突沸を防ぐ
②ガラス管をたまった液につけない(※)
③試験管は水で冷却する
④ガラス管は火を消す前に試験管から出す(※)
※枝つきフラスコが冷えると、フラスコ内の気圧が下がり、外気を吸うため、試験管の中の液体が逆流することがあるから。炭酸水素ナトリウムの熱分解の実験も同様の理由で、ガラス管は火を消す前に試験管から出します。
大問2
問1
解答: A:砂糖水、物質:非電解質
解説:
水に溶かすとイオンに分かれる(電離する)物質を電解質といいます。
水に溶かしてもイオンに分かれず、粒子(分子)として水溶液中に拡散するだけの物質を非電解質といいます。
水中にイオンがあるので、電解質を溶かした水溶液(電解質の水溶液)は、電気(電流)を通します。
電解質として、酸、アルカリ、食塩、塩化銅などがあります。
非電解質として、砂糖とエタノールがあります。非電解質は砂糖とエタノールであることは、必ず覚えましょう。
問2
解答:B、C
解説:
電解質を水に溶かすと、イオンに電離します。
この様子を式で表したものを、電離式といいます。
水に溶かすと、水素イオン(H+)を放出する物質を、酸といいます。
代表的な酸の電離式は、以下の通りです。
①塩酸 HCl→H++Cl–
②硫酸 H2SO4→2H++SO42-
水素イオン(H+)は酸の性質を示します。
水に溶かすと、水酸化物イオン(OH–)を放出する物質を、アルカリといいます。
代表的なアルカリの電離式は、以下の通りです。
①水酸化ナトリウム NaOH→Na++OH–
②水酸化バリウム Ba(OH)2→Ba2++2OH–
水酸化物イオン(OH–)はアルカリの性質を示します。
水中にH+あるがOH–は1つも存在しない状態を、酸性といいます。
水中にOH–あるがH+は1つも存在しない状態を、アルカリ性といいます。
酸性の水溶液(PH7より小さい)の性質は、以下の4つです。
①青色リトマス紙が赤色に変化する
②青色や緑色のBTB溶液が黄色に変化する
③電流が流れる(電解質の水溶液)
④マグネシウムを溶かし、水素が発生する
アルカリ性の水溶液(PH7より大きい)の性質は、以下の4つです。
①赤色リトマス紙が青色に変化する
②黄色や緑色のBTB溶液が青色に変化する
③電流が流れる(電解質の水溶液)
④フェノールフタレイン溶液が赤色に変化する
⑤マグネシウムは溶けない(アルミニウム・亜鉛・鉛・スズは溶けて水素が発生)
※アルミニウム・亜鉛・鉛・スズは、酸にもアルカリにも溶けるので、両性金属と呼ばれています。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
表より、
水溶液Aは電流が流れないので、非電解質の砂糖水です。
水溶液Dは電流が流れ、フェノールフタレイン溶液が赤色変化したことから、アルカリ性の水溶液なので、うすい水酸化ナトリウム水溶液です。
消去法で、水溶液BとCは、うすい塩酸またはうすい硫酸のどちらかでが、両方とも酸性の水溶液なので、マグネシウムを入れると水素が発生します。
問3
解答:a:ア、b:ア、c:イ
解説:
水酸化物イオンの移動実験の問題です。
まず、+どうし-どうしは反発し、+と-はくっつくことを押さえてください。
問2より、水溶液Dはうすい水酸化ナトリウム水溶液です。
水酸化ナトリウムの電離式は、以下の通りです。
NaOH→Na++OH–
これより、陽イオンであるナトリウムイオン(Na+)は陰極(-極)に、陰イオンである水酸化物イオン(OH–)は陽極(+極)に移動します。
水素イオン(H+)は酸の性質を、水酸化物イオン(OH–)はアルカリの性質を示します。
よってこの実験では、水酸化物イオン(OH–)が陽極側に広がることで、赤色リトマス紙が青色に変化します。
なお、水素イオンの移動実験や水酸化物イオンの移動実験で、ろ紙に硫酸ナトリウム水溶液をしみこませるのは、電流が流れるようにするためです。
このほか、食塩水(塩化ナトリウム水溶液)や硫酸カリウム水溶液もよく用いられます。
問4
解答:OH–
解説:
問3解説参照。
大問3
問1
解答:エ
解説:
銅(Cu)やマグネシウム(Mg)は、1粒の金属原子で全体を代表します。
金属原子は、電解質の水溶液中で溶けて電子を放出して、陽イオンになる性質があります。
この陽イオンへのなりやすさをイオン化傾向といい、金属によって異なります。
主な金属のイオン化傾向は、以下の通りです。
Mg>Al>Zn>Fe>(H)>Cu>Ag
※水素は金属ではありませんが、陽イオンへのなりやすさを比較するよい目安となるため、入れられます。
金属のイオン化傾向の違いを利用して、化学電池を作ることができます。
電池の本質は、電流が流れることです。
電子の向きと電流の向きは逆の関係があることを押さえてください。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
この実験では、電解質の水溶液としてうすい塩酸(HCl)を、金属として亜鉛板と銅板を用いています。
塩酸は気体の塩化水素が水にとけたもので、水溶液では、以下のように電離します。
