中学3年北海道学力テスト第1回「理科」(2021年)問題・解答・解説
大問1 アンモニアの性質
問1
解答:集め方・・・上方置換法、性質・・・空気より密度が小さい。(例)
解説:
図1の気体の捕集法を、上方置換法といいます。
アンモニアのように、空気より軽く水にとけやすい気体は、上方置換法で捕集します。
問2
解答:NH3
解説:
塩化アンモニウムと水酸化カルシウムの混合物を加熱すると、気体としてアンモニアが、固体として塩化カルシウムが、液体として水が生じます。
アンモニアの化学式は、NH3です。
問3
解答:色・・・赤(色)、名前・・・リトマス紙
解説:
アンモニアがフラスコ内に十分にたまったことを確認するために、以下の2つの方法を取ります。
①水で湿らせた赤色リトマス紙を、フラスコの口に近づける→リトマス紙は青色に変化
②塩酸をフラスコの口に近づける→塩化アンモニウムの白煙が生じる
①、②で変化が見られたら、アンモニアがフラスコ内に十分にたまったことが確認できます。
問4
解答:水によくとける。(例)
解説:
アンモニアは水に非常によく溶ける(参考:20℃の水1cm3に702cm3溶ける)ため、スポイトの水をフラスコ内に入れたとき、フラスコ内のアンモニアが水に一気に溶けます。
フラスコ内のアンモニアが減少するせいで、フラスコ内の気圧が大気圧より下がります。
フラスコ内の空気は下がった気圧を大気圧に戻そうとして、水が吸い上げられます。
水の代わりにフェノールフタレイン液を入れると、アンモニア水の赤色の噴水が見られます。
これを、アンモニアの噴水実験といいます。
大問2 パルチミン酸の状態変化
問1
解答:突然沸とうすることを防ぐため。(例)
解説:
蒸留の実験では、図のように、突沸を防ぐために沸騰石を入れます。
問2
解答:温度・・・融点、変化・・・状態変化
解説:
固体が溶け出す温度を融点と言います。
純粋な物質の融点では、固体と液体が併存しています。
温度を上げることで、物質の状態が固体→液体→気体に変化することを、状態変化といいます。
問3
解答:固体の方が液体より密度が大きい。(例)
解説:
固体のパルチミン酸が液体のパルチミン酸に沈んだことから、パルチミン酸は固体の方が密度が大きいと言えます。
大問3 音の性質
問1
解答:空気
解説:
音は空気中の粒子を振動させることで、伝わっていきます。
問2
解答:④
解説:
②は振動数を、④は振幅を表します。
振動数は、音の波形の山から山、谷から谷までの時間です。
問3
解答:ウ、エ
解説:
音を鳴らすものの材料によって、振動数が決まります。
図2より、Aの音さの振動数は2マスです。
選択肢ア〜エの中で、振動数が2マスであるものは、ウとエです。
選択肢ウは、おんさAを強くたたいた場合、選択肢エは、おんさAを弱くたたいた場合です。
選択肢アは、おんさAより振動数が小さいので、おんさAより低い音が鳴ります。
選択肢イは、おんさAより振動数が大きいので、おんさAより高い音が鳴ります。
問4
解答:A・・・1、B・・・ヘルツ、C・・・Hz
解説:
振動数については、解答のとおりです。
例えば図2において、横幅の1目盛りが0.005秒のとき、おんさAは0.01秒(0.005秒×2)で1つの波が通過する、つまり1回振動することから、
振動数[Hz]=1/0.01s=100Hz
となります。
大問4 水酸化ナトリウムの電気分解
問1
解答:電流を流しやすくするため。(例)
解説:
中2生は、理由を暗記してください。中3生は、理屈まで知っておきましょう。
純粋な水は分子として存在しており、イオンが無いため電流が流れません。
水酸化ナトリウム水溶液とは、水酸化ナトリウムが、NaOH→Na++OH–、にイオンに電離しています。
これより、純粋な水に水酸化ナトリウム水溶液を加えると、水中にイオンがあるため、電流が流れやすくなります。
問2
解答:(陽極:陰極)1:2
解説:
水の電気分解により、陽極で酸素が、陰極で水素が発生します。
中2生は、この事実を暗記してください。
水の電気分解の化学反応式は、
2H2O → 2H2 + O2
化学反応式の係数を見て、酸素(O2、陽極で発生):水素(H2、陰極で発生)=1:2
以上より、答えが得られます。
中3生は、理屈まで知っておくと、覚える量が減って楽になります。
水素イオンはH+で、+の電気を帯びています。
プラスどうしマイナスどうしは反発、プラスとマイナスはくっつきます。
だから、H+は陰極(-極)へ行き、陰極で水素(H2)が発生します。
水の化学式はH2Oだから、酸素原子(O)を見て、陽極で酸素(O2)が発生します。
あとは、水の電気分解の化学反応式を書いて、発生する気体の体積比を調べて終了です。
問3
解答:物質名・・・水素、方法と結果・・・火のついたマッチを近づけると、音を立てて気体が燃える。(例)
解説:
陰極では水素が発生します。
水素には可燃性の性質があり、火のついたマッチを近づけると、音を立てて燃えます。
以下、上位校を目指す子向けの知識です。
燃えるとは酸化する、つまり酸素と化合するということです。
水素が燃えた(燃焼した)ときの化学反応式は、以下のように、水の電気分解と逆になります。