HCl→H++Cl–
亜鉛(Zn)と銅(Cu)では、亜鉛の方がイオン化傾向が大きいので、亜鉛原子がうすい塩酸に溶けて電子を2コ放出し、
電子が銅板にいき、H+2コが電子を受け取り水素(H2)が発生します。
電子が亜鉛板から銅板に移動することで、電流は銅板から亜鉛板に流れます。
電流は+の電気です。
+どうし-どうしは反発し、+と-はくっつきます。
これより、亜鉛板が陰極(-極)、銅板が陽極(+極)となります。
銅は+極→十円玉、と覚えましょう。
亜鉛板での反応は、Zn→Zn+2e–
銅板での反応は、2H++2e–→H2
となります。
問2
解答:イ
解説:
この電池では、亜鉛板が陰極(-極)、銅板が陽極(+極)となります。
+どうし-どうしは反発し、+と-はくっつきます。
電子は-極から+極に移動し、電流は+極から-極に流れます。
問3
解答: 水溶液:電気が流れる。、金属板:異なる金属である。
解説:
化学変化を起こす物質のもっている化学エネルギーを電気エネルギーに変える装置を、化学電池といいます。
化学電池には、以下の2つが必要です。
①異なる2種類の金属
②電気を通す水溶液(電解質の水溶液)
ここは語句を暗記する感じでOKです。
大問4
問1
解答:1190m
解説:
単なる単位計算の問題です。
音が空気中を伝わる速さが340m/s、
花火が開くのが見えてから音が聞こえるまでにかかった時間が3.5sより、
花火が開いた地点からビデオ撮影した地点までの距離は、
340m/s×3.5s=340×3.5m=34×35m=(30+4)×35=1050+140=1190m
問2
解答:音が伝わる速さが、光の速さより速いから。
解説:
音を伝える物質と音が伝わる速さは、気体<液体<固体の順に速くなります。
例えば、空気中での音が伝わる速さは約340m/s、水中での音が伝わる速さは約1500m/s、鉄の場合は約6000m/s、です。
100m離れた場所の場合、音が空気中を伝わって耳に届くまでにかかる時間は約0.3s(100m÷約340m/s)と、人が認識できる時間分かかります。
これに対して、光の速さは約3億m/sと非常に速いため、点灯してから目に届くまでの時間は無視できるほど小さい(0秒)とみなすことができます。
問3
解答: ①:空気、②:振動、③:鼓膜
解説:
音源が振動すると、その振動が波として広がり、空気などの音を伝える物質(媒質)に次々と伝わることで、音が伝わります。
空気の成分比率は、体積の割合で多い順から
窒素(約78%)、酸素(約21%)、アルゴン(約0.9%)、二酸化炭素(約0.04%)です。
このほか、ネオン、ヘリウムなども微量ですが含まれています。
これら空気を構成する原子や分子は質量[g]を持つ物体で、音波によって振動し、その振動が伝わっていくことで、音が伝わります。
同様に、水には水分子が、金属には銅原子や鉄原子などがあり、それらに音波の振動が伝わっていくことで、音が伝わります。
人が音を感知するとき、音は、音の刺激が次のように伝わって聞こえます。
①音の刺激(空気の振動として耳に入る)
②鼓膜(音波により振動し、気体の振動が固体の振動に変換される)
③耳小骨(固体の振動を増幅し、うずまき管のリンパ液を振動させる。固体の振動が液体の振動に変換される)
④うずまき管(リンパ液の振動を聴細胞が受け取る)
⑤聴神経(聴細胞の刺激を大脳に伝える)
⑥大脳(「音が聞こえたと」いう感覚が生じる)
外界から刺激がくると、決まった感覚器官(この場合は耳)が受け取り、神経(この場合は聴神経)を通して大脳に届き、大脳が感知してはじめて感覚となります。
大問5
問1
解答:5g/cm3
解説:
密度の単位[g/cm3]に注意して解きます。
問題文①より、この立方体のおもりの体積は10cm3です。
空気中でおもりをばねばかりで吊すと、ばねばかりの目盛りが0.5Nを示し、100gの物体にはたらく重力の大きさを1Nとしているので、おもりの質量は、100g/N×0.5N=50gです。
ゆえに、このおもりの密度は[g/cm3]
密度[g/cm3]=50g/10cm3=5g/cm3
問2
解答: 目盛り:0.40N、浮力:0.10N
解説:
ばねばかりを用いて、物体の重さを水中ではかると、物体は水から鉛直上向きの力を受け、空気中ではかるよりも軽くなります。
この力を浮力といいます。
物体は水中では、上面と下面、左右の面それぞれから水の圧力である水圧を受けます。
水圧は物体が深く沈むほど、大きくなります。
左右の面が受ける水圧の大きさは等しいので、互いに打ち消し合います。
しかし、上面と下面では、下面にかかる水圧の大きさ(鉛直上向き)が上面にかかる水圧の大きさ(鉛直下向き)より大きいため、その差が浮力となります。
また、浮力[N]とは物体が押しのけた流体の重さ[N]ということができ、これをアルキメデスの原理といいます。
仮に、水の密度を1.0g/cm3(4℃の水)とします。
物体の体積は50cm3より、物体をこの水に完全に沈めた場合、物体が押しのけた水の体積は50cm3、50cm3の水の質量[g]は、1.0g/cm3×50cm3=50gです。
100gの物体にはたらく重力の大きさを1Nと仮定すると、50cm3の水の重さ[N]は、1N/100g×50g=1/2N=0.5Nとなるので、物体に働く浮力の大きさは0.5Nとなります。
アルキメデスの原理より、物体に働く浮力の大きさは、物体の体積に依存します。
ゆえに、物体が水中に完全に沈むと、物体に働く浮力の大きさはそれ以上増加しません。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
問題文②より、おもりの体積10cm3の半分5cm3を水の中に沈めたとき、ばねばかりの目盛りが0.50Nから0.45Nに減少したことから、減少した分0.05Nが浮力となります。
アルキメデスの原理より、水5cm3の重さ[N]が0.05Nで、これがおもりに与える浮力になります。
浮力は押しのけられた水の体積に比例するので、10cm3のおもりが水中に完全に沈んだとき、おもりにはたらく浮力の大きさは、0.05N×2=0.10Nとなります。
おもりが水中に完全に沈んでいるので、浮力はこれ以上増加しません。
ばねばかりの目盛りは、0.50N – 0.10N=0.40Nを示します。
問3
解答:
解説:
力は矢印で表します。
このとき、力の三要素である力の大きさを矢印の長さで、力の向きを矢印の指す向きで、力が加わる点である作用点を矢印の視点として、それぞれ表します。
力の矢印がのっている直線を、作用線といいます。
・おもりにはたらく重力(A)
重力の向きは鉛直下向き、作用点はおもりの中心です。
問題文①より、おもりにはたらく重力の大きさは0.50Nなので、矢印の長さは5マスです。
なお、地球上で質量100gの物体に働く重力(作用点は物体の中心)の大きさを1N(ニュートン)とすることが多いですが、
正確には、地球上で質量100gの物体に働く重力の大きさは0.98Nです。
・糸がおもりを引く力(B)
おもりは糸と接続されており、糸がおもりを引く力が働き、これと重力とが釣り合うことで、おもりは静止しています。
ゆえに、糸がおもりを引く力=おもりにはたらく重力の大きさ=0.50N(方眼の5目盛り)です。
糸がおもりを引く力の向きは鉛直上向き、作用点は糸とおもりの接点です。
大問6
問1
解答: 電流の向き:A、磁界の向き:①
解説:
抵抗に電圧を加えると電流が流れます。
電圧→電流、という流れです。
抵抗とは、電流の流れにくさを表します。
金属線は抵抗が小さい材料で、このまま電圧を加えると、回路に大きな電流が流れてしまい危険です。
そこで、抵抗が大きい抵抗器や電熱線などを接続して、回路に大きな電流が流れないようにします。
電流は+の電気で、電源装置の+極から出て、-極に戻るかたちで回路を流れます。
これより、電流の流れる向きはAです。
磁石では、N極からS極に磁力線が流れます。磁界の向きはN極が指し示す向きです。
N極から出るのが磁界の向き、と覚えると分かりやすいです。
よって、図2のU字形磁石の磁界の向きは①です。
問2
解答:U字形磁石のN極とS極を逆にする
解説:
磁界の中の導線に電流を流すと、導線に電磁力が発生し、導線が動き出します。
ゆえに電流が流れるコイルにU字形磁石をはさむと、コイルが動きます。
磁界・電流・電磁力の向きは、右手のパーで決定できます。
親指が電流の向き、それ以外の指が磁界の向きで、右手のパーを手前に押した向きが電磁力の向きです。
だから図1の実験装置では、コイルは図2の向きに動きます。
回路をそのままにして、つまり電源装置の+極と-極を変えないで、コイルの動く向きである電磁力の向きを逆にするには、U字形磁石のN極とS極を逆にするしかありません。
問3
解答:エ
解説:
電磁力の大きさは、磁界が強いほど、コイルに流れる電流の大きさが大きいほど大きくなります。
この問題では、U字形磁石を変えていなく、コイルに流れる電流の大きさを大きくして、電磁力を大きくして、コイルの動きを大きくしています。
抵抗とは、電流の流れにくさを表します。
抵抗が大きいほど電流が流れにくくなるので、電流の大きさは小さくなります。
抵抗が小さいほど電流が流れやすくなるので、電流の大きさは大きくなります。
抵抗は1つにまとめることができ、1つにまとめられた抵抗を合成抵抗といいます。
抵抗が1本線に並んだ回路である直列回路では、合成抵抗は各抵抗の和になります。
よって、選択肢ウの合成抵抗は、20Ω(10Ω+10Ω)です。
抵抗が分岐して並列に並んだ回路である並列回路では、2つの抵抗の合成抵抗は、2つの抵抗の積÷2つの抵抗の和になります。
この考え方を用いると、同じ抵抗を並列にn個並べた並列回路の合成抵抗は、1つの抵抗÷nとなります。
よって、選択肢エの合成抵抗は、5Ω(10Ω÷2)です。
選択肢ア〜エのうち、選択肢エの抵抗が最も小さいので、最も大きい電流が流れ、電磁力が最も大きくなり、コイルが最も大きく動きます。
問4
解答:モーター、スピーカーなど
解説:
解答例の通りです。
大問7
問1
解答: ア:やく、イ:柱頭、ウ:胚珠
解説:
植物の分類の観点はまず、種子をつくるか否かで大別します。
種子を作る植物を種子植物といいます。
種子植物はさらに、胚珠が子房に包まれているか否かで分類し、胚珠が子房に包まれている植物を被子植物、胚珠がむきだしの植物を裸子植物といいます。
被子植物はさらに、子葉の枚数で分類し、子葉が1枚の植物を単子葉類、子葉が2枚の植物を双子葉類といいます。
双子葉類は、子葉が2枚、葉脈(葉の維管束)が網状脈、茎の維管束が輪状に並びます。
維管束とは、道管と師管の束のことです。
道管は、根から吸収された水や肥料分が通る管で、茎では維管束の内側にあります。
師管は、葉で光合成で作られた養分(デンプン→ショ糖)が通る管で、茎では維管束の外側にあります。
双子葉類の根は、主根と側根からなり、根の先端ちかくに根毛があり、表面積を広げる構造をしており、これにより水や肥料分を効率よく吸収できます。
単子葉類は、子葉が1枚、葉脈(葉の維管束)が平行脈、茎の維管束が全体に散らばっています。
双子葉類と同じく、道管は維管束の内側に、師管は維管束の外側にあります。
単子葉類の根はひげ根で、根の先端ちかくに根毛があり、表面積を広げる構造をしており、これにより水や肥料分を効率よく吸収できます。
双子葉類はさらに、花弁がくっついているか否かで分類し、花弁がくっついている植物を合弁花類(ツツジ)、花弁が離れている植物を離弁花類(アブラナ)といいます。
単子葉類として、イネ・トウモロコシ・スズメノカタビラ・ユリ・アヤメ・ツユクサ・チューリップを、
合弁花類として、ツツジ・タンポポ・アサガオを、
離弁花類として、サクラ・アブラナ・エンドウを、
裸子植物として、マツ、スギ、ヒノキ、イチョウ、ソテツを
それぞれ覚えましょう。
これに加えて、ホウセンカは双子葉類であることも覚えましょう。
種子を作らず、胞子で増える植物は、今度は維管束があるかどうか、または、根・茎・葉の区別かあるかどうかで大別され、
維管束がある植物をシダ植物、ない植物をコケ植物といいます。
コケ植物は、雄株と雌株の区別があるものが多いです。
シダ植物とコケ植物の相違点について。
シダ植物は、根・茎・葉(維管束)の区別があり根(ひげ根)で水を吸収します。
コケ植物は、根・茎・葉(維管束)の区別がなく、からだの表面で水を吸収します。また、雄株と雌株に分かれていることが多いです。
シダ植物とコケ植物の類似点について。
種子ではなく胞子で増える、湿ったところで生育する、葉緑体を持ち光合成をする、雄器で作られた精子が泳ぐために受精には水が必要、の4つです。
シダ植物として、イヌワラビ・ゼンマイ・スギナを、
コケ植物として、スギゴケ・ゼニゴケを、
それぞれ覚えましょう。
被子植物であるアブラナを詳しく見ます。
花の4要素は、外側から、がく・花弁・おしべ・めしべの順です。
おしべのやくにの中には花粉母細胞(核相2n)があり、そこから成熟花粉(核相n、生殖細胞(精細胞)なので減数分裂して染色体の数が半分になっている)が作られます。
花粉がめしべの柱頭に付着することが受粉で、受粉後、花粉管の伸張により精細胞が胚珠の中の卵細胞(核相n)と受精し受精卵となります。
受精後、胚珠は種子に、子房は果実に、受精卵は胚となります。
なお、生殖細胞の呼び方は、被子植物の場合は精細胞と卵細胞、動物の場合は精子と卵です。
問2
解答: A:胚珠、B:花粉のう(やく)
解説:
マツは、裸子植物です。
マツの種子のでき方について。
雄花のりん片にある花粉のう(B)から花粉が風で飛び、雌花のりん片にある胚珠(A)につき受粉します。
受粉後すぐに受精が起こらず、雌花は翌年の春まで花粉を守り、翌年の春から夏にかけて受精します。
受精後、胚珠は種子に、雌花はまつかさに成長します。子房が無いので果実はできません。
図2の雄花の側には1年前に受粉した雌花があり、図の左下にあるのはまつかさ(2年前に受粉した雌花)です。
問3
解答: ちがい:子房がなく、胚珠がむき出しになっている。植物:種子植物
解説:
種子を作る植物を種子植物といいます。
種子植物はさらに、胚珠が子房に包まれているか否かで分類し、胚珠が子房に包まれている植物を被子植物、胚珠がむきだしの植物を裸子植物といいます。
大問8
問1
解答: 物質:デンプン、粒の名前:葉緑体
解説:
植物は光合成と呼吸を同時に行います。
光合成は植物細胞の細胞質(原形質)にある葉緑体で行われます。
光合成では、葉の気孔から、二酸化炭素が入り酸素が出ます。
呼吸では、葉の気孔から、酸素が入り二酸化炭素が出ます。
光の当たる場所では、光合成のはたらきの方が強くなるので、光合成で出入りする気体の量が、呼吸で出入りする気体の量より多くなり、あたかも酸素が放出されているかのように見えます。
光の当たらない場所では、呼吸のみ行われるので、二酸化炭素のみ放出されます。
光合成では、根で吸収した水が茎の道管(維管束の内側)から葉の維管束である葉脈(維管束の上側)を通り葉緑体に届けられ、
孔辺細胞の隙間である気孔で吸収された二酸化炭素を日光(光エネルギー)を用いて、単糖類であるグルコース(ブドウ糖)と酸素に合成されます。