2H2 + O2 → 2H2O
水の電気分解の化学反応式は、以下のとおりです。
2H2O → 2H2 + O2
ここでは、電気エネルギーが投入されているので、電気分解によって生じた水素と酸素の化学エネルギーは、水よりも大きいです。
水素の燃焼は水の電気分解とは逆の反応になる、つまり化学エネルギーが減少します。
エネルギーは移り変わるので、減少した化学エネルギーが、音や光や熱エネルギーとなるから、水素が燃焼すると、激しく熱や光を出して燃えます。
問4
解答:2H2O→H2+O2
解説:
問2解説参照。
大問5 オームの法則 ★問3がやや難
問1
解答:抵抗・・・b、電流・・・a
解説:
抵抗は電流の流れにくさです。
図2において、4Vのときの電流の大きさは、抵抗器aが200mA、抵抗器bが100mAです。
これより、抵抗器bの方が電流が流れにくいので、抵抗が大きいです。
問2
解答:15Ω
解説:
図3は並列回路なので、抵抗器aと抵抗器cに同じ電圧が加わります。
図2より、6Vのとき抵抗器aには300mAの電流が流れます。
回路全体の電流の大きさが700mAなので、抵抗器cに流れる電流の大きさは、400mA=400/1000Aです。
抵抗器cには6Vの電圧が加わるので、オームの法則より、
V=IR ⇔ R=V/I=6V÷(400/1000A)=6×1000/400=6000/400=15Ω
以下、上位校を目指す子向けの内容です。
オームの法則より
抵抗器aの抵抗=6V÷(300/1000A)=6×1000/300=6000/300=20Ω
並列回路では、各抵抗に同じ大きさの電圧が加わるので、オームの法則より、各抵抗に流れる電流の比は抵抗の逆比になります。
抵抗器aには300mA、抵抗器cには400mAの電流が流れるので、
抵抗器aの抵抗:抵抗器cの抵抗=400mA:300mA=4:3=20Ω:15Ω
よって、抵抗器cの抵抗=15Ω
問3 ★やや難
解答:550mA
解説:
図2より、
抵抗器bの抵抗=4V÷(100/1000A)=4×1000/100=4000/100=40Ω
図3より、
抵抗器b(40Ω)と抵抗器c(15Ω)それぞれに6.0Vの電圧が加わるので、オームの法則より、
抵抗器bの電流の大きさ=6.0V/40Ω
抵抗器cの電流の大きさ=6.0V/15Ω
並列回路の回路全体の電流の大きさは、それぞれの抵抗に流れる電流を足したものになるので、
6.0V/40Ω+6.0V/15Ω=6×55/(40×15)A=6×55×1000/(40×15)mA=6×55×25/15=2×55×5=10×55=550mA
以下、上位校を目指す子向けの内容です。
問2より、抵抗器aの抵抗は20Ωです。
図2より、4Vのときに抵抗器aと抵抗器bに流れる電流の比が2:1であるので、オームの法則より、
抵抗器aの抵抗:抵抗器bの抵抗=1:2=20Ω:40Ω
よって、抵抗器bの抵抗=40Ω
図3において、並列回路の合成抵抗は、
合成抵抗=(40Ω+15Ω)/(40Ω×15Ω)=55/600Ω
オームの法則より、回路全体の電流の大きさは、
6.0V÷(55/600Ω)=6.0×55×1000/600mA=55×10=550mA
大問6 消費電力 ★問3がやや難
問1
解答:並列
解説:
重要な事実です。必ず抑えておいてください。
問2
解答:9.8A
解説:
消費電力P[W]=I[A]×V[V]
⇔ I=P/V=980W/100V=9.8A
問3 ★やや難
解答:ウ
解説:
北海道公立高校入試に出題されたら、おそらく正答率が20%を切るであろう難問です。が、良問ですので、本番では解けるようになってください。
ドライヤーに100Vの電圧を加えたときに流れる電流の大きさは、
I=P/V=1200W/100V=12A
照明器具に100Vの電圧を加えたときに流れる電流の大きさは、
I=P/V=350W/100V=3.5A
加湿器に100Vの電圧を加えたときに流れる電流の大きさは、
I=P/V=280W/100V=2.8A
家庭用の電気配線は並列回路であるから、
電気ストーブと照明器具と加湿器を合わせた電流の大きさは、9.8A+3.5A+2.8A=16.1A
電気ストーブと照明器具と加湿器ではブレーカーが落ちないので、ブレーカーの電流は、選択肢の中は20A以上です。
電気ストーブとドライヤーを合わせた電流の大きさは、9.8A+12A=21.8A
問題文より、電気ストーブとドライヤーではブレーカーが落ちるので、ブレーカーの電流は、選択肢の中は20A以下です。
これより、ブレーカーの電流は、選択肢ウの20Aが最も適当であると言えます。
大問7 蒸散量の計算 ★問3がやや難
問1
解答:道管
解説:
根から吸収された水分が通る管は道管、葉で作られた養分が通る管は師管です。
問2
解答:蒸散
解説:
蒸散により、植物体内の水分量や温度を調節します。
問3 ★やや難
解答:4.2
解説:
公立高校入試標準レベルの問題です。現時点では解ける子は少ないと思われます。
蒸散が起こる場所と蒸散量を調べていきます。
①:葉の表+葉の裏+茎=5.5mL
②:葉の表+茎=1.6mL
③:葉の裏+茎=?