グルコースは水に溶けやすく、このままの形では葉に栄養分を貯蔵できないため、グルコースが多数つながった水に溶けにくいデンプンにつくり変えられます。
夜間に水に溶けやすい二糖類のスクロース(ショ糖)に変えられ、師管を通ってからだの各部へ運ばれて、呼吸や成長の材料として使われます。
つまり、光が当たらない場所では、植物は呼吸のみ行い、光合成で産生され葉に貯蔵されたデンプンを消費するため、葉のデンプンが無くなります。
通常は実験の前に、オオカナダモを光の当たらない場所に1日置いて、葉のデンプンをなくします。
この後、対照実験を行って光合成の働きを調べますが、こうすることで正確な実験データを得ることが出来ます。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
試験管Aには、日光が直接当たっているので、葉の葉緑体(緑色の小さな粒)で光合成が行われ、デンプンとして貯蔵されているため、ヨウ素液の色が青紫色に変化します。
問2
解答: ①:光合成、②:二酸化炭素、③:減少
解説:
水道水はアルカリ性で、水酸化物イオン(OH–)のみ含まれています。
二酸化炭素は水に少しとける気体で、水に溶けると水素イオン(H+)を放出する酸です。
ゆえに、試験管にある水道水に二酸化炭素をふきこむと、水溶液中の水素イオン(H+)の量が増えて、アルカリ性が弱くなっていきます。
さらに二酸化炭素をふきこんでいくと二酸化炭素が多量に含まれた酸性の水溶液となっていきます。
石灰水に二酸化炭素を通すと、白く濁ります。
石灰水とは水酸化カルシウム(Ca(OH)2)のことです。
水酸化カルシウムは水溶液中に水酸化物イオン(OH–)があるので、アルカリ性です。
水酸化カルシウム水溶液に二酸化炭素(CO2)が溶けると炭酸(H2CO3)となり、水素イオン(H+)が放出されるので、酸性の性質を示します。
アルカリ性の水酸化カルシウムに、酸性の炭酸が加わることで中和が起こり、炭酸カルシウム(CaCO3)の塩が発生します。
炭酸カルシウムは白色の固体で、水にとけにくいため、水溶液中に拡散します。
石灰水が白く濁るのは、炭酸カルシウムが水溶液中に拡散しているためです。
この状態でさらに二酸化炭素を流すと、炭酸カルシウムは水に溶けやすい炭酸水素カルシウムとなり、水溶液は再び透明になります。
BTB溶液は指示薬で、酸性の水溶液に加えると黄色、中性の水溶液に加えると緑色、アルカリ性の水溶液に加えると青色に変化します。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
問題文より、ビーカーの水道水に息を吹き込み二酸化炭素を溶かして、BTB溶液の色を緑色にしているので、ビーカーにある水溶液は中性です。
試験管Aには、日光が直接当たっているので、葉の葉緑体(緑色の小さな粒)で光合成が行われます。
植物は光合成と呼吸を同時に行います。
光合成では、葉の気孔から、二酸化炭素が入り酸素が出ます。呼吸では、葉の気孔から、酸素が入り二酸化炭素が出ます。
光の当たる場所では、光合成のはたらきの方が強くなるので、光合成で出入りする気体の量が、呼吸で出入りする気体の量より多くなり、あたかも酸素が放出されているかのように見えます。
よって結果として、オオカナダモが光合成をすることで水道水の二酸化炭素の量が減少して、BTB溶液の色が緑色から青色にもどります。
問3
解答:(オオカナダモ)が呼吸をして、BTB溶液中の二酸化炭素が増加したから。
解説:
植物は光合成と呼吸を同時に行います。
光合成では、葉の気孔から、二酸化炭素が入り酸素が出ます。呼吸では、葉の気孔から、酸素が入り二酸化炭素が出ます。
光の当たらない場所では、呼吸のみ行われるので、二酸化炭素のみ放出されます。
よって、オオカナダモが呼吸をすることで、水道水の二酸化炭素の量が増加して、BTB溶液の色が緑色から黄色に変化します。
問4
解答:対照実験
解説:
対照実験では、ある実験を「調べたい条件」以外のものをすべて同じにした状態で行い、両者を比べることで結果が異なれば、「調べたい条件」が原因と証明できます。
試験管Cは試験管Aの対照実験、試験管Dは試験管Bの対照実験です。
試験管AとCの違いは、葉の有無のみなので、この対照実験により、光合成には葉緑体が必要であると結論づけることができます。
試験管BとDの違いは、光の有無のみなので、この対照実験により、光合成には光が必要であると結論づけることができます。
大問9
問1
解答: ①:せきずい、②:運動神経
解説:
多くの細胞が集まり、1つのからだをつくっている生物を、多細胞生物といいます。
多細胞生物では、形やはたらきが同じ細胞が集まり組織を、組織が集まり器官を、器官が集まり個体をつくっています。
細胞→組織→器官→個体、の順で生物は形づくられています。
植物の組織の例として道管・師管が、植物の器官として、根・茎・葉・花などがあります。
動物の組織の例として上皮・神経・筋組織が、動物の器官として、皮膚・目・心臓・胃などがあります。
生物が刺激を受け取るための器官を感覚器官(目・耳・鼻・舌・皮膚など)といいます。
それぞれの器官は、受け取る刺激が決まっています。
外界から刺激がくると、決まった感覚器官が受け取り、感覚神経を通して大脳に届き、大脳が感知してはじめて感覚となります。
神経系の種類は、中枢神経と末しょう神経に大別されます。
中枢神経は脳とせきずいからなり、末しょう神経は感覚神経と運動神経からなります。
感覚神経は、感覚器官(目・耳・鼻・舌・皮膚など)から中枢神経へ、刺激の電気信号を伝達します。
運動神経は、中枢神経から筋肉(骨格筋)へと、刺激を伝達します。
感覚神経はせきずいに背中側から入り、運動神経はせきずいの腹側から出ます。
外界の刺激に対し、意識して起こす反応を随意運動といい、刺激の電気信号が大脳を必ず通ります。
刺激の電気信号が通る経路は、原則、感覚器官→感覚神経→せきずい→大脳→せきずい→運動神経→運動器官、です。
しかし、感覚神経からの信号がせきずいを通るか通らないかは、感覚器官が首(せきずい)より上にあるか下にあるかで決まります。
例えば、背中がかゆいので手で背中をかく場合、刺激の電気信号の経路は、背中の皮膚(感覚器官)→感覚神経→せきずい→大脳→せきずい→運動神経→手(運動器官)と、行きと帰り両方でせきずいを通ります。
しかし、落下するボールを手でつかむ場合、刺激の電気信号の経路は、目(感覚器官)→感覚神経(視神経)→大脳→せきずい→運動神経→手(運動器官)と、行きはせきずいを通らず、帰りのみ通ります。
問2
解答:暗くなったとき
解説:
光源あるいは光を反射した物が見えるしくみは、光の刺激が以下のように伝わって見えるからです。
①光の刺激が目に入る:ひとみ(レンズ(ア)が虹彩(イ)で覆われていない隙間)の大きさで入る光の量を調節
②レンズ:光を屈折させ、網膜(ウ)に倒立実像をつくる
③網膜:光を感じる視細胞があり、視細胞で光の刺激を感じとる
④視神経(エ):視細胞で受けとった刺激を大脳に伝える
⑤大脳:「見えた」という感覚が生じる(※)
※外界から刺激がくると、決まった感覚器官(この場合は目)が受け取り、神経(この場合は視神経)を通して大脳に届き、大脳が感知してはじめて感覚となります。
虹彩とひとみの大きさですが、明るい場所では虹彩が広がりひとみが小さくなり、暗い場所では虹彩が縮みひとみが大きくなります。
この反応は大脳と無関係に行われ、反射といいます。
問3
解答: 像を結ぶところ:ウ、名前:網膜
解説:
レンズに入った光は屈折して、網膜に倒立実像をつくります。
大問10
問1
解答:
解説:
天気を表す天気図記号と風力を表す風力記号を組み合わせ、観測地点での天気・風向・風力を表した記号を、天気図記号といいます。
降水のないとき、天気は雲量(空全体を10としたとき、雲がおおっている割合)で決まり、雲量が0〜1のときが快晴、2〜8のときが晴れ、9〜10がくもりとなります。
快晴、晴れ、くもり、雨、雪の天気記号は要暗記です。
風力と風向は、地点円からのばして書いた矢羽根で表し、風力は矢羽根の本数で(7本目で折り返す)、風向は矢羽根がついている方向(風が吹いてくる方向)で表します。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
表1より、雲量9から天気はくもりです。
風向が南東から北西にふいていたことから南東の風なので、矢羽根を南東(右下)の方向に書きます。
風速が5.9m/sで、表2より風力4より矢羽根の本数を4本にして書きます。
問2
解答: 読み:ヘクトパスカル、1気圧:エ
解説:
空気の成分比率は、体積の割合で多い順から
窒素(約78%)、酸素(約21%)、アルゴン(約0.9%)、二酸化炭素(約0.04%)です。
このほか、ネオン、ヘリウムなども微量ですが含まれています。
これら空気を構成する原子や分子は質量[g]を持つので、力[N]を及ぼします。
地表面をおおう空気の層を大気、大気による圧力を気圧(大気圧)といいます。単位はhPa(ヘクトパスカル)です。
地表付近の気圧(1気圧)は、1013hPaです。
空気の密度は、約1g/1000cm3です。
ここで、1辺10cmの立方体の空気のかたまりを考えると、体積が10cm×10cm×10cm=1000cm3より、この空気のかたまりの質量は
1g/1000cm3×1000cm3=1gとなります。
1gは、1円玉1枚の質量に相当します。
この空気のかたまりを床に置いたとき、ふれあう面の面積は10cm×10cm=10/100m×10/100m=1/10×1/10m2=1/100m2、床をおす力(重力の大きさ)は1N/100g×1g=1/100Nより、床が受ける圧力は
1/100N÷1/100m2=1N/m2=1Pa、となります。
これは高さ10cmあたりの圧力なので、1Pa/10cmとすることができます。
地表付近の気圧(1気圧)は、1013hPa=101300Paより、大気の厚さは
101300Pa÷1Pa/10cm=1013000cm=10130m=10130/1000km=10.13kmとなります。
しかし、実際の大気の厚さは約500kmです。