④:茎=0.3mL
葉の裏=①(葉の表+葉の裏+茎)-②(葉の表+茎)=5.5mL-1.6mL=3.9mL
よって、
③(葉の裏+茎)=葉の裏+④(茎)=3.9mL+0.3mL=4.2mL
問4
解答:葉の裏側に多くあること。(例)
解説:
問題文に「実験の結果から」とあるので、表を元に考えていきます。
葉の表、葉の裏、茎の蒸散量は、
葉の表=①(葉の表+葉の裏+茎)-③(葉の裏+茎)=5.5mL-4.2mL=1.3mL
葉の裏=3.9mL
茎=0.3mL
これより、同一条件で実験を行うと、葉の裏側での蒸散量が最も大きいことが分かります。
蒸散は気孔で行われるので、気孔は葉の裏側に最も多くあると言えます。
大問8 地震の計算問題
問1
解答:主要動
解説:
初期微動はP波(縦波)、主要動はS波(横波)です。
問2
解答:120km
解説:
初期微動継続時間は震源距離に比例するので、比例式を立てて解きます。
24km:4s=X:20
⇔ X:20=24:4=120:20
∴X=120
問3
解答:①・・・断層、②・・・プレート
解説:
解答の通りです。
大問9 細胞呼吸
問1
解答:ア・・・赤血球、イ・・・組織液
解説:
血液成分のうち、固形成分は赤血球と血小板です。
アは細胞に何らかの成分を与えているので、酸素の少ないところで酸素を離す性質がある、赤血球であると考えられます。
血液成分のうち、液体成分である血しょうの中で、毛細血管からしみ出て細胞間を満たす液体を組織液といいます。
問2
解答:〇・・・c、●・・・a、▲・・・f
解説:
細胞呼吸のメカニズムは、以下のとおりです。
養分+酸素→水+二酸化炭素+アンモニアなどの不要物
養分(ブドウ糖・アミノ酸・脂肪)は、血しょうに溶けて組織液を通じて細胞に送り届けられます。よって、〇は養分(c)です。
酸素は赤血球と結びつき、組織液を通じて赤血球から細胞に送り届けられます。よって、●は酸素(a)です。
□は不要物であることから、▲は二酸化炭素(f)です。
問3
解答:①・・・毛細血管、②・・・細胞呼吸(細胞による呼吸、内呼吸)
解説:
解答の通りです。
大問10 冬の天気の特徴
問1
解答:①・・・A、②・・・A、③・・・B
解説:
地面(固体)は暖まりやすく冷めやすい、海洋(水)は暖まりにくく冷めにくいです。
暖かいと空気は上昇し、冷たいと空気は下降します。
風は冷たい方から暖かい方へ流れます。
以上の事実は、覚えましょう。
夏は日本列島が暖かく、太平洋側は冷たいです。だから、風は太平洋側→日本列島へと流れる南東の風です。
暖かいと空気が上昇しますが、これは、空気のかたまりの温度が高くなることで膨張するため、密度が周囲の空気よりも小さくなるからです。
問2
解答:
解説:
南側は暖かく(暖気)、北側は冷たい(寒気)です。
停滞前線では、南の暖気が北の寒気を押すので、暖気のマークは停滞前線の上側になります。
同時に、北の寒気が南の暖気を押すので、寒気のマークは停滞前線の下側になります。
問3
解答:ア・・・小笠原気団、イ・・・シベリア気団
解説:
図2のつゆの時期は、南方の小笠原気団と北方のオホーツク海気団の勢力がつり合っているため、間に梅雨前線ができます。
図3は冬の時期は、ユーラシア大陸が冷たくなるため、シベリア気団(高気圧)となります。
問4
解答:日本海を通過するときに水蒸気を含むから。(例)
解説:
ユーラシア大陸から流れる冷たく乾燥した北西の風は、日本海で水蒸気と熱を補給し、日本海側で雪を降らせて水分を失い、太平洋側に乾燥した風が吹きます。
大問11 湿度の計算
問1
解答:
解説:
雲量4から、天気は晴れです。
南西の風より、矢羽根を南西に向けます。
風力3より、矢羽根に3本の線を書きます。
問2
解答:エ
解説:
解答の通りです。
問3
解答:21.9g
解説:
表1において、乾球の示度(温度)が30℃より、表3から飽和水蒸気量は30.4g/m3です。
表1において、乾球と湿球の示度の差が4℃より、表2から湿度は72%です。
よって水蒸気量は、
水蒸気量=30.4g/m3×0.72=21.888≒21.9g/m3