この差は、大気の厚さの計算過程で、空気の密度を、約1g/1000cm3としたためです。
しかし密度とは粒子の詰まり具合を表します。空気は上空に行くほど膨張し体積[cm3]が増加するため、密度[g/cm3]が減少します。
密度が減少すると、1辺10cmの立方体の空気のかたまりの質量[g]が減少し、床をおす力[N]も減少し、圧力(大気圧)[N/m2]も減少します。
これから、地表付近の気圧(1気圧)を1013hPa=101300Paとするためには、大気の厚さを厚くして、質量を増やす必要があるため、実際の大気の厚さは理論値10.13kmより遙かに大きい約500kmとなります。
問3
解答:8.5g
解説:
気体の水を水蒸気といいます。
湯気(水蒸気が冷えてできた水の粒)は見えますが、水蒸気は見えません。
空気は水蒸気を含むことができる入れ物とみなせます。
空気が水蒸気をどのくらい含むことができるのかを表す尺度として、1辺が1m・体積1m3の立方体の空気中に含まれている水蒸気量(g)、単位[g/m3]を用います。
空気は温度が上がると、水蒸気をより多く含むことができます。
空気に含まれる水蒸気が最大になっている状態を、水蒸気で飽和しているといい、空気1m3が含むことができる最大の水蒸気量を、飽和水蒸気量といいます。
温度と飽和水蒸気量の関係を表したグラフが、飽和水蒸気量曲線です。
ある温度の空気において、飽和水蒸気量に対する含まれている水蒸気量の割合を湿度といいます。
湿度は、以下の式で表すことができます。
・湿度(%)=水蒸気量[g/m3]/飽和水蒸気量[g/m3]×100
以上の知識をもとに、問題を解きます。
この問題では求めたいのは、空気1m3あたりの水蒸気量[g/m3]です。
湿度の公式を変形して、
湿度(%)=水蒸気量[g/m3]/飽和水蒸気量[g/m3]×100 ⇔ 水蒸気量[g/m3]=湿度(%)×飽和水蒸気量[g/m3]/100
表1より、湿度(%)は55%、気象観測をしたときの気温が18.0℃、表3より18℃の空気の飽和水蒸気量15.4g/m3はより、
水蒸気量[g/m3]=湿度(%)×飽和水蒸気量[g/m3]/100=55×15.4/100=11×15.4/20=11×7.7/10=(10+1)×7.7/10=(77+7.7)/10=84.7/10=8.57≒8.6g/m3
大問11
問1
解答:1016hPa
解説:
空気の成分比率は、体積の割合で多い順から
窒素(約78%)、酸素(約21%)、アルゴン(約0.9%)、二酸化炭素(約0.04%)です。
このほか、ネオン、ヘリウムなども微量ですが含まれています。
これらの気体分子(粒子)は、空気中を盛んに動いており、地面などに衝突して圧力(気圧)が生じます。
地面が太陽熱などで暖められると空気は上昇し、それと比較して冷たい場所に空気が流れ、空気が下降します。
空気が上昇すると、その場所では空気を構成する粒子の数が減るため、気圧が減少し、低気圧となります。
空気が下降すると、その場所では空気を構成する粒子が押されて数が増えるため、気圧が上昇し、高気圧となります。
空気は、冷たい方から温かい方に水平に流れます。
地球の地上10kmまでを対流圏といい、対流がさかんに起こっています。
対流のうち、水平方向の動きを風、垂直方向の動きを気流といいます。
暖かい場所では上昇気流が生じて低気圧となり、上昇した空気は冷たい方に流れ(風)、冷たい場所では下降気流が生じて高気圧となり、地表面では、暖かい場所(低気圧)から冷たい場所(高気圧)に向かって流れます(風)。
地球では、自転速度の差によって生じる右向きの力であるコリオリの力が発生するので、北半球の風向は、等圧線に対して垂直な方向よりも右にそれて吹きます。
そのため、低気圧では反時計回りに風が吹き込み、高気圧では時計回りに風が吹き出します。
気圧の等しい地点を結んだときにできる線を、等圧線といいます。
等圧線は全体としてなめらかな曲線となり、途中で枝分かれしたり、消えてなくなったりすることはありません。
等圧線は、1000hPaを基準にして、4hPaごとに細い線が引かれ、20hPaごとに太い線が引かれます。
高気圧は、等圧線が丸く閉じている部分で、中心にいくほど気圧が高くなります。
低気圧は、等圧線が丸く閉じている部分で、中心にいくほど気圧が低くなります。
また低気圧は、等圧線の間隔がせまく、距離に対しての気圧の変化である気圧傾度が大きいため、風が強く吹き込みます。
以上の知識をもとに、問題を解きます。
図1において、地点Pは低気圧の1000hPaの等圧線から4本目の場所にあるので、地点Pの気圧は、1000hPa+4×4hPa=1016hPa
問2
解答:移動性高気圧
解説:
・図1
南高北低の気圧配置より、夏の気圧配置を表しています。
宇宙から地球を見ると(これを天体上という)、地球は公転面に垂直な面に対して地軸を23.4°傾けて公転しており、
夏では、地軸の北極側を太陽の方向に向けることになるため、
北半球では昼の長さが長く、夜の長さが短くなり、太陽から受ける光エネルギーの量が多くなるため、暑くなります。
固体は液体より冷えやすく暖まりやすいです。
ゆえに、夏では、太平洋の南東地域が冷たい場所(高気圧)、日本列島が暖かい場所(低気圧)となります。
だから夏では、南高北低の気圧配置となります。
太平洋の南東地域で発達する高気圧を小笠原気団といい、暖かい場所にあり海にあるため暖かく湿ってしています。
夏は、太平洋の南東地域が冷たい場所(高気圧)、日本列島が暖かい場所(低気圧)なので、
風は、太平洋の南東地域からのユーラシア大陸から太平洋に向けて湿った風が吹くため、夏の季節風は南東の風です。
・図2
北半球では、北緯30〜60度付近で吹く西寄りの風である偏西風が吹くので、低気圧は東から西に流れます。
図2では、日本列島に温帯低気圧と温帯低気圧が交互に移動してくるため、天気が周期的に変化します。
低気圧が流れることで、暖気と寒気(緯度が上がると冷える)が触れ、寒冷前線と温暖前線が生じます。
この前線をともなう低気圧のことを、温帯低気圧といいます。
偏西風により低気圧は東から西に流れ、コリオリの力により風は低気圧に反時計回りに吹き込むことで、
温帯低気圧の左側で寒冷前線が、温帯低気圧の右側で温暖前線が生じます。
前線が通過する順番は、温暖前線→寒冷前線の順です。
温暖前線を正面から見ると、密度が小さく軽い暖気が密度が高く重たい寒気の上にはいあがり、寒気を後退させながら進みます。
このため緩やかな上昇気流が生じ、前線(暖気と寒気の境目である前線面と地面との接点)から右に向かって乱層雲・高層雲・巻層雲・巻雲などの層状の雲が生じ、乱層雲により広い範囲(前線から200〜300km)に長い時間、弱い雨を降らせます。
通過後は、暖気におおわれるため気温が上がり、風向が南よりに変わります。
寒冷前線を正面から見ると、密度が高く重たい寒気が密度が低く軽い暖気の下にもぐり込み、暖気を垂直方向に押し上げながら進みます。
このため激しい上昇気流が生じ、前線から左に向かって積乱雲や積雲などが生じ、積乱雲により狭い範囲(前線から50〜60km)に短時間で強い雨が降らせます。
通過後は、寒気に覆われるため気温が下がり、風向が南よりから北よりに急変します。
高気圧では、気圧が上昇、空気が断熱圧縮されるため、空気の温度が上がり、露点以上になると水滴は水蒸気となって空気中に戻っていくので、高気圧では天気が良いです。
これが、日本列島に温帯低気圧と温帯低気圧が交互に移動すると天気が周期的に変化する理由です。
・図3
西高東低の気圧配置、等圧線が縦縞となっていることから、冬の気圧配置を表しています。
宇宙から地球を見ると(これを天体上という)、地球は公転面に垂直な面に対して地軸を23.4°傾けて公転しており、
冬では、地軸の北極側を太陽と反対方向に向けることになるため、
北半球では昼の長さが短く、夜の長さが長くなり、太陽から受ける光エネルギーの量が減少するため、寒くなります。
固体は液体より冷えやすく暖まりやすいです。
ゆえに、冬では、ユーラシア大陸が冷たい場所(高気圧)、日本海や太平洋が暖かい場所(低気圧)となります。
だから冬では、西高東低の気圧配置となります。冬の気圧配置として、等圧線が縦縞となることも覚えましょう。
ユーラシア大陸で発達する高気圧をシベリア気団といい、陸にあるため冷たく乾燥しています。
大陸と海洋でのあたたまりやすさの違いにより、1年周期で風向・風速が変化する風を季節風といいます。
冬は、ユーラシア大陸が冷たい場所(高気圧)、日本海や太平洋が暖かい場所(低気圧)なので、風は、北西のユーラシア大陸から太平洋に向けて吹くため、冬の季節風は北西の風です。
・図4
停滞前線(Q)があることから、梅雨か秋の季節です。
オホーツク海付近では、オホーツク海気団(高気圧)があります。
オホーツク海気団は、冷たい海洋にあるので高気圧で、相対的に暖かい場所である北海道に向けて風が吹きます。
前線(Q)は、停滞前線です。
停滞前線は、オホーツク海気団と小笠原気団がほぼつりあい、両者の境にできる前線です。
春から夏にかけて発生する停滞前線を、梅雨前線といいます。
夏は小笠原気団が発達してオホーツク海気団を北へ追いやりますが、秋になると小笠原気団の勢力が弱まり、オホーツク海気団が再び南下してきて、
再びオホーツク海気団と小笠原気団がほぼつりあいます。
この秋に発生する停滞前線を、秋雨前線といいます。
問3
解答: 季節:冬、理由:西高東低の気圧配置になっているから。
解説:
図3は、西高東低の気圧配置、等圧線が縦縞となっていることから、冬の気圧配置を表しています。
問4
解答: 地域:A、名前:小笠原気団
解説:
夏に勢力が強くなる気団は、小笠原気団で、太平洋高気圧の西部を構成しています。
小笠原気団は太平洋にあるので湿っており、南にあるので暖かいため、暖かく湿った高気圧です。
問5
解答: 前線:停滞(梅雨、秋雨)前線、理由:ウ
解説:
図4の前線Qは停滞前線です。
これは、寒気団で構成されているオホーツク海気団と、暖気団で構成されている小笠原気団とが触れあうことで前線が生じ、両者の勢力が同じことから停滞前線となります。